埋もれ木に花が咲く。数多のiPad DTMアプリには、痒い所に手が届く、秀逸なものが埋もれています。今回はiPadならではといっても過言ではないDTMアプリを紹介します。音楽性の広がりを願うDTMerの皆さん、ご一読いただければ幸いです。
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Impaktor – The drum synthesizer
BeepStreet / ドラムシンセサイザー
価格 500円※
図8 Impaktorのトップ画面
特徴
これはドラムシンセサイザーという、マイクから拾った音をトリガーにして発音させるというもので、例えばiPadを置いた机を叩くと、Tablaの音が鳴る(図9)と言う使い方をします。オシレーターは物理モデル、ノイズ、FMを使います。パーカッションだけでなくメロディやコードも鳴らすことができます。
6トラック8小節までのシーケンサー内蔵、Inter-App-Audioに対応しています。
図9 iPadを置いた机を叩いてImpaktor を演奏しています
長所
机を叩くだけで鳴らすことができるので、楽器が演奏できなくても使えます(図9)。レイテンシーは少なく、音の強弱や音程もしっかり拾ってくれます。
曲に合わせてトントントンとやれば新たなインスピレーションを得られます。気軽に鳴らせるこのアプリは気軽に持ち運べるiPadならではといっていいものですね。
短所
環境音にも反応してしまうので、比較的静かな場所で使う必要があります。アプリ内でマイク感度を調整できますが、あまり下げすぎると細かいニュアンスが反映されません。
そしてスピーカーから出た音をマイクが拾ってしまうと、フィードバックを起こしてしまうので、ヘッドホンは必須です。また、音作りのパラメータ数は多くないのですが、パラメータ用語が特殊でピッチやベロシティによる音色変化を理解するのに時間がかかります。
参考先リンク→http://beepstreet.com
VOICE SYNTH
Qneo / ボコーダー
価格 1,000円※
図10 VOICE SYNTH トップ画面
特徴
これはボコーダーという、マイクから入力された声を合成させるものです。鍵を抑えながらマイクに向かって話すと、母音が強く残った印象深い音がします。和音を弾けば一人でハモらせることが出来ます。これを使った名曲は多数ありますので、名前に馴染みがなくとも音は耳にしたことがあるはずです。
MODEというものを用途に分けて切り替えて使います。VOICE MODEを”Robot”で従来のボコーダーサウンド、”NATURAL”で生音を残したまま、”BREATH”でささやき声として機能し、TUNE MODEを “FIXED”にすれば、抑えた鍵盤の音程だけを鳴らし、”AUTO”なら自動的にピッチを読み取って音程を鳴らすことが出来ます。ですので、NATURAL+AUTOであれば、純粋なピッチ補正となりますので、歌声の修正やケロケロボイスも作れます。
CoreMIDI、Virtual MIDI、Inter-App-Audio 対応しています。
長所
何と言っても多機能さが一番の魅力です。上記特徴に書いた機能が揃っているアプリは今のところありません(2014年12月8日現在)。ピッチ補正は筆者の音痴な仮歌や、民族楽器のカリンバや、バラフォンをレコーディングするのに重宝しました。Inter-App-AudioでDAWアプリと連携すれば、ボコーダーサウンドをそのままトラックに追加できます。
短所
操作性の細かい部分に配慮が足りません。プリセットがどれも似たり寄ったりで、ウィンドウも狭く、現在何を選択しているかわかりません。ノブがLinerでなく、Rotaryでしか調整できないのは、何とかして欲しいですね。実際のノブをつまめないのですから、パッド上で回す動作はストレスを感じます。
また、エフェクターを内蔵していますが、お世辞にもいい音とは言えません。レコーディング時は使用しないので気になりませんが、人前での演奏に使う際は、外部エフェクターに繋げる等、工夫が必要です。
最後に、フィードバック防止と、本体を持ったままでは歌いづらいので、ヘッドセットがあった方がいいでしょう。
参考先リンク→http://www.voicesynth.com
Final Touch – コンプリート・マスタリング・システム
Positive Grid Inc. / マスタリングツール
価格 500円※
図11 Final Touch トップ画面
特徴
Pre/Post EQ、REVERB、DYNAMICS、STEREO-IMG、MAXMIZERといった一通りの機能がセットされたマスタリングアプリアプリです。オーディオファイルはiTunes、DropBox、AudioCopy、メール添付でやり取りします。
また、Inter-App-Audio 対応しています
長所
音圧がイマイチなだけで曲の評価が下がってしまう事があります。従来までのiPadのDTMはそこが難点でした。結局PCで調整していたのですが、2度手間になってしまいますので、iPadをわざわざ使う意味はありませんでした。このアプリは、マスタリングに最低限必要なものが揃っており、iPadだけでハイクオリティーな音楽を実現できます。操作性ですが、そういったツールを扱った事があれば問題ないでしょう。
AudioCopyという規格に対応しているので、他のアプリで作成した2mixをコピーアンドペーストの要領でPCを介さずに取り込む事ができます。クラウドストレージのDropBoxにアップ/ダウンロードできるのも素晴らしいですね。
短所
非常に使いやすいですが、SoundCloudに直接アップロードできるようになれば申し分ありません。また、Inter-App-Audioに対応していますので、DAWアプリでプラグインエフェクトとして使うことが出来ますが、動作が遅くなる場合もあります。こればかりは、iPadのマシンスペックを考えるとしょうがないとは思いますが…。
参考先リンク→http://www.positivegrid.com
最後に
以上、前回と併せて6つのアプリを紹介しましたが、いかがだったでしょうか。実のところ、お勧めしたいものはもっとあります。日々どんどん公開され、中には音楽をご存知の方なら分かる、著名メーカーも参入してきました。名に恥じぬクオリティを保っており、定番アプリを塗り替えていくでしょう。もしかしたら近い将来、ライトユーザーにとってiPad DTMは、PCとの垣根が無くなっていくのかもしれませんね。
ここまで読んでいただいた皆様、低コスト・省スペース、更には将来性のあるiPad DTM。今一度検討されてはいかがでしょうか。
表1 紹介アプリ参考先リンク一覧
アプリ名 |
ジャンル |
メーカー |
参考先リンク |
Impaktor – The drum synthesizer |
ドラムシンセサイザ |
BeepStreet |
|
VOICE SYNTH |
ボコーダー |
Qneo |
|
Final Touch – コンプリート・マスタリング・システム |
マスタリングツール |
Positive Grid Inc |
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