WAVES JJP VOCALのレビュー

歌ものの楽曲におけるボーカルの音質は非常に重要です。歌声そのものも大事だし、マイクやマイクプリにこだわる人も多いですが、ミキシングにおいても音作りを突き詰めたいところです。今回はDTM用プラグインメーカーではお馴染み、WAVESのJJP VOCALについてレビューします。

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■購入理由


宅録エンジニアとして活動しており、歌ものの楽曲を良く扱っているため、ボーカルの音質を更に磨きたいと思っていました。そこでボーカル用プラグインと言うものに出会い、通常のEQやコンプとは違った角度からボーカルの音作りができるところが面白くて、楽器店でいろいろ試した結果、男性ボーカル・女性ボーカル両方に使えるWAVES JJP VOCALを購入しました。

■機材の説明


U2、レディ・ガガ、ローリング・ストーンズなど名立たるアーティストの作品を数多く手掛けたプロデューサー・エンジニア:ジャック・ジョセフ・プイグ。彼のミキシングテクニックをプラグイン化したWAVESのシグネチャーシリーズで、JJP VOCALはミキシングにおけるボーカル処理に必要なEQ、コンプ、ディエッサー等をオールインワンにしたプラグインです。また独自のMAGIC、ATTITUDE等のパラ メーターにより普通のプラグインでは生み出されなかったであろうボーカルの魅力を引き出すことができます。

単体で販売されている他、ドラム、シンバル&パーカッション、ベース、ギター、ストリングス&キーボードと本プラグインの計6種類をバンドルにしたJack Joseph Puig Signature Seriesとしても販売されております。

■パラメーター解説


1.SENS:プラグインの感度を調整、上げるほどプラグインによる効果が強くなる。

2.LOWS:150~250hz周辺の低域をピーク型でブースト/カット。声の太さ、低音の響きを調整するイメージ。

3.HIGHS:5~15khz周辺の高域をピーク型でブースト/カット。子音、歯擦音の強さを調整するイメージ。

4.DE-ESSER:ディエッサー。サ行、ザ行などの歯擦音に特化したコンプレッサー。

5.COMP:コンプレッサー。全体域に対してコンプ効果を得られ、大きいところが潰れ、小さいところの音量が上がる。質感としては少し硬め。

6.MAIN:インプットゲイン。原音の音量調整で、0でも音は鳴るが原音が少なくなり、エフェクト効果だけが残るような印象。

7.MAGIC:音抜けを調整するパラメーター。1khz周辺がじわじわとブーストされる。

8.SPACE:DELAY TIME:111msぐらいのショートディレイ。リバーブも少し加わっており、上げると声が奥から鳴るようなイメージ。

9.ATTACK:コンプレッサーで言うATTACK TIME。上げると音の立ち上がりが速くなり、声が前に押し出される。

10.ATTITUDE:息使いの荒々しさを調整するパラメータ。100hz以下の低音が強調され、迫力が増す。

11.PRESCE:プレセンスという名前だが、使用感としては超高域という感じではない。HIGHSより下の2~ 5khz周辺を操作し、声の骨格成分を調整するイメージ。

12.MASTER:マスターアウト。0では音が鳴らない。

13.MALE / MALE 2 / FEMALE:男性 or 女性を選択。MALE 2は直感的な表現だが、声の高い中世的な男性ボーカル向けというイメージ。

■機材のいいところ


1.「通すだけでよい音になる。」

音楽機材で定番の安直な表現ですが、まさにこの言葉がピッタリ(笑)
ビフォーアフターの結果が一目瞭然で、JJP VOCALを通すことにより歌声に鮮明になり、迫力が出ます。上記でパラメーターの解説をしていますが、本人のコメントの通り直感と本能でいい具合の設定値を探るというのがこのプラグインの正しい扱い方だと思います。DE-ESSERやSPACEでは即戦力の音色設 定がされており、スライダーでエフェクト成分を調整したり、SENSでプラグインの感度を決めるだけなので、簡単に良い歌声を作れます。

2. オケとの距離感を整えるSPACE
SPACEは非常に使い勝手のよいショートディレイ。歌声が奥から鳴るようになり、距離感をコントロールできます。上げ目にすればゲレンデでなっているような効果も制作可能。またFEEDBACK数は大きくなく、余韻がスッキリしているので、ディレイによるくどさは発生しません。

通常空間系のエフェクトはsend & returnで送って、ディレイのパラメーターを細かくセッティングする必要がありますが、このSPACEではスライダーの上げ下げだけで簡単にディレイ効果が得られるため便利です。

3.ユニークなパラメーター、MAGIC・ATTITUDE
名前を見るだけでは一体何を調整するか分からないファンタジーさ(笑)これこそまさに直感と本能と言うべきパラメーターでしょう。

MAGICは上げることで埋もれていたボーカルが抜けてきます。存在感のあるボーカルを作るにはここを上手く調整すればよいでしょう。

ATTITUDEは上げると息使いの荒々しさが強調されます。ハードな男性ボーカルに相性が良いし、女性ボーカルにかければアダルトな雰囲気を出すこともできます。

4.前後感を調整するATTACK
コンプレッサーのATTACK TIMEとほぼ同等の効果が得られますが、スライダーを上げるとかなり分かりやすく効果が表れます。上げることにより音の立ち上がりが速くなり、声が前に出ます。下げた状態だと分かりやすく主張が弱まるので、一番上に上げたところから徐々に下げていき、オケとの前後感が丁度いいところを探すという感覚で使うのが得策でしょう。

■懸念点


1.音が太くなり過ぎる。
通すだけで鮮明さと迫力が得られるのが最大の特徴ですが、全ての楽曲にマッチするとは限りません。このプラグインはデフォルトの設定では言わばドンシャリのような音質になり、歌声が派手になります。迫力が出る要因としては50hz周辺の低音が目立つようになるため、バスドラムやベースなどの低音 パートとの兼ね合いを考えれば、別途EQでローカットする必要があります。

加工感を必要としないピュアなサウンドを作るのであれば、無理してこのプラグインにこだわる必要はありません。SENSによって感度を調整できるので、原音を生かしたサウンドメイクをするならココを下げて音作りしましょう。
またメインボーカル以外にコーラスがある場合は掛けない方がよいかもしれません。コーラスまで主張が強くなってバランスが取りづらくなる恐れがあります。

2.ノイズの多いボーカルテイクには使えない。
ゲインが一気に持ち上げられるため、ノイズが余りにも目立つ収録テイクはノイズ成分も底上げされてしまいます。このプラグインとは直接関係ありませんが、ボーカルを収録する際は、マイク本体、マイクケーブル、マイクプリ、レコーダー等の機材からノイズが出ていないか、またマイクと歌い手の距離
やゲインなど入念にチェックしましょう。オケの中で目立っていなくても、ノイズが乗っていることでミックス上では非常に扱いにくいです。

■まとめ


以上となりますが、いかがでしょうか。
JJP VOCALを活用することで、ボーカルが驚くほど磨かれます。このプラグインを使ったミックスをクライアントに送ったところ「こんなにかっこいいボーカルだっけ?」とも言われたことがあり、お気に入りのプラグインになりました。ユニークなパラメーターにより多彩にサウンドメイクができるので、ボーカルの音作りに悩みを持つ方は是非試してみて下さい。

・参考価格:16,200円
・国内代理店:Media Integration, Inc. のリンク

http://www.minet.jp/brand/waves/jjp-vocals/

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宮脇拓也

宮脇拓也

webエンジニア兼ライター、DTM REVIEW編集部。
現在作曲に没頭中。
宮脇拓也

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