先日SONAR X3の発売がアナウンスされましが、今でも使っている人が多いと思われます、SOINAR X2のレビューをしたいと思います。
DTMソフト:SONAR X2購入動機
私がDTMに手を出したのは、たまたま友人から譲り受けたSONAR4を使い始めたのがきっかけでした。もともとピアノとキーボード演奏をしながら楽譜に書き記していく作曲をしていましたが、それをパソコンと接続して録音できるだけでなく、頭の中で描いていた様々な楽器の演奏を付け足せるという喜び、そして当時最新鋭だったサラウンド機能が扱えるのが嬉しく、寝る時間も惜しんで作曲活動をしていました。しかし高校生だった私がキーボードとパソコンを接続するデバイスに大金は出せず、安価なMIDI-USBデバイスを利用していたためレイテンシー(キーボードのキーを押さえてからソフトウェアから実際に音が出るまでのタイムラグ)が大きく、それに嫌気が指して次第に使わなくなってしまっていました。
しかし数年後、ひょんなことからRolandのQUAD-CAPTURE UA-55を知り、購入すると共に付属していたSONAR X2 LEを久しぶりに使ってみると、レイテンシーの不自由さはほとんど感じられず、自由な作曲活動が行える喜びが再び蘇ってきました(もちろんUA-55はレイテンシー対策に定評のあるASIOドライバを標準使用できます)。LEでもほとんどの作業がこなせ、十分ではありましたが、使いはじめるとR-MIXやV-Vocal等の様々な機能を使いたくなり、製品版SONAR X2 PRODUCERを購入。結局作曲の仕事依頼を引き受ける機会も増え、現在に至ります。今回はSONAR4では比較対象にはならないため、製品版を購入した使用感をレビューさせていただきます。
SONARはPRODUCERエディションの他にもSTUDIO、ESSENTIAL、そして非売品でRoland製品の付属品で兼価板のLEがあります。しかし私が欲しかったV-Vocalというマイクで録音したヴォーカルの声を楽譜と連動させてピッチを補正・操作する機能がPRODUCERとSTUDIOにのみ、さらにR-MIXという、既存音楽をビジュアライズして表示し、ヴォーカルや楽器ごとに音をリアルタイムに取り出したり消したりできる機能がPRODUCERにしか付属していなかったため、これを選びました。
V-vocalではヴォーカルのピッチ修正だけでなく、タイミングや声色なども扱えるため、ロボットの様な歌声にしたり、性別を超えた歌声を作り出すこともできます。
DTMソフト:SONAR X2 PRODUCERの基本的操作
以前使用していたSONAR4とX2では全く違うUIですが、より完結でわかりやすいデザインにされているため、教本等を購入せずとも操作に慣れるまでに時間はかかりませんでした。音楽データとして最終仕上げし、CD制作までをシンプル操作で行える簡単さに加え、画面上の各操作パネルをカスタマイズして配置パターンを作ることができるのもとても便利です。配置パターンは10パターンまで保存でき、ワンクリックで切り替えることができます。予めパネル配置パターンがいくつか用意されているので、初めてだった私にもパターンごとの利点が想像でき、そこからさらに自分なりにカスタマイズできます。
日常的にキーボードを繋いで作曲していますが、アレンジを加えていく過程で細かい変更をしたくなった時の操作のわかりやすさが特に気に入っています。トラック毎にピアノロールビューや譜面ビュー等、その時々に合わせて編集画面を使い分けています。楽譜がわからない人でもピアノロールビューは直感的に使えるので、音楽を始めたい人にもとてもわかりやすい機能だと思います。ピアノロールビューでは、ピッチだけでなく強弱の動きやビブラート等、細かい設定も簡単に変更可能です。
簡単操作でできるとはいえ、音を細かく加工したり調整するには、豊富なプラグインが予め用意されており、専門的な編集にも十分応用可能です。
また、SONAR4時代にはしょっちゅうPCがフリーズしてしまっていたのが、X2ではトラックごとのフリーズ機能があり、当分触らないMIDIトラックをフリーズさせておくことで動作が軽くフリーズし難くなったのも有難いです。
SONAR X2の豊富で素晴らしいプラグインシンセ
さらに、私のようにプラグインシンセを多用する者にとって、心強いプラグインシンセが予め内蔵されているのがPRODUCERの大きな利点だと、購入後に実感しました。Dimension-proやTrue-pianoは特にお気に入りで、Dimension-proでスチールギターや琴などの音色を用いて、キーボードで何気なく演奏していると、同居しているギタリストの兄弟が「新しいギターを買ったの!?」と驚いて聴きにくるほどリアルな音がサンプリング、そして調整形態が用意されています。細かい調整をせずとも、すぐにそれなりのオーケストラやバンド音楽を作れてしまうところがとても気持よく楽しめる最大の魅力だと感じています。
True-pianoも、ピアノ演奏を日頃からしている私が、キーボード単体での感触ではなかなか表現し辛かった奏法などが、True-pianoで細かく設定できるお陰で、とても気持ちよく思い通りの演奏に近い形で残すことができています。曲に合わせてピアノを設置する部屋の広さや鍵盤の反応具合、音色のブライトネスなどを簡単に操作できるのは、本物のピアノでは絶対味わえない魅力の1つです。それとリアルな音色の共存はまさに喜びに値します。
他にもSI-String Sectionやドラムもリアルな音やエレクトロっぽさに至るまで、とても使いやすく、且つ納得のサウンドが多数収録されています。さらに、録音時にメトロノームにうまく合わせられなかった演奏も、テンポに自動で合わせてくれるクゥオンタイズ機能や、微調整を行いながら簡単に仕上げられます。
また、私はまだあまり使用していませんが、z3ta+やRaptureなどクラブ系サウンドも豊富で、DJの様な作業もインスタントに扱えます。イベントの際など、素人でも即興でそれらしいサウンドがワンキーで奏でられるのは、様々な使い道がありそうです。
DTMソフト:SONAR X2の満足いかない問題点
概ね大満足のSONAR X2 PRODUCERですが、いくつか気になるところもまだまだあります。
・使い物にならないR-MIX
上にも紹介した様に、私はこのR-MIXの機能に惹かれてこのソフトを購入したにも関わらず、その宣伝文句とはかけ離れた使用感で非常に残念でした。シンプルな楽器構成の曲であれば非常に正確で扱い易いのですが、実際に私達が日頃聞いている音楽は、音の穴が無いような複雑な作りになっています。そんな音楽を思い通りに分割したり取り出したりするには、まだまだといった感じです。ヴォーカルのみを取り出したくても、パーカッションや伴奏がほんのりついてきたり、それを消そうとするとヴォーカルが不自然な響きをするなど、今後の改善に期待といったところです。
・よくわからないAudio Snap
Audio Snapという機能がついています。例えばリミックス等をする際に、既にあるオーディオデータからテンポを自動判断し、他のトラックにも適用させたり、その逆もできる機能です。テンポは必ずしもソフトウェア同士で一致しているわけではなく、小数点以下の細かい設定も必要になる場合がほとんどなため、とても便利な機能で、これが無いと困る時も多々あるわけですが、実際に使用していると時々合っていない時があります。テンポを合わせるというのは基本中の基本で、小節単位で編集するにはテンポ合わせが不可欠なわけですが、これが時々狂ってしまうことで創作意欲が削がれることがあります。ほとんどの場合できちんと使えてはいますが、基本中の基本の機能なので、より強化してほしいものです。
・何かの拍子に変わるピアノロールビューのズームサイズ
ピアノロールビューは先に挙げたようにとても扱いやすい編集パネルです。でもそれが時々、極端に拡大されたり極端に縮小されたりします。普段は前回使用時の設定で現れますが、時々そのような挙動が現れます。もちろん拡大縮小ボタンやショートカットキーで対応できるので大きな問題ではありませんが、ワンクリックで瞬時に最適なサイズで表示されたいものです。ただしこれについては私の理解不足もあるかもしれませんが。
DTM ソフト:SONAR X2まとめ
数点改善点が挙げられるものの、総じてSONAR X2 PRODUCERは初心者にもわかりやすく、手っ取り早く思い通りに近い曲に仕上げた後に、思い通りにさらに近づけることのできるツールが豊富な扱いやすいソフトウェアです。またRoland製の優秀なデバイスも揃っており、それらに最適化されていることも大きな魅力です。
今回はDTMソフト:Cakewalk SONAR X2についてのレビューでした。
関連サイト
Roland Cakewalk
⇒http://www.roland.co.jp/products/jp/SONAR_X2_PRODUCER/
Shunsuke Mizutani
作曲家・メディアクリエイター
(バングラデシュで貧困問題解決に取り組む一貫で)メディア製作会社スタジオパドマ代表。
facebook:facebook.com/shunsukemiztany, ブログ:bangla.jugem.jp
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