ここ最近のパーティーやクラブでプレイしているDJはブースの上にノートPCを置いてPCDJをするようになってきました。昔はDJと言ったら何十枚、何百枚のアナログレコードを持ってクラブに出掛け、曲を掛けていました。でも数年前にはCDJと呼ばれるCDでDJプレイする人達が出てきて、今はパソコン一つでDJプレイが出来るようになりました。PCに好きな曲や掛けたい曲を入れて置けば、ソフトとコントローラーでDJが出来るのです。クラブに大きなレコードバックを持っていかなくてもプレイできるのです。安価で手に入り、そして軽い気分で始められる。やろうと思えば誰でもやれる。ここでは気軽に始められるPCDJについて話して行こうと思います。
○DJとは
DJとは何か。それは音楽を掛け、音を途切れなく掛け続ける者である。それだけです。MIXとかスクラッチとか聞きますが、それはセンスです。センスが無ければMIXとかスクラッチは出来ません。カッコつけるセンスが必要です。それがDJだと思います。
○DJ機材の種類
DJの人達は何を使って曲を掛けるのでしょうか。ここでは簡単に説明したいと思っております。
1.ターンテーブル
昔ながらのスタイルです。アナログレコードを使って曲を掛けます。曲の頭だしや、曲飛ばしは自分の耳でしなければならなくて技術が必要です。また針やカートリッジによって音が変わったりして、こだわる人も多いです。音質に厚みがあり、サウンドが良質な為、今でもレコードを使ってプレイする人は多いです。
2. CDJ
CDを使用して曲を掛けます。家にあるコンポや車のカーステレオと同じ感覚で出来ます。CDJには円盤のようなモノが付いており、それを触ると巻き戻したり、スクラッチしたりと出来ます。またディスプレイも付いているので楽曲のどの辺を流しているのか目でモニターが出来るのでとても操作しやすいです。
3.PCDJ
これは今回のお話である主役の機材ですね。PCに入れてある楽曲を専用のソフトとコントローラーで曲を掛けます。CDとレコードと違って持ち運びがPCとコントローラーのみでとても楽です。また、ソフトも高機能で、高品質なディレイやリバーブ、フェイザーなどエフェクター類が多種入っています。おまけにループ機能やサンプリング機能も備えており、これ一台でなんだって出来ちゃう優れものです。レコード感覚でやりたいって人のためにコントロールレコードと専用インターフェイスなどもあり、スタイルも自由です。
4.ミキサー
ミキサーは音を収集するものです。これは完全必須アイテムです。例えばターンテーブルが二台ある場合、二台ともミキサーに繋いで尚且つそのボリュームをなどを操作する機材です。1台のターンテーブルで曲を流している間に、もう一台のターンテーブルで曲を選び、音が途切れないようクロスフェードさせて曲を繋いだりする役目をします。このミキサーを使用して様々なプレイスタイルが実現できます。
5.ヘッドフォン
曲を選曲する時にモニタリングするのに必要な機材です。頻繁に使うため、結構頑丈に出来ていて、それに装着すると他の音が遮断するぐらい密閉に作られています。
DJは上記の機材を使ってプレイをします。音を出す為のスピーカー等はクラブやイベント等で設置しているので省略しますが、これらでDJは様々なプレイスタイルが実現できるのです。
DJのプレイスタイル
ではDJはどんな風に曲を掛けるのでしょうか。次は主にどんなDJのスタイルがあるか紹介したいと思います。
1.セレクターDJ
曲を選曲し、現場に合った曲を音が途切れることなく掛ける人です。イベントの内容や、ジャンル、お客さんの好みなどを見分け選曲し、掛けていきます。初めてDJする人は大体セレクターから始まります。それほど難しい技術を必要としませんし、とても入りやすい所だと思います。人によってはトースティングと言って、曲紹介や歌う人も居ます(特にヒップホップやレゲエの人に多い)
2.ミキサーDJ
これは正しい呼び方では無いと思いますが、プレイスタイルはMIXがメインなのでこういう呼び方にします。テクノやハウスのジャンルの人に多いプレイスタイルです。BPMに合わせて音をどんどん重ねていくスタイルです。一つの音楽にループされた音を重ねたり、外したりと展開をつけて曲のように聞かせます。気づくと曲が変わっていたり、知ってる曲なのにちょっと違うなどのREMIXスタイルがメインです。また、誰かの曲なのに別の曲の歌が入っている!などのマッシュアップスタイルもミキサータイプのDJの人が良くやります。
3.パフォーマーDJ
パフォーマーと言うのはその筋の人に大変失礼かもしれませんが、ヒップホップDJやターンテーブルリストと呼ばれる人達です。スクラッチや二枚使いなどをしていき、リアルタイムで曲のような音楽を作り上げてく人達です。このジャンルの人達はすごく特殊で、『音楽を聴く』では無く『音楽で音楽を作る』人達です。とても奥の深いスタイルです。
おおまかに説明しましたが、DJのプレイスタイルはこのようになります。自分合ったプレイスタイルを選んでみて下さい。
PCDJに必要な機材
PCDJをするのに必要な機材を紹介したいと思います。
1.ノートPC
選ぶのは持ち運び便利なノート型PC。スペックは高ければ高い方が良いですが、最低でもCPUはCORE 2 DUO(2.0GHz)以上は必要だと思います。メモリは4GB以上。HDDは多ければ多いほど良いでしょう。HDDが多ければPCに入れる曲も増えます。このぐらいのスペックは中古で探すと結構安価で売っています。
2.ヘッドフォン
これも必須アイテムです。曲を選曲するときはヘッドフォンを使ってモニタリングするので必要です。ヘッドフォンであれば何でも良いのですが、選ぶなら頑丈なのを選びましょう。
3.DJコントローラー
4種類のコントローラーがあります。それを紹介しましょう。
・コントロールディスクを用いた使い方
CDJやターンテーブルにコントロールディスクを用いてDJソフトを動かすタイプです。PCの他にターンテーブル、CDJ、ミキサー、PCとミキサー間の専用インターフェイス、コントロールディスクが必要となります。SCRATCH LIVEやTRAKTOR SCRATCHと呼ばれるのがこのタイプです。ソフトも無料で付いて来ます。
・USBタイプのDJコントローラー
安価なタイプのDJコントローラーです。SERATO DJやVIRTUAL DJのソフトが無料で付いて来ます。余計な機能が付いていない為、見た目はシンプルでとても使いやすいコントローラーです。ただ、ヘッドフォン出力が無い為に音を出すには別途専用インターフェイスが必要になりますが、PCのオーディオ出力だけでも使用することは可能です。
・オールインワンタイプのDJコントローラー
高価なタイプのDJコントローラーです。TRAKTOR PROやVIRTUAL DJ、SERATO DJのソフトが無料で付いて来ます。機能性を重視したタイプで、曲を掛けるだけでなくループ、エフェクターをつまみで操作したり、ループをパッド録音してサンプラーの用に操作したりと様々なプレイスタイルを実現できます。また、コントローラーにはヘッドフォン出力、オーディオ出力、MIDIなどが付いており、PCとこれ一台あればほぼ全てのことが出来ます。
・iPhone,iPad用DJコントローラー
なんとiPhoneとiPadでDJが出来る優れものです。ソフトはストアで販売しており、それに専用コントローラーを準備するだけでDJが出来ます。コントローラーはNUMARKの製品が多く、操作性もとても簡単です。ヘッドフォン出力もオーディオ出力も付属しているので、コントローラーのみ持っていればいつでも何処でも簡単にDJが出来ます。
・オーディオインターフェイス
コンピューターから音を出力する時に必要な機材です。SCRATCH LIVEやオールインタイプの機材には不必要ですが、USBタイプのコントローラーですとこの機材が必要です。必ずDJ用のオーでイオインターフェイスを選びましょう。ヘッドフォン出力とオーディオ出力が2つあるものを選びましょう。
PCDJはそれほど準備する機材が少なく、バック一つ持っていれば持ち運びも楽です。楽に機材を揃えて楽にDJが出来る。本当に誰でもDJが出来る時代になったわけです。
・PCDJのメリット、デメリット
PCDJを選ぶ理由は先程も書いたとおり「楽」です。ですが逆に悪い点もあります。それを理解し、自分に合うスタイルを選んで行きましょう。
○メリット
・PCに曲を入れておくので、大量のCDやレコードを持ち運ぶ必要が無い。
・シェアが広い。
・小型なのでバック一つで持ち運ぶことが出来る。
・高機能、多機能なので、エフェクターを使ったりサンプリングしたりと自由自在のプレイが一台で出来る。
・ピッチ、BPM、波形が目視出来る。またボタン一つで音量を調整したりBPMを合わせたりすることが簡単。
・全ての操作をコントローラー一つで可能。
○デメリット
・データが高音質でないと音質が酷い。
・多機能だが、操作を覚えるまでが大変。
・スクラッチは不向き、パフォーマンスもしょぼい(DJコントローラーだけの人だと…)
・転換時に少々手間取る。また音が出ないトラブルに悩まされる。
・壊れたら修理が出来ない。
・「これ誰の曲?」にジャケットを見せて返答出来ない。
このぐらいですかね。デメリットを見る限りでも、メリットを重視すればそれ程気にならないです。また、他の機材との拡張性も最近は増えているので新しいプレイスタイルがどんどん増えていくだろうと思います。
・終わりに
最初に記述したとおりPCDJは誰にでも始められて誰にでも簡単に出来ます。そしていつだって何処でだって自由に始めることが可能なのです。だからこそこれから始める人たちはもっともっと楽いプレイを実現して欲しいと思います。
~ライター紹介~
HAGA
PA,レコーディング、ノイズ屋
参考資料
DJ機材専門店PowerDJ’s
⇒http://www.rakuten.ne.jp/gold/dj/
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