「KOMPLETE9」は、NATIVE INSTRUMENTS社(以下NI)より発売されている、数多くのソフトウェア音源やエフェクトを備えたプロ御用達のツール。 “全部入り”の「ULTIMATE」では全65製品、約370GBの膨大なソフトウェア音源やエフェクトが使用可能となっています。
本商品は、スタンドアローンでも使用可能な他、Pro Tools、Logic、Cubase等の代表的なDAWに対応しています。(私はLogicにて使用しています。)
・KONTAKT5
本日レビューするのはその「KOMPLETE9」に収録されている「KONTAKT5」。1000種類以上のインストゥルメント、総量43 GB超のサンプル、エフェクトやフィルターなどこれ一つで音楽制作には困ることないソフトウェアサンプラーとなっています。
・KOMPLETE9「KONTAKT5」の購入理由
これまで私の音源といえば、Logic proのソフトウェアサンプラー「EXS24」を使用していました。EXSフォーマットの音源だけでなく、AKAIフォーマットの音源なども使用できた為です。AKAIフォーマットという事を聞いても分かるかもしれませんが、音源が古い・・・という訳です。数年前、数十年前の音源ですので、今風な音色でもなく、音質自体も貧相なモノになっています。これまで騙し騙し使ってきてはいましたが、やはり限界を感じていました。何度となくNIのサイトで視聴はしていて、気に入った音源(その時は「ALICIA’s KEYS」「DAMAGE」)を見つけ、これまでの実績や評判の良いKOMPLETE9を購入に至りました。
・KONTAKTの音源紹介
沢山の音源が収録されているので、「全てを紹介します!」とはなかなか難しいので・・・自分が気に入っている&よく使用するモノを抜粋してご紹介いたします。
・「ALICIA’s KEYS」
「あれ?この名前は?」と思った方も多いかと思いますが、この音源は世界的に有名な歌手「アリシア・キーズ」が自ら演奏したサンプルから作られたバーチャルピアノ音源。本人が使用しているYamaha C3 Neoグランド・ピアノよりサンプリングされた音源は、暖かく、優しくまろやかな印象を受けます。ピアノのペダルや鍵盤を叩くノイズなどもシミュレートされていて、”生”のピアノがそこにあるかのような空気感も作れるのも良い点です。NIのサイトで視聴した時は「歌とマッチしそうだなぁ」と思った音源で、一番の購入理由となったソフトです。
・「DAMAGE」
名前を見ただけでなんとなく想像できそうな音源ですが、その名前の通りダメージ感のあるインパクトのあるサウンドが収録されているサンプリング音源。そのままで映画などのSEに使えそうなサウンドが揃っています。映像のMAなどを考えている人も使えそうな音源だと思います。また、単発の音源も収録されていますが、ループ素材もあり曲のリズムループなどに珍重しました。イントロやAメロなどに使用するとパンチがあって非常に使いやすかったです。この音源も視聴して「音楽制作時に役立つな」と思っていたモノです。
・「SCARBEE」シリーズ
「SCARBEE」の名がついた音源では、リアルで豊かなサウンドのBASSが多く収録されています(エレクトリック・ピアノなどもあります)。
70年代後期のジャズベが再現された「JAY-BASS」、Fender® Precision bassを再現したプレベ「PRE-BASS」、ディスコやファンクに最適な「MM-BASS」、「SCARBEE RICKENBACKER® BASS」では、ギターやベースを知っている人なら名前を聞いたことあるはずの有名なメーカーで、ビートルズや著名なアーティストも使用しているリッケンバッカーの公式に認められたベース音源も。自分の好きなアーティスト、好きなサウンドへ近づける豊かなラインナップになっています。写真にもあるベースアンプやコンプなども使用できるので、これひとつでベースの音色を完成することも出来ます。
・「BAND」
様々な音楽ジャンルにフィットするようなサンプル素材が入っています。私は主にアコースティックギターを使用します。よく耳にするようなギターストロークが収録されているので(キースイッチで変更)曲の形を掴む時(レコーディングの準備段階であるプリプロダクション)やキー変更がある可能性などある場合に珍重しました。エレキギター、ピアノ、ドラム、オルガンだけでなく、サックスなども入っていますので、名前のの通りこれ一つでバンド形態の音楽が制作出来ます。また、非常に軽い動作も良い点です。
・「ORCHESTRAL」
こちらも名前の通りの高音質のオーケストラのサンプリング音源です。弦楽器、金管楽器、木管楽器、打楽器、鍵盤楽器などオーケストラサウンドに必須な音源が高音質でリアルな空気感の音源が多数収録されています。
高音質で非常にリアルに再現されていますが、内蔵されているリバーブでコンサートホールの空気感を再現でき、更にリアルなものにしています。また、弦楽器や管楽器には「BAND」同様にキースイッチにて奏法が変更できるので「Aメロでは長い音符で、Bメロではトレモロ奏法がしたい」という事も可能で制作の幅を広げることが出来ます。
個人的によく使用するのはグロッケンで、抜けもよく豊かな音が気に入っています。
・KONTAKTその他の音源
詳しくは紹介しきれませんが、とりあえず製作時に必要で思いつくような楽器の音源はKONTAKTにすべて収録されていると言ってまず間違いないと思います。他の音源を簡単ですが紹介しておきます。
ドラム音源なら主要メーカーの3つのキットを搭載した「STUDIO DRUMMER」や、あのビートルズで有名なスタジオで収録されたビンテージから最先端のものまで最高品質のアコースティック・ドラム「ABBEY ROAD DRUMMER」シリーズ、製作時に珍重するドラムループの入った「Urban Beats」。アナログ・シンセサイザーやクラシック・ドラム・マシンなどの伝説的なサウンドが搭載されている「VINTAGE」は、「昔聞いたあの曲で聞いたあの音が欲しい!」という時に必要となると思います。また、シンセならその名の通り「SYNTH」や、流行りのEDMには欠かせない音色となりそうな「RETRO MACHINES MK2」も。して、聖歌隊のようなコーラスが欲しければ、ただのサンプルではなくノートを維持したまま母音(あいうえお)をシームレスに変化させることの出来る「CHOIR」、世界中の見たこともないような珍しい楽器の音が欲しければ「WORLD」も収録されています。
・KONTAKT 改善点
全体的に言えることですが、基本的に挙動は重いです。もちろんサンプルが軽いソフト(「BAND」など)もありますが、基本的には膨大なサンプルを使用するので、起動してすぐに動く!というわけではもちろんありません。設定など工夫をすれば多少良くはなりますが、早いパソコンでも読み込みがかかり、非力なパソコンではかなり重い印象を受けると思います。(自分は起動したら読み込み時間にコーヒーを入れに行きます笑)余談ですが、Logicにはフリーズトラック(簡易書き出し)などを使用して騙し騙し使うことは可能ですが、簡易とはいえ書き出していますのでちょっとした修正が出来ないので、やはりパソコンのスペックが良い物じゃないといけないのが少しネックでしょうか。
また、音源やソフトごとにリバーブやEQや設定(「ALICIA’s KEYS」でいえばノイズシミュレート)などが備わっていて、細かく設定できるのが良い点ですが、ソフトによっては「どこにあるんだ?」と迷うことが多く直感的に使えない事もありました。私は使い始めた頃に「STUDIO DRUMMER」(ドラム・ライブラリ)のアンビエントをオフにする場所がわからず、かなりライブまま制作したこともあります(笑)根気よく探せばすぐ見つかるのですが・・・・忙しい時には少し迷うかもしれません。
・まとめ
今回取り上げた数点の音源は、単体でも購入できます。気に入った音源、必要な音源だけ購入するのもいいとは思いますが、1つのソフトで1万円近くするのも多く、それが全部入ったKONTAKT自体で39,800円、KOMPLETE9なら52,800円で購入できるので、何年も使えると考えると単品じゃないほうがお得と私は考えます(実際全部入りのULTIMATEを購入しました)。
とはいえ、これだけ豊富な音源が収録されていることもあり最初は宝の持ち腐れのように使っていない音源が多いです(笑)ベースだけとっても何種類もありますし・・・。改善点でもあげましたが、ひとつひとつを立ち上げるたびに読み込み時間がかかるものも多いので、すべての音源を聞くのには少し大変な面もありました。実際聞けていないのもあります(笑)。
ただ、「この音じゃないな」「あの楽器入れたい」と音楽制作で困った時には、非常に頼りになります。ふと立ち上げた音源が「こんなの入ってるんだ!」と素晴らしい出会いになったこともありました。音楽制作をしている人には必須ではないかとも思いますし、漠然とでも音源の音色や数で困っている方には確実にオススメできるソフトだと思いますので、レビューを読んで気になった方は是非NIのサイトで視聴してみください。
実際自分も「この音源使ってみたい!」という目的な音源を3、4本見つけただけですし、実際使ってみると「他にこんないいの入ってるんだ!」と驚いたほどなので。音楽制作をしている際に「ここに◯◯入れたい!」と思い立てば、ほぼそれに答えてくれる数の音源が収録されていますし、高音質で自由度も高い色々なエフェクトや奏法などで、音楽制作の時間を短縮し、音楽の幅を広げる音源だと思います。今回はNATIVE INSTRUMENTS KOMPLETE9のレビュー〜KONTAKT編〜をお届けしました。
関連サイト
NATIVE INSTRUMENTS
⇒http://www.native-instruments.com/jp/
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