タブレット端末のアプリと言うと、その価格帯からもチープな玩具というイメージをもたれがちですが、初代iPad発売から4年以上が経ち、代を重ねる毎にマシンスペックの向上と共に、アプリも充実してきました。低コスト・省スペース、寸暇を惜しんで打ち込みできてしまうことを実現するiPad DTM。それを知らないのは勿体ない!
今回は筆者推薦のアプリを紹介します。
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Sunrizer Synth
BeepStreet / アナログモデリングポリフォニックシンセサイザー
価格 1,000円※
図1 Sunrizer Synthトップ画面
特徴
Roland JP-8000 をエミュレートした20ポリのシンセサイザーアプリ。実機に搭載されていたSuperSaw(図2)を使う事ができます。モジュレーションホイールで2つのティンバーをモーフィングさせます。エフェクターはDelay、EQ、Reverb内蔵。CoreMIDI、Virtual MIDI、Inter-App-Audio 対応しています。
長所
最大の特徴であるSuperSaw(図2)とはざっくりと説明すると、のこぎり波をたくさん重ねて太くした音です。トランス等に多用されていました。この音でバッキングを鳴らすだけで、あの時の思い出がパッと開きます。これがモバイル機器で気軽に扱える技術進歩には驚きですね。
図2 画像左上の細かいギザギザした波形がSuperSaw
インターフェースは基本的に減算式シンセサイザーで、名機の配置を参考にしているので、使いやすいです。CoreMIDI、Inter-App-Audioに対応しているので、MIDIキーボードに繋いだり、DAWでプラグインシンセのように使うことができます。クロック(テンポ同期)もInternalかExternalかを選べる点も、切り替えできないアプリが未だある中で、地味ですがとても評価できます。どのシーンでも使えるオールラウンドシンセと言えるでしょう。
短所
再起動すると前回の状況は記録されず、初期状態に戻ります。これはなかなか重要なことで、アプリが落ちてしまった場合、ライブ中なら復帰がそれだけ遅れることになります。エディット中なら定期的にユーザープリセットに記録しなければ、浪費した時間を後悔することになります。また、優等生的な音色なので、もっと破壊力のある音が欲しい場合、これ1つだけでは物足りなくなるかもしれません
参考先リンク→http://beepstreet.com
Alchemy Synth Mobile Studio
Camel Audio / サンプラー
価格 無料※
図3 Alchemy Synth Mobile Studioトップ画面
特徴
豊富なプリセットが魅力のサンプラーアプリ。中央のパッドを動かして、リアルタイムに音色変化させて演奏します。4トラックシーケンサー内蔵しており、ドラムキット選択時はドラムパッドに切り替わります
(図4)。CoreMIDI、Virtual MIDI、Inter-App-Audioに対応。
図4 Alchemy Synth Mobile Studio ドラムパッド
長所
サンプラーならではではといったPianoやGuitarの音はもちろんのこと、形容するのに困る変則的なSEまで揃っています。中央のパッド(図5)を適当に動かしながら鍵盤を叩いているだけで、複雑で有機的なフレーズに変化します。音色からインスピレーションが湧き出ることも良くあることなので、作曲に行き詰った時に助けられることがあります。
図5 数字が並ぶ部分が音色変化のモーフィングパッド
短所
同名のPC版があり、比べると機能は制限されています。が、作業領域やスペックの関係もありますので、割り切ってしまうかはその人次第でしょう。
サンプラーとしてはユーザーがエディットできる部分がほとんど無く、結局アプリ内課金しなければ音色追加をできない為、コストが高めなことです。
参考先リンク→http://www.camelaudio.com/AlchemyMobile.php
KORG Gadget
KORG / シーケンサー
価格 3,000円※
図5 KORG Gadget トップ画面
特徴
22種のガジェットと呼ばれるシンセサイザー(内7種はアプリ内課金で追加)内蔵のマルチトラックシーケンサー
(図6)。
トラック数はマシンスペックに依存。オートメーション、ループ回数指定、拍子は分母が1から16、分子が1から32まで指定できます。
往年の名機をエミュレートしたガジェットから、最近のジャンルに特化したものまで揃っています(図7)。
図6 シーケンス入力画面
図7 ガジェット選択画面 各国の首都名がつけられています。
マスターエフェクトはLimiter、Reverb、インサーションエフェクトにフィルター、歪み、変調、空間系30種。2ミックスはDropBox、SoundCloudに直接アップロード。AudioCopy、Wist、CoreMIDI、Virtual MIDI 対応し、Ableton Live のプロジェクトデータとして、パラアウトも可能です。
長所
シーケンサーが13/16などの変拍子指定できることはたいへんありがたいです。中には4/4か3/4しか選べないものがありますので、5/4拍子の時は面倒でしたね。
22種もシンセサイザーがありますが、上手く住み分けされているので、無駄な物はありません。出音も良く、音色も多岐に渡りますので、非常に広いジャンルをカバーします。
マスターエフェクトにLimitterがありますので、音圧も稼げる点もグッドです。
短所
Inter-App-Audioにも対応していますが、シーケンサーは使用不可、各トラックでMIDIチャンネルの指定も出来ないので、マルチティンバーのような使い方は出来ません。
22種のシンセサイザーはマルチトラックで真価を発揮するものですので、無理に選ぶことはないでしょう。
Ableton Liveへのパラアウトを除いて、基本的にこれ単体で完結するようになっているので、同社のアプリとさえも連携出来ません。これ以外のも素晴らしいアプリなのですが、勿体ないですね。
参考先リンク→http://www.korg.com/jp/products/software/korg_gadget_for_ipad/
アプリ名 |
ジャンル |
メーカー |
参考先リンク |
Sunrizer Synth |
アナログモデリングシンセサイザ |
BeepStreet |
|
Alchemy Synth Mobile Studio |
サンプラー |
Camel Audio |
|
KORG Gadget |
シーケンサー |
KORG INC. |
http://www.korg.com/jp/products/software/korg_gadget_for_ipad/ |
最後に
以上、シンセサイザーアプリ3つ紹介させていただきました。正直かなりの数があるので、悩みました。シンセフリークなら誰しも分かるMiniMoog、FX7、MS-20等のエミュレートシンセもあるのですが、今回は広いシーンで使える(と思っている)ものを、ピックアップしました。ビンテージシンセは別の機会に。
それでは、このレビューが皆様のお役に立てる事を願って。
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