作曲したいDTM初心者のためのDTM入門〜その2〜

宅録2_top前回に引き続き、宅録初心者にそのノウハウをご紹介します。今回は自分が使用している機材を例に曲作りに必要なモノ、選び方をお伝えします。



作曲したいDTM初心者のためのDTM入門〜その1〜

これが私の住居兼スタジオです。全ての作曲やレコーディングはここで行い、他の仕事や睡眠もここで行なっています。自宅でも出先でも、曲が閃いたらすぐ録音しないと忘れてしまうため、すぐにそれができるような環境にしています。また、これらの写真に写っていない機材もありますが、それらについても紹介させていただきます。

次の図が私がメインで作曲に使用している機材の型番と接続を表したものです。

宅録接続

一見すると様々な機材が必要で複雑なように見えるかもしれません。しかしこの中でも必須機材はパソコンとソフトウェアだけで、他の機材はより作曲のクオリティーや効率を良くするために後で買い足したものです。具体的にご紹介しましょう。


パソコンとソフトウェア

Pluginsynth

パソコンでDTMやDAW、宅録をするには欠かせない機材がパソコンです。また同時に、パソコンだけでは作曲はできないので、ソフトウェアを用意する必要があります。作曲に使うソフトウェアもたくさんの種類があり、私が使用しているSONARの他にも有料のものではCubaseやLogic、Pro Tools、Singer Song Writer等があります。これらに大きな違いはさほど無く、どれを選ぶべきかは好みや慣れによりますが、未だ使ったことが無い人にとってどれを選ぶのかはとても難しいと思います。

そこでMacユーザーならプリインストールされているGarage Bandやwindowsユーザーでも無料で提供されているStudio One等のソフトでも遜色無い機能が使える、あるいは初心者にとってより使いやすいかもしれませんので、ひとまずここからスタートすれば良いと思います。これら有料ソフトと無料ソフトの大きな違いはプラグインシンセと言われる音源集の違いです。パソコンで作曲する際に最も大きな恩恵が受けられるのは、このプラグインシンセを後から自由に追加できることにあります。

そしてどの有料・無料ソフトウェアに関わらずそれができるのですが、同じ楽器の音色を出すプラグインシンセでも、その音源のクオリティーの違いや細かく音の微調整が行える機能がどれほど使えるのか等の違いが出てきます。有料ソフトウェアには予め、膨大で強力なプラグインシンセが内蔵されているものが多く、逆に無料のものは後から足していく必要に駆られます。ただそれだけの違いです。

いくら高価なプラグインシンセが付属していても、どんな曲を作りたいかという好みで必要かどうかは変わってくるので、有料版を持っていても後からプラグインシンセを追加することは多々あります。そういった意味では無料版でもほとんど遜色無く作曲が行えるのでオススメです。プラグインシンセの価格も様々ですが、ネット上にも無料のプラグインシンセはたくさん配布されていて、そのクオリティーも様々です。それらから好みのものを足していって曲作りに活かす作業もまた楽しいのです。

私の場合は作曲にはONKYO E713というパソコンを使っています。オンキョー製なのでそれらしく見えますが、実際は全く関係ありません。省スペースで大画面のパソコンが欲しかったのでこれにしただけです。もちろん内蔵スピーカーも凝った作りで、そこそこ良い音を出し、マイクもカメラも内蔵していますが、作曲で使えるほどのマイクでは無く、拡張性も無いためオーディオインターフェイスも内蔵のそこそこのものしか入っていません。

要するにパソコンは、ソフトウェアさえきちんと動けば何でもいいです。ただし、画面の大きさ(解像度)やスペックもソフトウェアのインストールや使用時に影響があるので、そこだけ考えればOKです。OSはwindows7でCPUはCore i5、メモリが8GBという一般的な家庭用パソコンです。

このパソコンにRolandのSONAR X2 Producerというソフトウェアをインストールして使っています。これが宅録ないしDTM・DAWを行うメインの機材です。Roland製品の多くにはSONARの兼価版が付属しており、後述のQUAD CAPTUREという機器にもこれが付属しています。私はその使い勝手が良かったことと、ずっと昔に古いSONARを使用していたこともありこのソフトウェアを選んだまでです。

SONAR X2 ProducerにはDimension Pro、Rapture、Session Drummer、SI-BassGuiter、SI-String Section、True Piano、z3ta+等の強力なプラグインシンセが内蔵しています。私はここにさらに無料のDSK Indian DreamZという南アジアの伝統楽器のプラグインシンセやmagical8bitPlug3というファミリーコンピュータ風のスクエア系音色のプラグインシンセ、そして有料のMassiveという電子音系プラグインシンセ等を追加して使っています。


キーボード

キーボード:CLAVIA Nord Stageについてのレビュー

キーボードやシンセサイザーは無くても作曲はできます。しかしこれらとパソコンを接続することで作曲がとても容易になります。これは私の様なピアノ奏者でなくとも同じことが言えます。もしキーボードやシンセサイザーが無い状態で作曲をするなら、ソフトウェア上で楽譜やロールビューで音を1つずつマウスでクリックして挿入し、長さを調整し強弱も調整し…と膨大な作業が必要になります。

一方キーボードがあれば、ソフトウェア側の録音ボタンを押せばメトロノームがリズムを刻み、それに合わせてキーボードで音を鳴らせばマウスで行なっていた入力が直感的に、そしてスムーズに行えます。もちろんリズムに正確に合わせられなかったり強弱をミスして入力してしまったり、押さえる鍵盤を間違っても、後から簡単にそれらが修正できるので、これがあると無いとでは大きな違いが出ます。作曲に最も大事なのはパソコンを操作することでも楽器を上手く演奏できることでも無く、メロティーを思いつく力や構成力、そしてモチベーションにあります。これがマウスで手作業でチマチマとやっている間に閃いたメロディーを忘れてしまったり、モチベーションが下がってしまうことがよくあります。これでは作曲どころではありません。ですからキーボードやシンセサイザー、あるいは電子ピアノなどケーブルでパソコンと接続できる鍵盤機器があればなお良いのです。

私の場合はYAMAHA piaggero NP-V60というキーボードをメインに、出先での演奏と作曲用に使っています。特にこだわったわけでは無く、とにかくピッチベンド機能がついているのが欲しく、且つ乾電池で外出先でも演奏できて持ち運びが楽で、そして何より元々ピアノ弾きなので鍵盤数が最低これくらい無いと不便だと思ったのでこれに決めました。内蔵音源もスピーカーは可もなく不可も無くといったところで、特にオススメはしません。

内蔵音源は外出演奏時しか使用せず、DTM・DAWを行う際はパソコンとソフトウェアに様々な音源を入れており、その音源をスピーカーから出して演奏しているので内蔵音源にはあまりこだわりませんでした。ただ、1つの後悔はモジュレーションホイールが付いていないことです。先に挙げたピッチベンドとモジュレーションホイールは大抵のシンセサイザーや多くのキーボードに付いています。

ピッチベンドとは、鍵盤で抑えている音の高さ低さを上げたり下げたりできるホイールで、鍵盤楽器であるピアノではドと、その半音上のドの♯の間の音を出すことはできません。しかしヴァイオリンやトロンボーンの様に、高い音や低い音に途切れなく移動する表現方法を多く使う楽器を再現するような時にピッチベンドは威力を発揮します。

もちろん無くてもソフトウェア上で操作は可能ですが、マウスでカチカチと操作したり数値を入力するよりも、自分の手と指で直感的にその操作ができることは大きな強みです。同じようにモジュレーションホイールとは楽器の音の大きさを大小できるホイールです。ピアノは鍵盤を押すと最初が一番大きく、だんだんと音が小さくなっていきます。

しかしヴァイオリンや吹奏楽器等では初めは小さく、だんだんと大きな音になっていくような奏法があります。それを直感的に行うことのできるホイールです。DTM・DAWでこれらの演奏をしたい人は、なるべくピッチベンドとモジュレーションホイールの付いたキーボードやシンセサイザーをオススメします。


オーディオインターフェイス

UA55_Top[レビュー]オーディオインターフェイス:QUAD-CAPTURE UA-55 について

上記パソコンと、USB入出力のついたキーボードであれば、USBケーブルで接続すれば様々なことが行えます。しかしボーカルをレコーディングしたり、ソフトウェア音源で演奏を楽しみたい場合、パソコンのオーディオインターフェイスの影響を大きく受けます。たいていの場合、キーボードの鍵盤を抑えてからパソコンのスピーカーから音が出るまでのタイムラグが発生するでしょう。これではとても満足のいく演奏はできません。また音声通話等に使う安いマイクでは無く、ライブやレコーディングに使うマイクはそのままパソコンに挿して使っても、その力を発揮できなかったり音量が小さすぎることが多々あります。そこで力を発揮するのがこの外付けオーディオインターフェイスです。

私が使っているUA-55に関してでしたら詳しいレビューがありますのでそちらをご覧下さい。

以上が宅録するに当たって必須の機材となるべく揃えたい機材です。以下は私の宅録環境で付属的役割をする、つまりあっても無くても作曲はできるがあればなお良い、という位置づけの機器です。


 

プリアンプ/スピーカー

GENELEC A1029

パソコン内蔵スピーカーもそこそこいいのですが、あくまでそこそこだったため自宅にあったアクティブスピーカーで長らく作曲を行なっていました。しかし自宅にたまたまあったBOSEの古いスピーカーが倉庫で眠っているのが勿体無く、使いたいと思っていましたが、このタイプのスピーカーをパソコンと繋ぐにはプリメインアンプが必要になり、PMA-390AEを購入しました。この二機で部屋の音響が格段にアップし、演奏と作曲のモチベーションもグッと上がりました。無くても構わないものですが、創作活動におけるモチベーションに関わる機材というのはとても重要な気もします。


ヘッドフォン

ヘッドフォン

スピーカーでもモニターできますが、やはり細かな小さな音を確認するためや、夜間でも心置きなく作曲できるため、ヘッドフォンやイヤフォンもまた重要です。また同じ音源でもスピーカーや間に入る機器が違うと音も大きく変わってきます。最近の大抵の機材は、低音を強めに押し出したり、高音を着色して音が良いと思わせる機能がたくさん着きすぎています。ところが作曲側になると、それらの装飾がとても邪魔になります。

なるべくフラットな音を出力できるモニターが必要だということで、数十年に渡りプロの現場でも使われているこのヘッドフォンを買い足しました。試聴用には何の変哲もないこのヘッドフォンですが、多くの制作現場で使われている、という安心感は心強いです。


マイク

58

ボーカルや楽器の生演奏を録音するにはマイクが欠かせません。ピアノ演奏の録音用マイク、ギター用マイク、ドラムスのドラムごとに相応しいマイク、ボーカル用マイクなど、マイクには用途に合わせた様々な機種があります。値段も種類もピンキリなので、ここではボーカルマイクを例に挙げて簡単にご紹介します。ボーカルマイクには大きく分けてダイナミックマイクとコンデンサーマイクの2つの仲間があります。

多くの方がカラオケや生活周辺で触れる機会のあるのはダイナミックマイクです。一方コンデンサーマイクはテレビやミュージシャンのプロモーションビデオで歌手がレコーディングを行う時に使用している様な大掛かりのマイクです。これら2つの仲間の違いは音を電子信号に変えるメカニズムの違いがあります。

ここでそのメカニズムを説明しても仕方無いので興味のある方は調べてみるとたくさん情報が出てくるのでしませんが、最も大きな違いはどれくらい丈夫で使いまわせるかという点です。どちらのマイクも衝撃や湿気に弱いのは変わりませんが、ダイナミックマイクなら息を吹きかけても、軽く叩いてもすぐさま壊れるようなことは無いのでライブでも使えます。

一方コンデンサーマイクはそれをするとすぐに壊れてしまうのでスタジオ設置以外の用途ではなかなか使えません。しかしその分コンデンサーマイクの方が細かい息遣いや発声法の違いを繊細に取り出す力もあります。もう1つの違いは価格です。どちらのマイクもピンキリですが、比較的コンデンサーマイクは高額な傾向にあります。

私の場合は、もともとボーカルがメインの音楽が好きでは無いのであまり必要の無かったマイクですが、作曲のお仕事をしている中で時々要望があるためダイナミックマイクを用意しました。それまでは安いカラオケ用ダイナミックマイクを使用していましたが、さすがに限界を感じたため少し良いものにしました。実際に使ってみるとさすが定評があるのだと思い知らされました。購入後は思いがけず自分がボーカルになって曲を作ることにも挑戦しています。

UA-55やSONARでコンプレッサー機能やエフェクター機能も使えるため、自分の歌が上手くなったような錯覚に陥ります。今のところこれで十分に満足しています。もし今後より本格的な録音が必要になればコンデンサーマイクの購入、あるいはレンタルスタジオの使用をすると思います。


以上機材の選び方を簡単にご紹介しました。次回は具体的にこれらの機材を使ってどのように作曲を進めていくのかをご紹介いたします。




Shunsuke Mizutani

Shunsuke Mizutani

水谷俊亮
作曲家・メディアクリエイター
(バングラデシュで貧困問題解決に取り組む一貫で)メディア製作会社スタジオパドマ代表。

facebook:facebook.com/shunsukemiztany, ブログ:bangla.jugem.jp
Shunsuke Mizutani

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