ギター音源とはなんぞや、そんなもの必要あるのかとおっしゃる方も少ないことと思います。特にギターを演奏できる方からしたらもっともなお言葉です。
しかし逆に言えばギターを演奏できない人からしたら欠かせないもののとなります。なにせMIDIキーボードでギターが演奏できるのですから!
またギター音源が必要になる理由としてリアリティの問題が挙げられます。DTMでもギターは人が弾くものに近づけたいという方が多いことでしょう。
ですがDTMerの方々ならご存知の通りこれがなかなか難しいのです。特に(エレキ)ギターというのは音作り以上に、ストロークやピッキングノイズ、ブリッジミュートといった特殊な演奏法までこだわるのは専用音源なしではほぼ不可能と言えるでしょう。
今回私がご紹介する「V-Metal」はそんなリアルなギター音源の中でもヘヴィメタルというジャンルに特化したものになります。重厚なサウンドを求めている皆様必見です!
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なぜV-Metalを導入したのか
私DTMを始めて数年になりますが、ギターは当初DAW(Logic)付属のプラグインを組み合わせてつかっていました。Logicには優秀なアンプシミュレーターがあり音作りにはほぼ満足してメタル曲を作っておりました。
ところが曲を作っていてどうしても満足できない点が打ち込みくさくなってしまうことです。先に挙げたような奏法、ブリッジミュートやチョーキングなどを再現することはLogicでもできるのですが、なんともお粗末なものになってしまいます。
またアームを利用したビブラートなどは手間をかけることで似せることはできても、誤魔化しているようなものでリアリティに欠けるのです。しかもこれらの奏法はメタルでは必須ですし、ギターがお粗末だと成立しないのがメタルという音楽の特徴でもあります。
一番いいのは自分で演奏して録音することなのですが、あいにく私にはその技術はありませんでした。練習!練習!練習?しかし、メタルは演奏レベルも高いものが求められますし、正直レコーディングレベルまで上達させてから曲を作るのでは間に合わないと思ったのです。
そこでインターネットの知り合いを通じてこのV-Metalを紹介していただきました。公式ホームページに載っている動画を見たところ、なんとキーボードでメタルギターを弾いているではないですか!
プロの演奏家の方なので本当にキーボードだけなのか疑ってしまうようなクオリティのものですので興味ある方はぜひ聞いてみてください。その動画に惚れ込み、お気に入りのおもちゃを見つけたかのように即購入してしまいました。
DTMerのおもちゃは機材と音源・・・(笑)以来自作メタルプロジェクトに限らずゴリゴリのギターを使う時には愛用させていただいています。
V-Metalの特徴
なんども繰り返している通りメタル専用音源というだけあって、そこに搭載されている機能のほとんどはメタル向けです。その特徴を順に紹介しましょう。先に断っておきますが多すぎてすべてを説明することはできません。詳細を知りたい方はインターネットでユーザーマニュアルが閲覧できるようになっていますので、そちらをご覧いただくと良いかと思います。
V-Metalは打ち込んだノートに応じて収録したサンプルが再生される仕組みになっています。リアリティリアリティと口すっぱく言ってきましたが、実際に録音した音を読み込んで再現するためリアルになるのは当たり前なのです。
ギターはEMG®ハムバッカー・ピックアップ搭載ESP®Alexi Blackyの一種類のみ。またギターのチューニングはドロップCとなっています。レギュラーチューニングでは足りない低音を再現してくれます。何気ない機能ですがダブルトラッキングも可能です。
次に搭載している奏法です。大きく分けてコードと技巧があります。コードはCメジャーとかAマイナー7thというよりは2つあるいは3つの音の和音になります。パワーコードやオクターブ、sus4などがあります。基本的にすべてレガートを再現してくれます。
技巧はブリッジミュート、ハーモニクス、トレモロ、チョーキング、グリスダウン、アーミングなどなどほとんど全てあるのではないかというレベルです。ギターソロなどで見るハンマリング・プリングまでが再現可能です。
また細かい機能ですが、手でギターの音を止める際に発生するノイズやピッキングノイズなども忠実に再現し、ストロークを自動で検出し、次のアクションを起こさない限り音が止まらないという機能まであります。
これらの機能はキーボードのキーに割り当てられていて、リアルタイムで変更しながら演奏ということが可能です。キーボードでギターを弾くというのはこういうことですね!
キースイッチは88鍵でも届かない低音にも配置されていますが、トランスポーズ機能がないキーボード用にV-Metal内でトランスポーズをすることも可能です。
最後に音作りに関するものですが、基本的に他に丸投げです。というのはV-Metalだけではギターの音が出ないということです。アンプシュミュレーターやエフェクターなどのプラグインを通してギターの音が出るように設計されています。
つまりV-Metalはあくまでギターであってその先は自分でやってくれということです。一見デメリットのように思えますが、これは音作りの幅の広さを示しています。なにせアンプもエフェクターも自分で選んで設定できるのですから。
V-Metalの良い点
もっとも気に入っている点はリアリティの塊だということにほかなりません。私実はいくつかギターを所持していて、そのなかに同様のものもあるのですが、恐ろしいぐらい音が似ています。
それに奏法の多さは群を抜いています。お恥ずかしながらこれを買ってから知った奏法もあるくらいです。レガートやノイズを再現してくれるので、後から聴くと本物のギターで録音したかのように錯覚します。
奏法は使わないキーに割り当てられていますし、ブリッジミュートはヴェロシティによって設定可能ですので、マウスで打ち込むだけでもギタートラックを作れます。また音作りがV-Metalだけで完結しないのも気に入っている点です。
私はいつもLogic搭載のエフェクター・アンプシミュレーターを通して音を作っています。音作りさえ変えればデスメタルなどの重々しいものから、HR/HMのようなかっこよさまでもが自在に再現できるのです。
V-Metalの弱点
あまり気にしているものはないのですが、リアルすぎるがゆえの弱点というものがあります。もっとも気になるのはチューニングがいじれないことと、高音域がチューニングが下がっていることで狭くなっていることです。
いざレギュラーチューニングの曲を作ろうとしても、こちらではドロップCでリアルに再現します。すると開放弦や弦移動でおかしなことが起きるわけですね。
またギターという楽器の特性上チューニングが変わると同じ高さの音でも質感が変わります。ドロップCを使わない人からすると致命的な弱点です。ドロップCを使う人の方が少数派ですよね・・・。
音作りでどうにかするしかありませんね。高音域が狭くなっているのもギターソロなどで邪魔になります。メタルだからといって低音重視すぎるのも弱点といえるかと思います。後はメモリを食うということです。
一応低負荷で起動することもできますが、機能は制限されます。高機能なのが売りなので最大限利用するにはパソコンのスペックもそれなりのものが求められます。大した問題ではありませんが画面が複雑なのと少し見にくいのが難点です。
まとめ
良い点、悪い点ありますがメタルを制作している方の心強い味方になることは間違いありません。ギターは大して弾けないけど、重いメタルを作りたいという方にはなおさら役立つことでしょう。
口うるさく言ってきましたがここまでリアルな音源もそうお目にかかれません。まずは公式サイトの動画を見てみてください。それが気に入れば導入して失敗することはまずないでしょう。
今回はV-Metalのレビューをさせていただきました!
関連リンク
http://prominy.com/japan/V_METAL.htm
http://prominy.com/japan/V_METAL.htm
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