Universal Audioは、アウトボードやUAD-2というDSPプラグインで有名なブランドで、Apollo
Twinは同社が販売するUAD-2プラグインが使えるDSPチップ搭載のオーディオインターフェース「
Apollo」シリーズの最新機種である。
デスクトップユーザーを意識して作られたコンパクトタイプの製品だが、ラックタイプのApollo
シリーズと同じパーツが採用されており、いわゆる廉価版という位置づけではなく、
出音/入音共にプロクオリティなサウンドを提供してくれる筆者お気に入りの一台である。
●Universal Audio Apollo Twin機材説明
オーディオ解像度:24bit/192KHz
入出力:最大10in/6out
接続方式:Thunderbolt(現段階ではMac専用)
バンドルUADプラグイン: Realtime Analog Classics
※Realtime Analog Classicsバンドルの内容
- UA 610-B Tube Preamp and EQ
- Teletronix LA-2A Classic Leveling Amplifier (Legacy)
- 1176SE/LN Classic Limiting Amplifiers (Legacy)
- Pultec Pro EQ (Legacy)
- RealVerb-Pro、CS-1 Precision Channel
- Softube Amp Room Essentials (“Amp Room Half-Stack” 、”Bass Amp Room 8×10″)
といった具合。
各社がリーズナブルなハイスペックオーディオインターフェースをリリースしている今日では、
ありがちなスペックとも言える。
UAD-2プラグインが使用出来るのは確かに魅力的だが、コンピュータの性能がかなり向上している現在、自宅でDTMをするユーザーがあえてDSPを使う必要はないだろう。
筆者自身、いくつかDSP搭載のオーディオインターフェースを使用してきているが、ミックスは専らWavesのプラグインを使うので正直出番がないのである。
出音/入音についても、同価格帯の製品で言えばRMEのBabyfaceや、MOTUの828のほうが個人的には好みである。
では、そんな筆者がなぜApollo Twinを使用しているのか?
理由が2つある。
●購入理由
理由その1、DSPで動作するマイクプリやチャンネルストリッププラグインが掛け録りできるとい
う点。
ミキシングを自分でするようになると、遅かれ早かれサウンドの質感というものにこだわりを持ち始めてくる。
そんなとき必要になってくるのが、ハードのコンプやマイクプリ、チャンネルストリップ。
ただし、なんでも良いというわけではなく、それなりのものを用意しないと狙った質感が得られるわけではなく、良い質感を得るためには単体で数十万するようなハードを準備しなければいけなくなる。
しかし、一般人には高級ハードコンプやマイクプリ、チャンネルストリップを用意することなど経済的に不可能なのだ。
一般人がそれらの効果を得るためには、機材をレンタルするか、目的の機材が置いてあるスタジオを借りなければいけない。
いずれにしても限られた時間の中で限られたテイクしか出来ないわけだ。
そんな筆者にとって、掛け録り出来る名器のモデリングマイクプリやチャンネルストリップって
非常に魅力的なわけである。
もちろん、後からプラグインを挿せば質感はコントロールできるのだが、この辺は中年オヤジの自己満足である。ギターのアンプシミュレーターも本番ではアンプを通した音をレコーディングするというのと同じである。掛け録りをした方がしっくりくるんだから仕方ない。
理由その2、「Unison」というテクノロジーが素晴らしいという点。
仮にDSPの掛け録りが出来るオーディオインターフェースが他にもあったとしよう。
このApolloはさらに一歩進んでいる。それが、「Unison」というテクノロジーだ。「Unison」は、挿入したチャンネルストリッププラグインに合わせて、ハード側のマイクプリが最適な設定に調整されるという技術。
つまり、Apollo Twinはプラグインとハードの両方を使って最高のパフォーマンスを発揮するという仕組みなわけだ。
だたし、このテクノロジーが使えるプラグインはApollo Twinに標準で付属するプラグインの中では「UA 610-B Tube Preamp」のみ。
これは同社の人気チャンネルストリップUA610をモデルにしたプラグインで、実機は約10万の製品。
是非、試してみてほしい。かなり良い質感を醸し出す。
その他にも、実機は100万円を超えるNeve1073をモデリングした「Neve 1073 Preamp & EQ Plug-In Collection」等もリリースされており、この「Unison」に対応したプラグインは今後も増えていく予定とのこと。
●残念な点
そんなApollo Twinだが、他の製品と比べていいことばかりというわけではない。
まず、多くのユーザーが肩を落とすのが、Thunderbolt接続のMac専用機であるということだ。
今後の展開は今のところ不明だが、現状WinユーザーはたとえThunderboltポートを備えたマシンを用意したところで使用することができない。
Win環境でDTMをするユーザーも多い昨今、これは非常に残念な話で、筆者もMacに乗りかえた3年前であれば、ApolloTwinを使用することが出来なかったわけである。
それからもうひとつ覚えておいた方がいいことは、DSP2基は決してすべてのユーザーが満足できる数ではないということだろう。
ApolloTwinには、DSPチップを1基搭載したSoloとDSPチップを2基搭載したDuoの2つのバージョンがリリースされているが、DSP2基のDuoを購入したところで、UAD-2を使用してミキシングまですべての作業を行うことはスペック的に不可能だろう。
そもそも、UAD-2プラグインを使用してミキシングを行う場合、DSPが4基あろうが足りない時は足りないので、バウンスしながらの作業が基本になる。
あくまでApolloTwinは、レコーディングをするときに、UAD-2プラグインを掛け録りすることが出来るレベル、1~2トラックにプラグインを挿せるレベルであるということを頭に入れておいた方がいいだろう。
●まとめ
価格はApollo Twin Duoが約100,000円、Apollo Twin
Soloが約80,000円と決してリーズナブルな部類ではないが、他社製の同価格帯のオーディオインターフェースと比較しても出音/入音共に素晴らしく、DTMにおけるレコーディングサウンドをスタジオクオリティに近づけることが出来る非常に優秀な一台である。
また、今後どんなUnison対応のプラグインがリリースされるかという意味でも非常に楽しめる機材である。
今回はオーディオインターフェイスUniversal Audio Apollo Twinのレビューをお伝えしました。
関連サイト
Universal Audio
⇒http://www.uaudio.jp/interfaces/apollo-twin.html
Chanoma
DTM/DAWに関する総合情報サイト「ChanomaのSound Laboratory」運営者。
Twitter: @chanomachanoma
URL : http://chanoma.realfreedom.jp
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