プラグイン： WAVES H-EQ のレビュー

イコライザーはDAWの付属のもので十分と考えている人もいると思います。他社製プラグインの多くは歴史の名機のアナログモデリングをうたったものが多く、その違いはなかなか分かりません。そこでEQのファーストチョイスとしてピッタリなWAVESのハイブリッドイコライザー「H-EQ」を紹介します。

・H-EQを使用し始めた経緯

H-EQに出会ったのはDAWに付属のプラグインだけでは満足できなくなり、やはりプロもいろいろなプラグインを使って制作をしているという現実を考えていたときです。

WAVESのハイブリッドラインのH-COMP、H-DELAY、そしてH-EQの評判を好きなアーティストが語っており、この多機能なプラグインに興味を持ち購入しました。これはアナログモデリングとデジタルのいいとこ取りのプラグインです。

・H-EQの特徴

H-EQは５つのパラメトリック・バンドとハイパス・ローパスフィルターを持ったイコライザーです。各バンドには7つの異なるフィルタータイプ（イギリス・アメリカのコンソールにインスパイアされたEQカーブとデジタルEQのカーブ）を選択可能です。

選べるフィルタータイプ

US Vintage
UK Vintage 1
UK Vintage 2
US Modern
UK Modern
Digital 1
Digital 2

はっきりと分かりませんが、WAVESの他のアナログモデリングのプラグインがあるようにUKビンテージとはNeveやSSLでしょうか。USビンテージはAPIかもしれません。また、EQカーブの他にモデリングした機器特有のノイズと倍音歪みを加えることが出来るので、ぜひ利用してみてください！

H-EQはさらに周波数アナライザーを表示可能で、それを見ながらイコライジングできます。そしてM/Sモードを備え、MidとSideに異なるEQを適用できます。

・H-EQの気に入っている点

H-EQではフィルタータイプのDigital 1を選択したとき、左右非対称のベルカーブが使える点が気に入っています。これはどういうことか画面と音を聴いて確かめてください（H-EQで同じ周波数をイコライジングし、アウトプットに同じ設定のWAVES L3 Ultramaximizerをかけました）。

Qを右に回した場合

Qを左に回した場合

どうでしょう。右に回すと、より高周波を含んだイコライジングになり軽やかな抜けのある音作り、左に回すと、より低周波を含んだ重厚な音作りになりとても便利です。このように通常のEQで２つのバンドを使ってやっていたことを１つのバンドで出来るようになり、とても便利です。

次にアナライザの下にキーボードが見えますが、これはノートを選択することにより各バンドの周波数を設定することが出来る機能です。みなさんは楽器に音階があるようにEQにも音階があることをご存知でしょうか？各トラックを適当にイコライジングすると、不協和音というか音程感が不安定なミキシングになり、聴いているとお腹が痛くなることがあります。シンセサイザーやその他音源はA=440Hzに設定されており、その周波数に合ったイコライジングをすることにより安定したミキシングが出来ます（逆に言うと基音が音階からズレている音には適用は難しいと思います）。このキーボードを使ったところ黒鍵も積極的に選択すると各トラックが曲になじみやすい印象です。

・H-EQの改善してほしい点

H-EQは多機能で十分なプラグインですが敢えて言うならば、リニア・フェイズに近いイコライジングが出来るモードが欲しいです。リニア・フェイズEQは専用のプラグインがありますが、簡易的にそれに近いモードをこのH-EQに備えてほしいと感じました。そうすることで他のプラグインとの棲み分けができますし便利だと思います。

・H-EQのまとめ

H-EQは十分な機能を持ったイコライザーです。世の中にはいろいろなEQのプラグインがありますが、迷ったときはファーストチョイスとしてもぜひお勧めしたいプラグインです。WAVESのセールは時々ありますし、EQプラグインの候補に入れてみてください！なお、このH-EQのネイティブ版は現在（2015.2.5）、MercuryとMogan Page EMP Toolboxにバンドルされるのみで、この他には単品で購入できます。今回は「プラグイン：WAVES「H-EQ」のレビュー」でした。

関連サイト
WAVES – H-EQ Media Integration,Inc HP
⇒ http://www.minet.jp/brand/waves/h-eq/