BFD3のレビュー~BFDの歴史を振り返りながら~

BFD3_top
FxPansion社から発売されております、BFDシリーズのレビューを行います。BFDはソフトウェアで、ドラムに特化したソフト音源です。

特徴としては、「リアルなドラム」を再現することができる、数あるドラム音源の中でも、話題となっているソフトの1つだと思います。

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1.BFDの歴史


まず、製品のレビューの前に、主観的ではありますが、BFDの歴史をご紹介いたします。
現在の最新BFDシリーズは、【BFD3】であり、3作目のソフトになります。
正確な年数は曖昧ですが、およそ8年前に【BFD1】が発売されました。
シリーズ1作目から、リアル路線のドラム音源を掲げており、総容量もDVD2枚分(総容量は曖昧です…忘れちゃいました)あり当時はただただ「すげぇ!」の一言でした。

BFDは、実際にレコーディングスタジオで収録したドラムをサンプリングして使用するものですが、そのベロシティーレイヤーの細かさやドラムキットの豊富さに、感動を覚えています。

BFD1からおよそ4年後、【BDF2】が発売されました。
インターフェースも大きく変更され、非常にわかりやすく、細部まで設定できるので、まるでレコーディングエンジニアになった気分でした。
BFD1の音源は当然使用でき、新たに約50ギガバイト(!)もの音源が追加されたことも驚きでした。

そして、今年【BFD3】がリリースされました。
再び、インターフェースがガラッと変更され、スタイリッシュな雰囲気になりました。
基本的には、BFD2から大きく機能は変更されていない印象ではありますが、3倍の音色(150ギガバイト(!!))3倍の想像力をスローガンに、奏法の追加、ドラムの共鳴、エフェクトの追加等、今まで以上にリアルなドラムを作ることができる、最新のBFDです。

 

2.購入の理由


当時の記憶では、ドラムに特化したソフトシンセが少なく、さらに「リアル」を追求した音源はなかったように思います。
おそらく、生ドラムは「スタジオで録る物」であり、サンプリングは気に入ったものを自分でしてね!という発送だったような気もします。

大した購入理由ではありませんが、単純に「新しい!」という思いが先行して購入しました。
私の作る楽曲が、生楽器系を意識したものであったため、興味がわいたというのも理由だと思います。

 

3.BDFの特徴


現在最新のリリースが、【BFD3】なので、以後、【BFD3】を対象としたレビューを行っていきます。
BFD3は、生ドラムに特化したソフト音源であり、レコーディング・スタジオで収録したサンプルをDAWやスタンドアローンで使用することが出来ます。

単純なサンプリングではなく、ドラム特有の被り(共鳴:例えば、シンバルを叩くとスネアのスナッピーが「ジャラリリリリ…」という音も録音される)も
表現してくれます。

MIXも細かく行う事ができます。例えばルームマイク(部屋の大きさを表現するマイク)をどれ位の音量で鳴らすのか、またそのルームマイクに楽器別に
音量を設定する事も可能です。

これにより、まさにレコーディングスタジオで収録したかのようなサウンドを作ることが出来ます。

下記、オフィシャルサイトの製品紹介から、一部抜粋したものです。

・L.A.のOcean Studiosとメリーランド州のOmega Recording Studiosでレコーディングされた、
119 個のピースと7つの新しいキット。
・BFD3専用の高解像度で収録されたロック、メタル、ジャズ、ブラシのキット。
・55GBのディスク・スペースから155GB相当のロスレス・サンプルをストリーミング。
・タムの共鳴やシンバルのスウェル奏法までもモデリング。
・最大8つのアンビエント・マイク・チャンネル。

何やら、すごそうな事が書いてありますが、本当に凄いです(笑)
容量が155ギガバイトと、何をそんなに使っているのか?と疑問に思う部分もありますが、ドラムの奏法を正しく表現するためには、このように大きな容量が必要だと思います。

例えば、HiHat1つ例に上げても、

  • ープンハイハット奏法
  • 3/4オープンハイハット奏法
  • 2/4オープンハイハット奏法
  • 1/4オープンハイハット奏法
  • クローズハイハット奏法

と、種類が豊富です。

さらに、そこからベロシティーが細分化されています。
つまり、BFDだと、鋭いビートのハイハットや、激しいサビを助長する、荒ぶるハイハットなど、シーンに合わせて音を切り替えていく事ができるのです。

楽器単体だけでも、色々な表現を行うことが出来ますが、それだけではありません。
生っぽさを表現するには、空気感=つまり部屋の鳴りやマイクまでの距離感を与えてやる必要があります。

それを実現するには、アンビエントマイクが必要となります。アンビエントマイクとは、例えばドラムの上から録音したり、部屋の端っこに置いたりと
ドラム楽器を直接録らないマイクの事をいいます。
そのマイクをコントロールできる系統が8つあると特徴にありますので、更に生ドラムの表現の可能性が増える訳です。
(ただし、一緒に混ぜるギターなどの楽器に対しても、同じような空気感を出す処理をしなくてはならないので、BFDはギター泣かせ!?(笑))

BFDは一般的なドラム音源から、拡張した奏法や、マイキングコントロールを行え、かつ音もリアルだというソフト音源だと言えます。
グルーブエディタ

BFDのメイン画面。非常にスタイリッシュなインターフェース。
一つの画面でキット選択・ミキサー・ドラム単体の調整が可能となっている。

 

4.BFD3のサンプル紹介


ソフト音源のレビューでは、何はともあれ、「一体どんな音なのか?」が一番気になるところですので、いくつかサンプルを紹介したいと思います。

まず、サンプルの内容として、ドラムはすべてBDF3の音源を使用しています。音色はプリセット一発で、エフェクト等調整は行っていません。また、トラックに対してもエフェクト・EQをかけていませんので、BFDナチュラルの音で書きだしています。
ジャンルによって、ピアノやベースが入っていますが、BFD以外のトラックには、ある程度エフェクト(コンプやEQ等)をかけています。
MIXとしては、ややドラムが大きめ。楽曲としてではなく、BFDの音を中心にご確認いただけたらと思います。

また、ドラムパターンは、これもまたBFD3のMIDIプリセットのみで構成してあります。
プリセットを選んでドラッグアンドドロップでワークスペースへ。ドラムトラックに関しては、全く手をかけていない状態です。

ジャンル名はBFDプリセットに記載されているものを使用しています。(bluesならBFDのbluesキットを選択しています。)
メイン画面
画面左端にあるのが、グルーブエディタ。1つクリックすると現在選択されているドラムキットの音色のまま、
シーケンスを再生してくれる。また、そのままDAWのワークスペースにドラッグアンドドロップですぐに組み込むことができる。

01.blues

ピアノ音色は、NIのKONTAKTの音ですが、BFDドラムの存在感が強すぎて、逆にピアノの調整に苦労しました(笑)
ドラムが丁度よいバランスで表現されています。ハイハットのビートもイカしていますね!
ちなみに、最後のドラムエンディングは、リアルタイムレコーディングで打ち込んでいます。
まるで人が叩いているように聞こえます。

 

02.funk

プリセットMIDIの中身を見ると、ゴーストノートの嵐。自分で打ち込もうと思うと、ぞっとしちゃうリズムパターンです。
重要なハイハットパターンもダイナミクスに富んだ表現がされています。クラビはリアルタイムレコーディング。ちゃんと弾かないと粗が目立っちゃうぐらいBFDがクールです。

 

03.pop


ハイハットの事ばかり書いていますが、これもイントロのハイハットがクールです。
キックも存在感をしっかり持ったまま、締めた良い音を出してくれています。
スネアもリリースまで丁寧に聞こえて、シンプルなリズムパターンにもかかわらず、隙間を
詰めてくれています。

 

04.Rock


ドラム音源で思うことが、こういったロック系のハイハットがなかなか表現しにくいところだと感じます。お聞きの通り、オープンハイハットの具合がよく表現されています。
キックも、低音をしっかり備え、かつアタックもしっかりと出るようなプリセットになっているので、
とても良いです。
今回はオルガンバッキングですが、ギターに変えてもちゃんとロックに馴染むようなドラムキットだと思います。

 

05.Jazz


プリセット選んでいたら、bebop系のものを選んじゃいました(笑)
こういったジャンルもバッチリOKなBFD。

今回、5つのジャンルプリセットをサンプルで用意しましたが、どれもそのジャンルにあったMIXがすでにされており、手軽に使用することも可能です。

ここから、楽曲のコンセプトになじませるため、ルームマイクの設定や、ドラムのチューニング、
エフェクトの量を設定したりと、まだまだ沢山の事が出来ます。
このサンプルを作っている最中も、どれだけいじりたかったか…(笑)

 

5.拡張音源も充実のBFD


BFDは単体で十分な性能を発揮しながら、拡張音源の数もかなり多いものとなっています。
各種ジャンル更に特化した音源、シンバルメーカー「Zildjian」のみを収録したシンバルキット、パーカッションや、面白いところだと、

太鼓や雅楽に特化した拡張音源まであります。
特に、雅楽の拡張音源は個人的におすすめしたい音源です。
鼓や鐘、拍子木、「いよ〜〜ぉ!」という歌舞伎声まで収録したキットとなっています。
日本楽器・雅楽に特化した音源は中々無いと思いますので、制作するジャンルによっては非常に重宝するのではないでしょうか?

 

6.BFDはこんな方におすすめ!


・楽曲に生ドラムを取り入れたい人

まずは、これに尽きます。基本的には、生ドラムはレコーディング・スタジオでの収録が望ましいのですが、スタジオを抑えたり、ドラマーを用意したり、
マイクセッティング、MIX、と色々大変な作業ではあります。
BFDはそんな問題を一発で解決してくれるソフトだと思います。

・ドラムの設定を細かく行いたい人

BFDはかなり細かいところまで設定することが出来ます。ルームやTOP(上部マイク)を含めたMIX。スタジオの大きさや楽器のピッチ、被りの有無、
楽器別にチャンネルを振り分けて、自由にエフェクトを設定する…等、できることはかなり多くあります。レコーディング・エンジニアの勉強にもなるかもです。

 

7.こんな方は、BFDに向いていないかも


・楽曲に生ドラムは必要ない という人

おすすめの逆にはなりますが、本当に生ドラムしか無いので、テクノ・ハウス系のいわゆるEDMを制作する方には、必要が無いかもしれません。

・サクッと手軽にドラムを作りたい人

BFDは細かな調整をすることで、更に真価を発揮するソフトだと思います。色々調整する要素が多いので、サクッとドラム音色を決めて、方向性を定めたいという方は、逆にBFDの機能は必要のないものかも知れません。

ただし、レビュー項目4.に記載しましたとおり、本レビューでのサンプル音源では、プリセットのまま、エフェクトなど調整は行っていませんので、ワンクリックでかなりいいドラムを用意することができると思います。

 

8.まとめ


BFDはとにかく、生ドラム!
3作目ということで、生ドラムの表現もかなり本物に近いものになったのでは無いかと思います。
また、実際のレコーディングでは出来ない事も、ソフトウェアにすることによって可能となっています。(例えば、スネアの被りだけ音を消す…、等)

【BFD1】発売当初は、ドラム音源が少なかった時代ですが、現在では、色々なドラム音源がリリースされています。
ソフト音源に関しては、なにより自分の制作する楽曲にあった音源を選ぶ事が重要であると思います。生ドラムを入れた楽曲を制作するクリエイターの方達には、BFDをおすすめします。

下記、代理店のHPです。拡張音源の視聴やBFD3の仕様が掲載されています。
http://second.minet.jp/fxpansion/
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http://cubasecreate.com
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アミューズメント関係のサウンドを制作しています。Cubaseを用いて、作曲や効果音の制作を行っています。家ではバンドや結婚式用の楽曲や映像制作を行っています。楽器はキーボードを担当です。
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