今回はアンプシミュレーター(マルチエフェクター)兼オーディオインターフェースである、AVID Eleven Rackについてレビューになります。ギタリスト、DTMを行う人、2つの視点から書かせて頂きました。
■購入理由
ギターを初めてから数年の間Zoomのマルチエフェクターをマルチエフェクター兼インターフェースと利用し、Cubase LEにて宅録を楽しんでいました。その後DTMを本格的に始めようと様々な機材を検討し、音質・操作性・機能性・予算などにおいて当時の自分にとって一番ベストな機材だと思い購入しました。
最大の決め手はやはり音質と予算のバランスでした。
BOSS、LINE 6、ZOOMと比較した際、音質がまず良い。一番良かったです。(詳しくは後に記載されています。)
さらにPro Toolsが付属しています。買ってすぐにDTMを本格的に始められます。
値段的には他社製品より上ですがPro toolsが付属していることも考えればけして高くはなく、今でもEleven Rackの購入は良い選択であったと自負しています。
最近ではFractal AudioやKemperなど高品質、高価格なアンプシミュレーターも開発、販売されており私も試奏しました。確かに大きな人気にも納得のいく製品でした。しかしEleven Rackも使い方やコストパフォーマンスにおいて十二分に勝負できる製品だと私は思いました。
(Pro Tools11 最初から入っている プラグインですぐに本格的な作曲や編集が行えます)
■Eleven Rack詳細説明
まず私の解釈として、Eleven Rackには大きく分けて下記2つの機能があり2Uの中に搭載されています。(※細く正確な仕様についてはメーカーのHPなどで確認してください。)
- アンプシミュレーター(マルチエフェクター)
- オーディオインターフェース
それではまず”1.アンプシミュレーター(マルチエフェクター)”としての説明をさせて頂きます。
Eleven Rackには約16種類のアンプがシミュレーターとして入っています。
その他キャビネットやマイク、エフェクターと数十種類はシミュレーションされています。
他社に比べるとそれこそ数は少ないですが、各アンプやエフェクターのクオリティは非常に高いです。
私の使い方としては、
自宅使用の場合、Eleven Rack(アンプ、キャビ、マイク、エフェクター)→モニタースピーカーorヘッドホン
スタジオ/ライブ使用の場合、Eleven Rack(アンプ、エフェクター)→アンプのリターン、キャビという風に使っています。
キャビネットのシミュレーターをオン、オフ選べるので使用用途に合わせて選択しています。
また私のコツとしてはEleven Rackに入力される前に一つ歪みのアナログエフェクター(ブースター系)を使用することにより、よりアンプライクな音を楽しめます。
この手の製品では当然のことではありますが、演奏時のレイテンシーは限りなくゼロに近いです。無いと言っても間違いないくらいです。
それでは次に”②オーディオインターフェース”としての説明をさせて頂きます。
Eleven Rackには
- コンバーター 24-bit
- 対応するサンプルレート 44.1、48、88.2、96kHz
- アナログ入力 1/4インチ TS True-Z x 1、1/4インチ TRSライン x 2、1/4インチ TRS FX Loop Return x 2
- アナログ出力 XLR Main x 2、1/4インチ TRS FX Loop Send x 2、1/4インチ TS Output to Amp x 2
- デジタル入力 XLR AES/EBU x 1、RCA同軸S/PDIF x 1
- デジタル出力 XLR AES/EBU x 1、RCA同軸S/PDIF x 1
- MIDI入出力 5ピン x 2、DIN MIDIイン(DIN MIDI In)、MIDIイン/アウト/スルー・コネクタ(MIDI Out/Thru)
- Sync I/O AES/EBU、S/PDIF
- ヘッドフォン出力 1/4インチTRS x 1
- PC/Macとの接続はUSB2.0
というような入出力が装備されています。
ギタリストや作曲家、初めの頃のエンジニア(ミックスなど)にとっては申し分無い内容かと思います。
前面ではギターやマイクのインプット、ヘッドホンアウトプット、マスターボリュームなどレコーディングを直感的に操作しやすくなっています。
もちろんファンタム電源を使用したコンデンサーマイクでのレコーディングも可能です。
後面にもインプットがあるので私の場合はマイク→マイクプリアンプ→Eleven Rack→Pro Toolsと常に接続してあります。(ギターは前面インプットです。)
これによりボーカル録り、ギターマイク録り、ギターライン録りがすぐに行うことができます。
作曲をする人にとっては非常に使いやすい環境を作る事のできる機材かと思います。
また、レイテンシーが気になる方もいると思います。正直ラインレコーディング時には環境によってはレイテンシーを感じることもあります。
しかしPro Toolsの方でバッファサイズを変更するか、ゼロレイテンシーモニタリング機能を使用することによりレイテンシー問題をクリアできます。
■気に入っている点と問題点
気に入っている点はたくさんあります。その中でも特に気に入っている点は『音』と『操作性』です。もちろん購入時の値段も気に入ったのですが、ここでは使用時に限定して解説します。
『音』に関しては、デジタル特有の抜けなさや奥行きの無さが非常に少ないです。
歪み方や歪みの質、レンジ感に関してもとても高いクオリティかと思います。
特にEleven Rackはクリーンからクランチにかけてが非常に得意な製品かと思います。
もちろんハイゲインにしても嫌な歪み方はしません。
『操作性』に関しては、直感的に操作することができ、レコーディング時などは最近公開されたスタンドアロンのEleven Rack Editorを使いPC、Mac上からもアンプやエフェクターなどのパラメータを操作できます。
Eleven Rack EditorはUSB接続されているPC/Mac上で操作や音色の保存を行う事ができます。
個人的には自宅で音を作り込みたいときはエディターを使います。また、ライブやリハーサルではだいたい音色を自宅でエディターを使用し作成していき、微調整を現地にて本体で直接操作や保存を行います。慣れてしまえばアンプのセッティングを行うのと基本かわらないと私は思っています。
当然エディターが無くとも十二分に操作や音作りはできますし、逆にライブやリハーサルにPC/Macを持ち込み操作を行う事も可能です。
ライブ時なども音色を保存しMIDIフットセレクターでの切り替えを行うことで常に多くの気に入った音色を持ち歩く事ができます。また、オレンジ色の液晶を暗い場所でも非常に見やすくなっています。
問題点としては自分のレベルが上がっていったとき、音質や入出力などスペック面で物足りなくなってくる事があるかも知れないというくらいです。
アンプライクな音をデジタル機材でも求めればさらに高価なものが必要ですし、レコーディングにおいても音質やチャンネル数を増やすにはさらに良いインターフェースを買う必要もあると思います。
しかし、機材としての致命的な欠点などは私は感じていません。むしろライブにおいてもレコーディングにおいても考えられた優れた製品かと思います。
■他社製品との比較
Eleven Rackはアンプシミュレーターとしても、インターフェースとして中堅クラスかと思っています。ちなみに以下の個人的観点による判断です。
- アンプシミュレーターとしての音質、機能
- オーディオインターフェースとしての音質、機能
- 価格
- 形、大きさや重さ
上記のものは人により求める箇所が違うので人により評価、判断は違うと思います。
価格やライブ使用に重点を置くのであればBOSSやLINE 6、ZOOMにアンプシミュレーターの音質、機能に重点を置くのであればFractal AudioやKemperにと私は思っています。
その中でもEleven Rackは総合的にバランスの取れている製品だと思います。
■最後に
色々書いてきましたが、結局は好みの問題だと思います。
実際に楽器店で試奏や操作を行ってみるのが1番の判断材料です。
私はこのレビューの中で出てきた製品はほぼ試奏しました。そしてEleven Rackを購入して3年ほど経ちましたが今でも良い買い物をしたと思っています。日々お世話になっています。
もしこのレビューを読んだあと楽器店で見かけたら試しに試奏してみてはいかがでしょうか?一見難しく見える方もいるかもしれませんが、その音や操作性に驚く方もいるかもしれません。
以上、非常に便利で優秀なアンプシミュレーター(マルチエフェクター)兼オーディオインターフェース『AVID Eleven Rack』のレビューになります。
メーカーHP
⇒http://www.avid.com/JP/products/eleven-rack
Kentaro
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