ソフトウェアシンセサイザーSpectrasonics Omnisphere2レビュー

皆さん、こんにちは!サウンドクリエイターの櫻井慎吾です。
皆さんは作曲をする時に、どんな音源を使っていますか?昨今は、色々なプラグインが出ており、クリエイターとしては制作の幅が広がって嬉しい限りなのですが、逆に色々ありすぎてどれを使っていいか迷ってしまう方もいるのではないかと思います。
そこで今回は、これ1つ持っていれば幅広く活躍してくれる超万能&大ボリュームのプラグイン、、Spectrasonic社から出ているソフトシンセ、「Omnisphere2」を紹介したいと思います。

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ちなみに、本レビューは「Omnisphere2」でありますが、元祖 Omnisphere(2ではない、言わば1)にも通ずるとお考えください。(※そもそも元祖 Omnisphere はもはや販売はされておらず、市場に出回っているのは「Omnisphere2」です!)

1.「Omnisphere2」ってどんなプラグイン?


冒頭で、“超万能&大ボリュームのプラグイン”と紹介しましたが、「Omnisphere2」の日本国内での正規販売代理店である、Media Integration社のWebサイトには以下のような記載があります。

・あらゆるジャンルの音楽プロダクションに対応する、12,000を超えるサウンドを収録!

…この数字を見て、このプラグインがどれほどすごい音源か、お分かりいただけたでしょうか。
なんと、ソフト1つ立ち上げるだけで、12000種類を超える音を鳴らすことができるのです。
若い世代に人気のエレクトロ系の音をはじめ、シンセリード・シンセパッドの音はもちろん、ピアノ・オルガンや、ストリングス系の音、果ては民族楽器に近いような音まで収録されています。
開発したSpectrasonics社のインタビューでは、“一生かかっても使い切れない程のサウンドライブラリ”とも書かれており、そのボリュームの多さが際立っています。これ一つあれば、大抵の音は出せると言っても過言ではないでしょう。


↑「Omnishere2」のトップ画面です。画面左側のPATCH BROWSERで音のカテゴリや音そのものを設定できます。設定したものは、画面中央から右側のメイン画面で細かい調整ができます。


↑PATCH BROWSER におけるカテゴリ選択の画面です。
各音にたどり着くために、カテゴリやタイプ等 細かい条件が設定でき、結果は画面右側に表示されます。この画像ではカテゴリもタイプもすべて表示するようにしているため、選べる音も多いですが、カテゴリを絞ることで音もかなりの数まで絞り込めます。

 

2.「Omnisphere2」の特徴・良いところ


先ほどから述べているとおりではありますが、第一に膨大な数の音が収録されている点でしょう。
昨今のプラグインも種類が豊富で、中には生演奏の音を収録したリアリティ溢れる音源もありますが、「Omnisphere2」においても生演奏を収録したものが使用されています。
もちろん、生演奏を忠実に収録したオーケストラ用プラグインのような音源と比較するとさすがにリアリティでは劣りますが、例えばそのようなオーケストラ用 プラグインですと、ストリングスで1プラグイン、ブラスで1プラグインのように、すべてを揃えるためには別々のプラグインを購入しなければなりません。

その点、 「Omnisphere2」は 1 プラグインの中にすべて含まれているので、コストパフォーマンスの面でも秀でていると言えるでしょう。
余談ではありますが、私の仕事であるサウンドクリエイターは、色々な音の作ることを要求される仕事です。
楽曲においても様々なジャンルを求められるのですが、この 「Omnisphere2」のように1つのプラグインの中に多くの音が含まれていると、とりあえずまずこれを立ち上げて曲のイメージを膨らませる、なんてこともできます。
種類が豊富なので、例えばメロディラインに3楽器分の音を使って混ぜて作るなんてことも よくやります。(※このようにすることで、新たな音ができちゃいます!参考までに!)

次に特筆すべき点は、音質そのものがよいことです。
先ほど、生演奏を収録したものを使用していると述べましたが、ピアノやオルガンをはじめとした多くの楽器で非常にリアルな音を出してくれます。
これらの音は単独で出しても目立ち、オケ(伴奏)の中で も埋もれない音で鳴ってくれます。
そのまま出してもよし、加工してもよし!色々な音で楽曲を彩ることが可能です。

上記で“加工”と述べましたが、「Omnisphere2」は 1つの音に対して、A音とB音という2つの音を混ぜて出している構成をとっているものが多いです。(※一部例外もあります。)
ですので、例えば、A音は特に調整はせず、B音側だけを調整するとこれだけで基本設定の音とは違う音ができてしまいます。
種類が豊富なだけでなく、カスタマイズまでできてしまうあたり、使いようによってはものすごい可能性を秘めていると言えるでしょう。
3点目は、この「Omnisphere2」がマルチティンバー音源(1 台だけ立ち上げても、チ ャンネル設定により複数の音と鳴らすことができる音源)として使用できる点です。
「Omnisphere2」ステレオ 8チャンネルの枠が用意されているので、1台立ち上げて8音源分の音を鳴らせます。中には1台1音源で使用する方もいらっしゃるようですが、 「Omnisphere2」はパソコンへの負荷を考慮すると、マルチティンバーとして使用した方が機械に優しいと思います(笑)。


↑MULTI画面です。マルチティンバー音源として使用するときに使います。各チャンネル枠の左下にある 「OUT~」と書いてある部分は A~H まで割り振ることができますので、チャンネル1はOUT-A、チャンネル2はOUT-Bとすることでそれぞれ別の音源として扱うことができます。

 

3.「Omnisphere2」の欠点・悪いところ


長所が逆に短所になる…そんなこともあります。そう、音の種類の豊富さが売りな反面、音の種類が多すぎて、初心者はどんな音が出せるのかわからない、また、経験者でもイメージの音になかなかたどり着けない、というのが欠点になってしまうかと思います。
しかしながら、先ほどもご紹介したように、音を選ぶときにカテゴリやタイプで絞って、音を探しやすくすることでこの欠点を補えると思います。
また、音を選んだら、その音の横に星マークをつけることができ、これでブックマークのようにお気に入りの音をストックしていくことができます。
最初は膨大な音源に戸惑うかもしれませんが、慣れてくるとこの音は「Omnisphere2」にあったっけ!というように憶えてくると思いますので、ぜひ活用してみてください。

 

4.最後に


最後になりますが、気になる(笑)お値段です!下記にて、Media Integration社のWebサイトのリンクも掲載しますが、フルインストール版(※元祖 Omnisphereからのアップグレードではない版)では、基本5万円前後で販売されています。
元祖Omnisphereからのアップグレードの場合はもう少しお安くなるようですので、こちらをお持ちの方はアップグレードの方がいいと思います。
いかがだったでしょうか。
「Omnisphere2」が皆さんの楽曲制作の助けになれば幸いです!

 

公式リンク


■Media Integration社-Omnisphere2
http://www.minet.jp/brand/spectrasonics/omnisphere2/

 

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櫻井慎吾

1982 年生まれ。現在遊技機のサウンドクリエイター・サウンドディレクターとして活躍してい ます。幼い頃、ゲーム音楽に感動し音楽に興味を持ち、以後ゲームに限らず音楽に浸ってきまし た。大学を卒業後に本格的に音楽クリエイターになることを志して DTM を初め、独学で音楽理 論等を学びながら制作を続けて現在に至ります。音楽電子事業協会「AMEI」が主催する「MIDI検定」の 2 級資格及び 4~2 級指導者資格保持、また日本作編曲家協会「JCAA」の非正規会員です。
座右の銘は「成せば成る」「継続は力なり」です。皆さんも、好きなことをとことん突き詰めていってください!
努力は、いつか必ず実を結びます!

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