僕が長年使用していたDAW「logic」から最近乗り換えた、PreSonus社の64bit対応の次世代DAW、「Studio One VERSION2」をレビュー致します。
★DTMソフト:PreSonus Studio One 商品説明
Studio Oneは、Cubaseを開発したDAWプログラマー「ヴォルフガング・クンドゥルス」が中心となって開発され、64bitオーディオエンジン搭載の高音質かつハイスピードな制作を実現可能にしたMac、Windows対応の次世代DAWです。
現在、全ての機能を網羅した「Professional」の他、32bitおよび機能が制限された(トラック数の制限はなし)「Artist」、ArtistにReWire、AU/VSTプラグインのサポートなどの機能を追加した「Producer」、様々な制限があるもののレコーディングには差し支えのないほどの機能を持つ無償版の「free」がラインナップされています。
またStudio One2Professionalを30日間無償で使えるデモ版も用意されています。
★DTMソフト:PreSonus Studio One 基本操作
基本的には他のDAWと一緒です。
MIDIの打ち込みやオーディオレコーディング、オーディオ素材を駆使し、ミキシングして楽曲を制作するのです。(笑)
加えて、StudioOneではマスタリングという最終工程まで完結する事ができます。
★全ての工程が統合されたワークステーション
Studio Oneではその名のごとく1つのDAWで作曲からマスタリングまでの全ての工程をスピーディーかつハイクオリティに完結できます。
もちろんその中でも使い慣れているlogicの方が良かった点も多くあるのですが、まずは移行するに当たる決定打となったトピックを今までメイン使用してきたlogic、またそれ以前にメイン使用していたPROTOOLSとの比較を交え、いくつか紹介していきます。
★logicからSTUDIO ONEヘ乗り換えた5つの理由
「音質」
まず第一にこれに尽きます。僕が最初、StudioOneに興味を持ったのは、使いはじめた人たちが口を揃えて「音がいい」と述べた点です。
元々PROTOOLSの音質に慣れていた僕がlogicに移行した理由のはそのシーケンサーとしての利便性と充実したappleloopsの機能でした。しかし、logicの独特な音質には少し違和感を覚えていて、常にその改善策を探していました。
しかし、使い慣れたDAWを離れるという少なからず痛みを伴う選択は極力避けたいと思ってきました。
僕はlogicの画面が好きでした。あの画面に安心感すら感じていました。
だからはじめは「音がいい」という噂を確かめてみたいという興味だけで、30日間無料使用というデモ版をダウンロードしたのです。
そしていつもどおりの機材でギターを録音してみて、その音の違いに驚きました。
言葉での表現は捉え方は人それぞれなので難しいところですが、僕の印象は「クリア」でした。映像に於ける解像度の高い感じに近いです。僕にとっては好みの音でした。64bit云々というのは正直わからないのですが、実際に音を聞いてみて違いがあるんだからきっと違うのだと思います。(笑)
「いや、まだ1曲作ってみないとわからない。」と、とりあえず1曲完成するまで色々試してみる事にしました。
そこで第二の驚きを感じました。今まで使ってきたソフトシンセの音が違うのです。「こんな空気感のある音まで出たっけ?」というレンジの広い音が広がりました。
この時点でほとんど購入の意志は固まっていました。(笑)
「シンプルな操作性」
これは最初から感じた事ではありませんが、今では本当に使いやすいDAWだという印象に至っています。
やはり長年1つのDAW(logic)を使用してきたのでlogicの操作性が絶対的という思考になっているし、僕は直感的であり、めんどくさがりでもあるので(笑)「こうしたい時はどうするんだ?」という時に調べる時間のロスも嫌だったので実用に至る場合、ベーシックな作業はlogicで音質的にどうしても必要な場合にStudioOneとの併用することを考えていました。
しかし最初の1曲を制作しているうちに大体のやりたい作業の方法が直感的にわかってしまったのです。
これは僕が直感的人間であるが故に言葉では語れません。(笑)
「ここを押したらこうなるかな?」が大体その通りなのです。
例えば、logicではエンパイロメント画面を出して毎回わけわからなくなりながらやっていたマルチ音源の設定が、StudioOneでは非常に明快なのです。(方法についてはここでは触れません。)きっとエフェクターやアンプをいじり倒してきたギタリストやベーシストには「わかりやすい」、というか「感じやすい」DAWなのではないでしょうか。
「マスタリング機能の充実」
StudioOneにはマスタリング専用のプロダクトを制作するコンテンツも含まれています。
このマスタリングプロダクトは音圧調整の意味だけではなく、CD制作で必要なトラック間の時間設定、アルバム全体を通した音量調整など、本当の意味でマスタリングという工程でする作業が全て網羅されています。
これによって、CDや配信といったパッケージ完成の状態までをStudioOneの中だけで完結する事ができます。
おまけにそのままsoundcloud等にアップロードできる機能までついています。
「Melodyneを標準装備」
現在の音楽制作では必要不可欠と言っても過言ではないピッチ補正。
そのピッチ補正ソフトのスタンダードであるMelodyne(essential)が標準装備されていて各トラック、プラグインとは別に機能させることができます。
他のDAWでMelodyneを用いる時はプラグインとして起動し、トラック毎にオーディオデータをMelodyne側に読み込ませる必要がありましたが、Studio Oneではこの手間が省けました。
この時間の削減、動作の安定感は作業効率を存分に向上させました。
ただ「essential」以上の機能が必要な、より細かいピッチ補正をするには製品版のMelodyneを従来通り立ち上げなければならないようです。
「ショートカットキーのカスタマイズ」
ここまでスムーズに移行できた大きな理由が自由なショートカット設定にあります。他の主要DAWに比べて後発であるStudioOneは他のDAWからの乗り換えも意識してか、ショートカットの基本設定が「cubase」「logic」「PROTOOLS」の3種類から選べるのです。
それ以外にも独自に設定することができるので、完全に自分の使いやすい形にカスタマイズできます。オプション機能のようにも思えますが、これは非常に重要な点です。
正直、logicのショートカットも最低限しか知らなかった僕はStudioOneに移行してからlogicのショートカットキーを新たに知るという一石二鳥ながらも本末転倒な状況に陥っています。(笑)更に、外部スタジオや共同作業者の使用するPCで作業する際にも、ショートカットの設定を保存して持ち出す事ができるようです。
★DTMソフト:STUDIO ONEへの移行でデメリットはなかったのか
いかにStudioOneが優れていると言っても、やはりはじめは慣れ親しんだlogicの方が扱いやすいという印象でした。操作の面ではそれは仕方ない事だと思いますが、それは覚えてしまえば克服できる問題なので置いておくとして、機能として使えなくて残念な点が一点だけあります。「AppleLoops」の機能です。こればかりはさすがに無理なのですが、僕にとってAppleLoopsは楽曲制作に於ける非常に有能な共同作業者だったので、これを失う事にはかなりの抵抗がありました。
もちろん手間をかければ使用する事もできるし、他のサンプル音源(StudioOneにも装備されています)を使えば問題ないのですが、長年使ってサウンド、フレーズを熟知したライブラリーを容易に使用できなくなる点だけは操作性以上に痛手となりました。
しかし、AppleLoopsを使わず、新しいDAWを使う事でマンネリ化を防ぎ、制作する楽曲にも今までの自分になかった新しい風が吹き込まれていくことも期待できます。
僕はそう前向きに捉えてみる事にしました。(笑)
★DTMソフト:Studio One如何に!?
StudioOneはこれからDAWをはじめる方にはもとより、既に他のDAWを使い込んでいてソフトシンセやプラグインエフェクトをある程度所有している方のソフト移行にも非常におすすめです。
今まで使っていた音源やエフェクトの音の違いに驚くでしょう。
そしてよくを言えば、DAWの音質の違いを武器にして楽曲の雰囲気によって使用するDAWを変えていけば、より音楽的な制作が出来るのではないかと思います。
PreSonus日本正規代理店「MI7 Japan」Studio One VIRSION2サイト
http://www.mi7.co.jp/products/presonus/studioone/
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