誰しもが、今使っているギターのここがもう少しよくなったらなと思う事もあると思います。
今回は比較的リーズなブリなエレキギター Bacchus BST-350R LPB(レイクプラシッドブルー) に改造を施してみたのでその模様をレビューしてみたいと思います。。
少しでも、ギターの改造を考えている方の参考になればなと思います。
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■ スペックリスト
- BODY : ALDER
- NECK : MAPLE
- FINGERBOARD : ROSEWOOD
- SCALE (FLETS) : 25 1/2 inch (22F)
- PICKUPS : ORIGINAL SINGLE COIL TYPE
- CONTROL : 1vo,2tone,5way P.U. selector
- TUNER : ROTOMATIC TYPE
- BRIDGE : SYNCHRONIZED TREM
- BODY FINISH : GLOSS FINISH
- NECK FINISH : GLOSS FINISH
- PRICE:36,750円(tax-included price)
当時の販売価格では安いところでは3万円でお釣りがくるギターでした。安価なギターにありがちなチューニングの狂いも少なく、フレット端の処理も特に問題ありません。
少し気になるといえば指板のローズウッドにコストを掛けていないようですが、これは価格を考えると妥協点だと思います。本来の音についてですが、フェンダーのアルニコ系P.U.の鈴鳴りではなく、BST-350RはセラミックマグネットP.U.。
ストラトにテレキャスの音を少し混ぜたようなアタックにギラッとした成分を含んでいます。高域にピークのある高出力というかモダンなストラトタイプのギターでした。
>> 改造に至った経緯 <<
実はシングルコイル×3のギターを使うのは相当に久しぶりでした。ギターを弾き始めた頃に少しだけ使用していたのですが、ノイズが嫌になり、それ以後はリアP.U.にハムバッキングを搭載したギターばかりを使っています。
また、標準P.U.は高域にエッジがあるモダンな音ですが、ハーフトーンにすると低域が少し強く感じました。
そこでクリーンにした時の調整の為にTBXトーンコントロールを取り付けようと考えました。
TBXは5のセンターがクリック位置で、この位置から上下に動作させるとハイカット、ローカットとして動作します。
フェンダーのクラプトンモデルにはこのTBXとミッドブースターが装備されています。
また、P.U.交換は好みの問題です。私は出力の低いP.U.のハーフトーンが好きです。
このような理由からBacchus BST-350Rにノイズ対策を含め、自分好みの音にするためにいくつかの改造を施すことにしました。
>> ノイズの原因 <<
ノイズの原因は電磁誘導ノイズを含む様々な放射ノイズ。
少し話がそれますが、DTMでギターを録音する際にノイズが気になりますよね。
特に歪ませた場合の無音時、ブレイク時、クリーントーンでもコンプレッサーを掛けた時など。
そこで、シングルコイルのギターを使ってノイズの発生源を探し、その方向に向けないことでノイズの少ない状態で録音する方法を。
- リアシングルのギターもしくはハムの場合リアをタップする。
- コンプレッサーとディストーションを大げさに掛ける。
- ギターの正面をパソコン、機器、延長タップ、コンセント、
家電製品などに近づける。
するとノイズの発生源となるモノに近づいた時にギターのノイズが大きくなります。
それがノイズの発生源。
- 録音するときにギターをその発生源に向けない。
- 可能ならその発生源の電源を切る、出来ないなら遠ざける。
- ノイズの発生源にアース端子があり、アースを取っていないなら取ってみる。
- ノイズの発生源がタップ等で、かつ安価なものを使用しているなら
少し奮発して買い替えてみる。(効果の程は交換してみないと判りません)
これで録音時のノイズが少し改善されるかもしれません。
>> コストカット <<
安価なギターなので、どこにコストを掛けて、どこのコストを抑えるか。
これはメーカーごとの考え方によるもの、モデルごとの特色を打ち出すために決定されるもの、同価格帯前後のモデルと共通部品化させているもの。
理由は様々ですがバッカスBST-350Rでの感想は、コストカットはサーキット、指板、ピックアップ。
ピックアップは価格に対して質が悪いという意味ではなく、共通部品化によってBST-350Rの音がモダンに振られているという個人的な音の好みの問題です。
逆にボディは材の目もそんなに荒くなく重量もあり、価格以上のコストは掛かっているのかなと思いました。
そしてチューニングが狂いにくかったことから、材は別としてもペグとブリッジ精度は良いものだと思いました。
>> コストカットの実際 <<
ではコストカットされたパーツとはどのようなものでしょう。サーキット部品のポットを例にご紹介します。
左は安価な250kΩのポット右は少し価格帯の高いポットです。安価なポットでは19Ωオーバーしていますが、少し高いポットでは6kΩと誤差範囲は1/3です。
フル10の際にどれだけコンデンサに流れているか測定してみました。これも安価なポットと比較すると少し上の価格帯のポットでは1/3の誤差範囲でした。
サーキットを交換する有意性について考察する参考までに。
>> 改造コスト <<
さて、話を戻してBacchus BST-350Rに施した改造は、
- ハイカット/ローカットができる FENDER TBX TONE CONTROLの取り付け
- サーキット交換
- アルミテープを使用した電磁ノイズ対策
- ピックアップ交換(Seymour Duncan Vintage Staggered SSL-1×3)
1と2、3、4と施した時期は異なっています。
要したコストは、
- 1-1.TBX TONE CONTROL【3,000円】
- 1-2.ピックアップセレクター【1,500円】
- 1-3.トーンポット/ボリュームポット【800円】
- 1-4.コンデンサ交換【1,000円】
- 1-5.内部配線材【200円】
- 2.アルミテープ【500円】
- 3-1.ピックアップセット【13,800円】
- 3-2.ピックアップカバーセット【1,500円】
ここまでの合計は22,300円ですが、安いところでまとめて購入すると2万円でお釣りがくるでしょう。
仮にギターを3万円として合計約5万円
5万円あればパーツの良いスクワイヤ、セール中ならフェンダージャパンが購入できそうです。
そこはよく考えて。
>> 今回の改造での注意ポイント <<
ピックアップ交換とTBXトーンコントロールの取り付けは説明書とおりに行えば何も問題ありませんが、アルミテープによるノイズ対策は説明書がありません。
(実際に使用したアルミテープ)
コツとしては、
- アルミテープとギターのアースを接続すること。
- ホットが流れる金属パーツに触れさせないこと。
- 貼り合わせたアルミテープが一体的に通電していること。
これらがキチンと施されてないと、アルミテープがアンテナとなりノイズが増えたり、コンデンサと同じ働きとなってハイ落ちとなったりします。
また、アルミテープをテスターで測定して、それ自体に抵抗があるようなら、そのアルミテープはノイズ対策に相応しくありません。
そして、アルミテープの表面に電気が流れないような処理が施されているアルミテープではテープ同士を接続することができません。
(アルミテープを施したピックガード裏)
この点に注意して施せばハイ落ちやノイズ増というリスクは低減します。
ハイ落ちについては、ノイズによってマスキングされていた成分が聴こえるようになった結果、これまでのバランスと異なって聴こえることがあるため、ハイ落ちと感じることもあります。
その際は中低域の聴こえ方に注目してみましょう。
>> 改造の結果 <<
ピックアップ交換を行う前のアルミテープによるノイズ対策とサーキット交換の結果です。
- アルミテープ処理【500円】
- トーンポット/ボリュームポットを交換【800円】
- コンデンサ交換【1,000円】
- P.U.セレクター交換【1,500円】
- TBXトーンコントロールの取り付け【3,000円】
- 内部配線材を交換【200円】
ここまでのコストは7千円前後。
購入時の状態で3フレットセーハGを弾いたところです。数字は弦を示します。
これは改造後です。購入時と改造後では青い矢印6kHz〜10kHzの倍音成分が豊かになっています。黄色い矢印は傾向を示していますがハイが上がった感じがします。
赤い矢印10kHz少し上が下がっていますが、どちらも1kHzを超えたあたりからなだらかな右カーブを描いて下がっているのに対し、購入時の状態にある赤い矢印部分だけ突出しているのは異様です。
これは何らかのノイズが混入していた可能性が高いです。
また、改造後では2弦基音のバランスが良くなったように現れています。しかし、2弦の各倍音の構成をみてみると、実際は力加減の差であった可能性が高いと考えます。
全く同じ力加減で弾くのは不可能なので、アタック直後の周波数分布をキャプチャし、基音の出力が同じになるように画像を合わせました。
基音の出力は同じですが、高域の倍音成分が綺麗に出るようになっています。
聴覚上でも少し高域の品が良くなったような気がします。ノイズが減ったのでそう感じるのでしょうか。
ピックアップ交換は音の好みの問題なので、これは何とも言えませんが、BST-350Rのボディ材がまがいなりにもアルダーであったことと、それなりの質量が確保されていました。
もちろん材の種類と質量が良し悪しの全てではありませんが、P.U.交換の効果もある程度期待できることから交換に踏み切りました。
結果、BST-350Rは歪みが似合うギターからクリーントーンが似合うギターに変わりました。
>> まとめ <<
ギターの改造は最初の購入費用に改造費用が加わるため、最初からもうワンランク上のギターが購入できる場合もあります。
経験上からいえば、ギターを始める方は最初に少し奮発して中堅機種を選択した方が弾きやすく、長続きすると思います。最初にお金が掛かっているので止めにくいというのもありますが。
逆にギターをある程度弾ければ、安価なギターでも力技で引き倒したり、パーツ交換で自分の思う音に近づけることも出来ます。
ギターをイジって遊ぶという別の趣味とも言えますが、その構造や仕組みを理解するのによいともいえます。
条件は最後まで愛着と責任を持って大切に扱うということでしょうか。
今回はギターを改造して音を良くしよう!Bacchus(バッカス)ギター BST-350R LPB(レイクプラシッドブルー) をお送りしました。
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MOMODON
シンセやシーケンサーで曲を作っていたことからDTMに興味を持つようになりました。
社会人になり音楽から遠ざかっていましたが十数年ぶりに再燃。
CUBASEと手持ちの楽器を手に休日の趣味に勤しんでいます。
Harmonic-Sound:http://harmonic-sound.com/
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