BFD3は、リアリティーを徹底的に追求したアコースティックドラム音源、シリーズの最新バージョン。新たに収録されたBFD3専用の付属キットの解像度(サンプルレート、ビットレート)は2の3倍。タムの共鳴やスウェル奏法もサンプリングされている。また、ユーザーインターフェースも一新されより直感的に調整が行えるようになりました。そのBFDシリーズのこだわりや最新バージョンの新機能などを紹介していきます。
・BFDのこだわり
BFDの特徴は、まさにそこでドラムを叩いているかのような空気感やリアル感です。
そのこだわりは、他のマイクに乗った”かぶり”など、通常のドラムの録音の様に録音され、表現力を最大に引き出すようなモデリングの数々が挙げられます。
そして、私が個人的に素晴らしいと思っているこだわりは、例えばハイハットをスティックの「先端で叩く」と「腹で叩く」の違いがあります。ハイハットの開き具合、スティックの打つ位置、ベロシティレイヤー(強さ)など用意され、素晴らしい表現が出来る点です。
ハイハットのベルを使用したパーカッションのような表現、ライドシンバルで代用したクラッシュシンバルのような表現など、プロのドラマー普段からしている事が出来る唯一無二なソフトだと思います。
・BFD2からの進化
私はBFD2より使用していて、そのリアルで豊かな音に虜になりました。一聴してとても素直で、そこに良いドラムがあるような空気感で、とてもこだわり抜いた音源と思えました。
ただ、そのリアルさゆえの欠点もありました。それは、非常に重い…。当時のBFD2は55GBほどの大容量もあり、1セットを読み込むまで時間もかかり、非力なパソコンでは再生が厳しいこともあるようなソフトでした(設定で変更もできますが、音質を犠牲にしたり…とあまりオススメではありません)。他のマイクの”かぶり”まで収録されたこの空気感はなかなか他のソフトには再現出来ないこともあり、多少の重さは目をつぶっていましたし、今後もこのまま行くのだろうと思っていました。
新バージョンとなるBFD3では、新搭載されたロスレス圧縮でサンプルを高速解凍し圧縮前と変わらない音質で展開されるとのこと。また、高音質のまま容量も最小限となりロードも高速化され、これまでの長所そのままに、欠点を見事解消してくれました!大いなる進化といっていいと思います。
また、非力なパソコンでの使用したりして重い場合でも、細かい設定も出来ますし製作時にはエコノミーで使用し書き出しの時にはフルディティールで使用することも出来ますので、どんな方にも安心して使えると思います。
・直感的なユーザーインターフェース
ユーザーインターフェースも一新され、より直感的に使用出来るようになりました。
今まではリッチなドラムの絵がメインでしたが、BFD3からは上から見下ろし、しかも設置図のようなシンプルなモノに変化しました。一見、バージョンダウン?と思ってしまうような見た目ですが、無駄を省き、大人っぽくスタイリッシュなデザインになったと、個人的には思います。あの見た目が「音楽制作してる!」という気にさせるのは自分だけでしょうか?(笑)
また、そのシンプルなドラムの下にはフェイダー画面が配置され、エフェクト、センドなどにも1クリックで変更が可能となり、より直感的に使用することが出来るようになりました。
そして、レイアウトはドラマー側、オーディエンス側と切替が可能となっています。
・新機能『スウェル機能』『タムの共鳴』
BFD3では『スウェル機能』と『タムの共鳴』が新たに搭載されました。
『スウェル機能』は、シンバルの連打した時のニュアンス(アタックが)がより生ドラムのような表現が出来るようになりました。そのままだと”打ち込み”という雰囲気があった連打したシンバルが一気に軽減されます。BFD2の拡張音源でも使用できるので好きな拡張音源でも使用できるのが嬉しいです。
『タムの共鳴』は、タム独特な共鳴を再現しています。
これまでスネアやキックのチャンネルにはマイクの”かぶり”がありましたが、タムのチャンネルにはありませんでした。新機能の『タムの共鳴』ではタムの独特な鳴りまで再現されよりリアルな空気感が表現できるようになりました。
この2つはどちらもモデリングで再現されているのでBFD2の音源や拡張音源でも使用できます。この機能が欲しかった!という方も使用できるのが嬉しい点です。
・最後に
膨大なマイクの数や細かい設定など色々と出来る反面、それを知らずに制作をしている人も多いのが難点かもしれません。改良も加えられある程度分かりやすくはなりましたが、まだまだわかりづらい点もあります。音は素晴らしいのであと一歩ユーザーフレンドリーになるともっと素晴らしいソフトとなると思います。
とはいえ、マイクの数も増えより立体感のある音となり、新機能のモデリングなども加わり表現力が格段に上がりました。それに伴い肥大化すると思われた処理も圧倒的に軽くなっているのが最大の売りではないかと思います。
また、新たに録音されたのドラムは7つのキットと厳選され、過去のBFD2などの音源、ブラシやマレットが使用できるのが嬉しく、新機能は旧モデルの音源なども活用出来るモデリングとなっているので、これまで使用してきたユーザーにも嬉しいバージョンアップとなっていると思います。
BFD2からの進化がかなり素晴らしいものとなったBFD3です。個人的には100点に近いドラム音源と思っていますので、ドラム音源の表現力に困った方、リアリティーを追求したい方は是非お手にとってもらいたいソフトだと思います。
今回はドラム音源:FXpansion BFD3のレビューパート2をお伝えしました。
関連サイト
FXpansion
⇒http://www.fxpansion.com/
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