SONYヘッドホンでおすすめのMDR-CD900STについてレビュー

SONYヘッドホンでおすすめのMDR-CD900STについてレビュー

レコーディングスタジオに行けば必ずと言っていい用意され、音楽制作業界でもっとも定番とされているヘッドホンSONY  MDR-CD900ST.今回はなぜ定番とされている理由や、他のヘッドホンや一般的なiPhoneイヤホン等との比較を交えながらレビューしたいと思います。



 いい音で音楽を聴くとは

皆さんは音楽を聴く時、制作者がこだわり抜いた音作りをぶち壊していませんか?
おそらくこの問いにほとんどの方がノーと答えざるを得ないでしょう。というのも、音楽データを再生してから実際に人間の耳に届くまでの過程では、様々な機器を介します。どんなに高価なオーディオ機器でも、必ず機器ごとに音質やバランスが異なるのです。

これはスピーカーやヘッドフォン、イヤフォンに限った話では無く、CDプレーヤーやウォークマン、パソコンに至るまで様々な音設定がメーカーによりされており、こだわればスピーカーケーブルや、視聴する環境空間でさえも影響を受けると言われています。

視聴者側として音楽を楽しむ分には、自分の好みに合わせて機器を選び、重低音が好きな人は重低音が強化された機器を選んだりでき、機器の特性を活かすことができます。
ところがDTMの様な制作者側の立場に立つとどうでしょう。この制作をする際に上記の様な重低音が強化された機器で音づくりをモニターしながら作ると、別の機器では重低音が小さすぎて聞こえづらい、つまり制作者の意図とは違った形で再生されてしまうということになり兼ねません。

この問題を解決することは現在のところ不可能に近いです。これと同じような問題が、印刷業界でもあります。パソコンのモニターごとに表示される色味が微妙に異なるため、印刷業者に印刷物を納品する際は、指針となる色見本を用います。世界中どの印刷業者にも大抵の場合統一された色見本というものが存在します。発注者と印刷業者はその色見本という紙に印刷されたありとあらゆる色を見ながら色を決め、印刷業者はその意図に沿う形で印刷します。つまり正解の無い色に対して色見本が指針となっているのです。

一方、音楽の場合はどうでしょう。ピアノの音でも、その音色や響きは様々なので指針というのはなかなか作れません。同時に正解ということもありません。そこで活躍するのが印刷物における色見本に代わると言っても過言では無く、音楽や映像制作現場でよく用いられる、プロフェッショナル仕様のヘッドフォン、SONYのMDR-CD900STです。この製品は最新機種でも無ければ最高級の高価格というわけでもありませんが、1989年に登場して以来長きに渡り制作現場で用いられてきたという定番的実績のある機種です。

この機種は街でテレビ取材しているアシスタントや音声担当者が頭に付けていたり、歌手がプロモーションビデオの中でレコーディングの様子を映している時などによく見かける、赤いラインが特徴的なヘッドフォンです。たいていのスタジオに設置されていて、業界の標準とも言われています。価格も1万5千円程度で購入でき、おわかりの通りソニーからはより高価で多機能なヘッドフォンも多数出ていますが、ではなぜこの機種が四半世紀にも渡り業界標準となっているのでしょうか。

今回は私が所有するiPhone5に付属のEarPodsというイヤフォンと、SONYのMDR-EX85というインナーイヤー型イヤフォン、そしてVictorのHP-D7というヘッドフォンとの比較を交えながらMDR-CD900STのレビューをお届けします。


 SONY ヘッドホン MDR-CD900STのデザイン

SONYヘッドホンでおすすめのMDR-CD900STについてレビュー

まずデザインから。街中の若者たちはオシャレなヘッドフォンをよく装着しているところを見かけますが、これらの機種全てにおいて実に地味です。その中でもMDR-CD900STは特にシンプルなデザインで、決してオシャレとは言い難いものがあります。しかし必要十分な機能的デザインが施され、何よりも乱暴に扱っても少々のことでは壊れないほど丈夫な作りであることは大きな強みです。フォーンプラグが標準サイズでミニでは無いので、そもそもお出かけ時に小さな音楽プレーヤーで視聴するために作られてはおらず、むしろスタジオや取材現場などではプロの雰囲気や真剣さを作り上げるようなデザインであるように感じます。装着されているケーブルも長く太く、スタジオでは重宝しますが持ち歩きには向いていないでしょう。

耳にパッドが当たってしまう構造ですが、柔らかいパッドのため長時間使用でもあまり疲れません。しかしヘッドフォン全般に言えることですが、夏の暑い時期には保温性が発生してしまい暑く蒸れる構造であるため、頻繁に付け外ししてしまうこともあります。製品が梱包された箱も、真っ白で何も書かれていない、まさに業務用といった感じです。


 ヘッドホンの音質比較

SONYヘッドホンでおすすめのMDR-CD900STについてレビュー

次に音質についてです。重低音が大き目の音バランスが好きな私にとってはSONYのMDR-EX85というインナーイヤー型イヤフォンが最も音が良く、EarPodsもバランスがとれていて好きで常用しています。VictorのHP-D7に比べるとよりクリアーで全般的にMDR-CD900STが勝ちですが、やはり普段の視聴用にはイヤフォンを使いたくなります。しかしMDR-CD900STは低音が強調されていないものの、バスドラムやタム等の音の立ち上がりがとても良く、リズムにきちんと合っているかどうかが明確にわかりやすいです。これはすべての音域にも言えることで、それぞれの音が独立してモニターでき、とにかくバランス良く、キレ良く音を確認できます。ボーカルの息遣いや細かい表現まで誇張なく表現してくれるため、とにかくモニターするには申し分無い音作りがされているように感じます。だからといって高音部やシンバルの音がキレキレすぎて耳が疲れたり痛みを感じるほどでは無いところがさすが、というか不思議というか…とにかく作りこまれている感じがします。音場も正確に再現してくれるので、サラウンド機能などの調整にも重宝します。

ここまでが私のMDR-CD900STに対する所感ですが、私の制作環境ではRolandのQUAD-CAPTURE UA-55というオーディオインターフェースに直接MDR-CD900STを挿して使用しています。これはヘッドフォンアンプではありませんが、MDR-CD900STをウォークマンや携帯電話の音楽プレーヤーに直接挿すのとオーディオ機器に接続するのとでは音質が少し違います。要するに出力側の機器もまた重要であり、言い換えれば出力側の機器の音作りにもまた影響を受けることは避けようがありません。

しかし映像制作現場ではビデオカメラに直接MDR-CD900STを接続している状況も目にしますので、この機種の最大の魅力はやはり、「業界標準」という一言に尽きるかと思います。これでモニターしながら音作りをすれば、意図した音作りに最も近い形で様々な機器を使う視聴者に届けられる、そんな魅力と安心感がMDR-CD900STの良さではないでしょうか。

今回はSONY ヘッドフォン MDR-CD900STのレビューをお伝えしました。


関連サイト

Sony Music Comunications Inc.
http://www.smci.jp/headphones/cd900st/




Shunsuke Mizutani

Shunsuke Mizutani

水谷俊亮
作曲家・メディアクリエイター
(バングラデシュで貧困問題解決に取り組む一貫で)メディア製作会社スタジオパドマ代表。

facebook:facebook.com/shunsukemiztany, ブログ:bangla.jugem.jp
Shunsuke Mizutani

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