ベース音源SpectrasonicsのTrilianレビューをお送りします。
TrilianはOmnisphere, Stylus RMXと共にSpectrasonics3兄弟と呼ばれる、数少ない総合ベース音源。 アコースティックベース(ダブルベース)、エレキベース、シンセベースと「ベース」と呼ばれる音色を全てをカバーするスーパーベース音源音源である。
シンセベースについては、
Yamaha® CS-80、Cwejman™ Modular、Moog Minimoog™、Little Phatty™、Voyager™、Taurus™ Pedals、Korg MS-20、Oberheim 2 voice、ARP 2600、Roland Juno60/106、Waldorf Pulse™、
DSI Mopho™ & Tetra™、Roland TB-303、SH-101、MetasonicsKV-100 Assblaster、SE-1、Omega、ATC-1、Novation™ Bass Stationなどの名立たる名機333種類のシンセ・ベースを収録。
エレキベースについても、
5弦のMusic Man™ Studio Bass、Fender Jazz Bass®、Epiphone™ Retro60’s Bass、Lakland™ Rock P-Bass、Chapman Stick®
など数多くのモデルを収録しており、欲しいベース音色はこれ一つで全て手に入るといっても過言ではない非常に豪華な内容となっている。
◆trilianの魅力
1.エレキベース
Trilianの魅力は何と言ってもその音質だろう。 非常に素晴らしいサウンドクオリティである。 プリセットを読み込んでキーを一つ押さえるだけで超ハイクオリティな音が鳴り響く。 初めてTrilianを鳴らした時は思わずにやけてしまったのを覚えている。
エレキベースについては、フィンガー、ピック、スラップ、スライドやハンマリング、プリング オフ、トリルを始め、様々なアーティキュレーションを収録、
そのほかにも同音連拍時にサンプ ルが自動で切り替わる「ラウンド・ロビン」機能、ピッチを微妙に変化させる機能も装備されて おり、どこまでもリアルなエレキベースを作成することが出来る。
ジャズ等の繊細なベースラインから、ハードなバンドもののベースラインまで幅広く対応できる。 また、ミキシングを経験したことのある方ならわかると思うが、エレキベースのミキシングでは、 いわゆる「ライン(DI) 音」と「アンプを通した音」の両方を用意して、双方のバランスを調整したりすることがある。
これは、ベースの低音をしっかり鳴らしつつ音の輪郭を残すためによく使われる手法なのだが、 このTrilian は「ライン音」と「アンプ音」の両方を収録しており、ツマミひとつでそのバランスを調整でき るようになっている。 いちいちライン音とアンプ音のトラックを作ってフェーダーでコントロールしなくても、チョイ チョイっとツマミを回してやれば完了してしまうわけである。
ミキシングに慣れている方などは、かえってフェーダーの方がやりやすい可能性もあるが、めん どくさがりの筆者にとっては素晴らしい機能である。
2.シンセベース
正直なところ、シンセベースについては筆者はあまりTrilianは使っていない。 理由は至ってシンプル。 VAシンセで音を作った方が面白いからだ。 最近では名機と呼ばれるアナログシンセ達をモデリングしたプラグインや、優秀なVAシンセが豊 富に存在する。 筆者はそれをいじることに魅力を感じてしまっているわけだ。
しかし、ぶっちゃけ筆者の場合、VAシンセを使わないでTrilianを使用した方が曲のクオリティ は上がるだろう。 ここは自己満足の世界。 ・・・そっとしておいてやってほしい。
3.エフェクト
ミキシング用のプラグインエフェクトでも有名なNomad Factoryなどの手によるエフェクトを32 種類装備。
チューブ・リミッター、コンプレッサー、ワウ、フィルター、EQ 、ディストーション、リバーブ、ゲート・エキスパンダー、ステレオ・イメージャー、フランジャ ー、フェイザー、BPMディレイ、テープ・ディレイ等々・・・。
これ一つでベースに関する音作りは全て完結出来る内容となっているわけである。
◆残念な点。
音質については何も言うことがない。 非常に素晴らしいクオリティである。 ただ、一方で昔から言われているのが動作の「重さ」である。 ベース音源なので基本的には他のトラックと同時に使用することになるのだが、貧弱なコンピュー タではちょっとキツいだろう。
もちろん各トラックをフリーズしながら作業を進めれば問題ないだろうが、作業効率が良いとは 言えない。 ひと昔前はそれが当たり前だったが、筆者を含めて最近のDTMユーザーは複数の音源を同時に使 用することに慣れてしまっている。
贅沢な話だが、今後はそういう使い方がスタンダードになっているのも事実なのでもう少し快適 に動作してほしいと思ってしまう。
まあ、ここ数年で家庭用コンピュータの性能も著しく向上しているので最近のマシンであればそ んなに苦労しないかもしれないが、同時に他の音源も使用したいのであればそこそこのスペック のコンピュータを用意しなければならないだろう。
◆まとめ
ベースというパートはどちらかと言えば裏方のパート。 楽曲を作るときにも目立ちにくい部類にはなるのでDTMを始めたばかりのユーザーにとってはベー ス音源はそんなに興味の湧かないものかもしれない。
しかし、 「そろそろちゃんとしたベースの音源が欲しいな~。」 と思った時はこのTrilianを試してみてはどうだろう。
今回はベース音源SpectrasonicsのTrilianレビューをお送りしました。
Chanoma
DTM/DAWに関する総合情報サイト「ChanomaのSound Laboratory」運営者。
Twitter: @chanomachanoma
URL : http://chanoma.realfreedom.jp
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