ハイクオリティなプラグインを数多く作り出し、非常に高い評価を得ているUniversal Audio社のUAD-2。今回はUAD-2プラグインの一つ「Fuchs Overdrive Supreme 50 Amplifier」をレビューしたいと思います。
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・Fuchs とは?
まず、フュークスと発音します(笑)
ギタリストでもこのブランドを知っている人は多くはないと思われますが、実は知る人ぞ知るハイクオリティなアンプメーカーです。有名なギタリストとしては、デレック・トラックス、トモ・フジタ、アル・ディ・メオラ、エリック・ゲイルズなどが使用しております。
使用いているギタリストから想像できるように、クラシックなサウンドを特徴としたアンプが多いメーカーです。主に手作業で少量生産している、いわゆる「ブティックアンプ」の部類に入ります。
・Fuchs Overdrive Supreme 50とDumble Overdrive Special
Fuchs Overdrive Supreme 50は「Dumble Overdrive Special」というアンプの特徴を真似た、いわゆる「ダンブル・クローン」です。Dumble Overdrive Specialはギターアンプ界では「幻のアンプ」と呼ばれている非常に希少+高級なアンプで、超一流ミュージシャンですら本物を弾く機会が中々作れないほどのレア品です。ちなみに値段は200〜500万ほどする上に、壊れやすいとの噂が(涙)
そのDumble Overdrive Specialの極上のサウンドを忠実に再現したアンプがFuchs Overdrive Supreme 50です。ちなみに同じダンブルクローンではジョン・メイヤーの使用で人気になったTwo-Rockなどもあります。
・プラグイン版Fuchs Overdrive Supreme 50
そんな伝説のアンプのクローンであるFuchs Overdrive Supreme 50がUAD-2のプラグインとして使用できます。プラグイン界では有名なBrainworxがFuchsエンドースの元に開発したので、外観からサウンドまでかなりこだわった仕様となってます。
まず、プラグインの外観から見てみましょう。
よくあるアンプのコントロールノブ(ゲイン、マスター、EQ、Bright Switch等)に加えて、細かな設定が行えるスイッチや、独自のノブもあります。
- ACCENT:プレゼンスのコントロールのように、ハイの鳴り方を調整できます。
- OUTPUTとMASTER:OUTPUTはオーバードライブモードの出力、MASTERがいわゆるマスターヴォリュームになります。
- INPUT:オーバードライブチャンネルへの信号の入力の大きさを調整します。ゲインを上げるのとまた違うニュアンスで歪みます。
- DEEPスイッチ:低音がわずかに増します、ストラトを使う際などに役立ちます。
- ROCK JAZZスイッチ:JAZZと比べ、ROCKのほうがより低音と中域がはっきりと出てきます。JAZZは甘い音のするホローボディギターと相性が良さそうです。
OUTPUTを引っ張る(プラグインだとクリックですね)とオーバードライブモードになり、MIDノブを引っ張るとさらにゲインが上がります。
少し慣れる必要がありますが、慣れたら割と簡単に音作りが行えます。
アンプのパネルをクリックするとFX Rackというエリアが開き、さらに細かい音作りが行えます。ノイズゲート、ディレイ(!)、プリ、パワーアンプの調整、そしてキャビネットやマイクの組み合わせを選ぶことができたりと、便利な機能満載です。キャビネットとマイクは、なんと83種類のパターンから選べます。最初から設定されているパターンでも十分素晴らしい音なのですが、こだわりたい方は相当細かいところまで音を作りこめます。ディレイも付いているのがギタリスト的には嬉しいところですね。
ちなみに筆者がレビューを行なったUAD Friedman Amplifiers Collectionも同じくBrainworxが開発したものなので、全く同じ機能がついています。(↑の文章もほぼコピペなのは内緒です(笑))
では、肝心なサウンドをいくつか聞いてみましょう。
クリーン
使用ギター:Don Grosh ストラトタイプ
クランチ①
使用ギター:Don Groshストラトタイプ
クランチ②
使用ギター:Gibson Lespaul
リード①
使用ギター:Don Groshストラトタイプ
リード②
使用ギター:Gibson Lespaul
(ディレイはFX RACKのものを使用しており、リバーブはUAD Lexicon 224をうっすらかけています。)
さすがUAD-2のプラグインだけあって、とてもリアルなアンプサウンドですね!クリーンも非常に使い勝手がよく、ダンブルクローン特有のミッドに粘りのあるクランチ、リードトーンも素晴らしいです。よほどヘヴィな音楽でなければこのアンプ一台で割とカバーできる気がします。
ちなみにクリーントーンはエフェクターのノリもいいので、本物のエフェクトペダル→インターフェイス→Fuchs、といった感じで使用してもかなりいい感じです。
ちなみに、Fuchsのアンプを使用しているアル・ディ・メオラ氏もこのプラグインを使用しているようです。
ちなみにこのプラグインはUnison technologyという技術が使用されており、Universal Audio社のApolloインターフェイスを使用した場合、本物のギターアンプにつないだ場合と全く同じインピーダンスが再現され、ノブもインターフェイスでコントロールすることができるようになり、より本物のアンプに繋いでいるかのような感覚で使用できます。レイテンシーもほぼゼロで、筆者的には本物のギターアンプと変わらないぐらいのレスポンスだと思います。音の良さもそうですが、この「アンプを弾いてる感」がギタリストにとってかなり大事なところだと思います。
・デメリット
上記でも説明してますが、ヘヴィな音楽にはあまり向いていません。筆者はポップス〜シンプルなロック寄りの楽曲で使用しており、ヘヴィな楽曲は同じくUAD-2のFriedman Amplifier CollectionやMarshall Jubileeのアンプシミュレーターなどを使用しています。ですが説明したようにクリーンのエフェクターのノリがいいので、お気に入りのハイゲインのエフェクトペダルと組み合わせればかなりリアルな太い音が作れます。
あくまでダンブルのクローンのため、いわゆるマーシャルやフェンダーのような「王道」なサウンドを作り出すことはできません。そういったサウンドを求める場合は同じくUAD-2のマーシャル、フェンダーのプラグインをおすすめします。こちらもかなり素晴らしい出来です。
UAD-2のプラグインを使用するにはUniversal Audio社のハードウェアを購入する必要があるため、持っていない方はまずハードを購入する必要があるので出費が重なります (涙)
・まとめ
いかがでしたでしょうか?ダンブルアンプクローンのアンプシミュレーターは他社でもいくつかありますが、その中でもかなり上位に入る製品だと筆者は感じています。そしてダンブルアンプサウンドのみならずかなり音作りを幅広く行えるので、オールマイティに使用できるプラグインだと思います。UADのアンプシミュレーターはギタリストであれば1度は弾いてみたほうが良いと思うぐらい素晴らしいクオリティですので、是非実際弾いて試してみてください。きっとアンプシミュレーターの概念が変わると思います。
以上、UAD Fuchs Overdrive Supreme 50 Amplifierのレビューでした。最後まで読んでいただきありがとうございました。
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Gentaro Futatsugi
ユニット「fromnou」のギタリストとして活動中。
コンポーザー、アレンジャーとしても活動中。
Twitter:https://twitter.com/fromnou_gentaro
fromnou official website:http://www.fromnou.com
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