今回はKORGのAnalogue Synthsizerから「volca」についてレビューしたいと思います。3機種交えながら書きます。
volca 購入理由
アナログシンセの艶やかでキレのあるサウンド、起動の早さ、パラメーターがすべて表面に出ているので動かしたいパラメーターにダイレクトでアクセスできる快適さ。丁度volca発売時期はアナログシンセに夢中でした。(今も夢中です) 私は完全にデジタルの時代しか知らない人間で、アナログシンセはすでに貴重な存在。なかなか出会える楽器ではありません。(厳密にはそこそこあった)そんななか初めてminiMOOGを大阪の「implant4」というお店で触ってから、アナログって凄いなと(笑) それからしばらくしてアナログが再燃してきました。ArturiaやKORGからアナログシンセが発売され、現在ではそこそこの数の製品が有ります。ほんとに運が良かったです。自分はmonotribeから始まり、MS-20mini、monotron、そしてvolcaと(KORG製品ばかりですが)試していきました。 volcaは最初にkeysを購入しました。keysの購入理由は”和音が弾ける”というところが一番でした。(アナログシンセはだいたいモノフォニック!・・・?)あとはディレイやシーケンサーが付いてるのもプラスです。 bassとbeatsはkeysだけでは物足りなくなり、購入。
主な内容
volcaは全部で3機種存在します。
- keys・・・アナログループシンセ。
- うわもの向き bass・・・アナログベースマシン。
- ベース向き beats・・・アナログリズムマシン。リズム隊
共通の仕様としては16ステップのシーケンサー(keysはリアルタイムで入力したのがそのまま反映される「FLUX」機能付き)、MIDI IN、SYNC INとSYNC OUT、単三6本での電池駆動、別売りのACアダプターでの使用のためのDC9V、ヘッドフォン端子、アクティブステップなど。 それでは機種ごとに説明したいと思います。
volca keys
keysは「うわもの向き」と書きましたが、音域はかなり広いのでベースパートを演奏することも可能です。 3機のオシレータを積んでいるのでPOLYモードでは3和音。ユニゾンやオクターブではレイヤーを組むことができます。RINGが付いているものは「矩形波」、それ以外のモードでは「のこぎり波」が出力されます。 パラメータは基本に忠実で、分かりやすい配置。左からモードとオクターブの選択、VCO、VCF、LFO、VCAが並び、後はディレイとシーケンサーのトランスポート等です。 keysの特徴としては、ノブの操作を記録できる「モーションシーケンス」機能。これで音作りの幅が格段に広がります。(「PEAK」は記録できない仕様になっています。) そしてシーケンサーのテンポを1/2、1/4にできたり、FLUX機能でリアルタイムに打ち込んだものがステップに影響されず、演奏をそのまま記録できたりします。1/4とFLUXを組み合わせて4小節分をリアルタイム入力。といった事もできます。 その他、LFOのタイプを変更できたり、メトロノームがあったり、ディレイがあったりします。(メトロノームが鳴ってるとディレイはかかりません。) かなり強引ですが、POLYモードで1音をベースに、もう一音をアルペジオ、最後の一音をメロディ。仕上げにメトロノームをリズム代わりに。といったこともできます。(メトロノームをリズムにするのは強引過ぎですがw) keysのサウンドはこんな感じです。参考までに。
volca bass
bassも「ベース向き」と書きましたが、音域は幅広くリードとしても使えます。 bassもkeysと同じく3オシレーターで、こちらはそれぞれのオシレーターを矩形波かノコギリ波か選択できるようになっています。 パラメーターはCUTOFFのノブが大きく作られています。よく使うので回しやすいです。フィルターが左側にきているのですが、快適に触れます。このレイアウトはよくまとまっていますっ!!それぞれのVCOをMUTEする機能も備わっています。 まずkeysと同じく3VCOのbassですが、同時に3和音は鳴らせません。VCO GROUPで分けてやると別々に記録することはできます。 使い方としてはbassシンセなのでベースとして使うのが一番向いています。 その次にVCOを2つ3つ重ねてピッチをずらしたりしてリードとして使う。そしてVCOそれぞれに違うフレーズを入れてしまうとか。ですね。 そしてbassの機能ですが、ステップRECがあります。 そして隣との音を繋げるSLIDE。LFOのターゲットを「AMP」「PITCH」「CUTOFF」へのON/OFF。LFOのフォームを「三角波」「矩形波」から選べます。そしてEGでAMPにかけるかどうかのON/OFF。等あります。 自分はkeysとの音数の分け合いで、VCOの使用数を決めています。 bassのサウンドはこんな感じです。参考までに。
volca beats
アナログリズムマシン。リズム隊です。他の使い道は無いといっていいです。アナログとなっていますが、「CLAP」「CLAVES」「AGOGO」「CRASH」はPCMになっています。これらはPCM SPEEDのみでの音作りになります。 パラメーターはアナログサウンドごとに3つ割り当てられています。そしてbeatsにもステップREC、MUTE機能があります。 これはbeatsにしかありませんが、各パートごとの音量を調整できます。「少しAGOGOがうるさい」と思ったら、パートをAGOGOに合わせてつまみを絞るとAGOGOだけ音量が下がります。 そして「STUTTER」。これはディレイに似ているんですが「TIME」「DEPTH」というパラメーターがあります。ディレイの「TIME」「FEEDBACK」がそのまま当てはまりそうなんですが、どちらいじってもFEEDBACKが変化します。ディレイもタイムを伸ばすとFEEDBACKが伸びますが、STUTTERはもっと伸びます。 ディレイと同じような使い方で「DEPTH」最大にして「TIME」を少し上げて太くしたりして使ったりもしています。 beatsのサウンドはこんな感じです。参考までに。
VOLCAをさせる
volca同士や、DAWと同期させることができます。 SYNC端子を使ってVOLCA同士を場合はマスタークロックをどのvolcaにするか決めて、そのvolcaのSYNC OUTから次のvolcaのSYNC INに付属のケーブルで接続します。後は同じようにSYNC OUTからSYNC INに数珠つなぎにしていきます。ただ、スタートの操作とタイミングは自身でやる必要があります。 DAWとの同期はMIDIケーブルで接続します。こちらはDAWをスタートさせるとMIDI接続されたvolcaもスタートします。
DTMで使う
DTMで使う場合はMIDIインターフェイスなどから接続してアナログの音源モジュールとするのもいいかと思います。クロックを送ってやれば内蔵シーケンサーと同期するので、DAWからノート等を送ってやるより、いいグルーブのフレーズが作れるかもしれません。
いいところ、わるいところ
良いところは、手軽さと本格的なサウンドが共存しているところです。電池駆動と内臓スピーカーで手軽にドコでも楽しめるし、MIDI端子があるのでMIDI鍵盤を繋げば一台のノーマルサイズのアナログシンセが出来た気にもなります。シンセ入門から、手ごろな音源としても期待以上のものを得られます。 でわ悪いところ。シーケンスデータのメモリーが合計8つです。やっぱりちょっと少ないかなと感じてしまいました。16あれば「おおっ!」となってたと思いますwそれとMIDIでパラメータのコントロールが出来るので、滑らかな音色変化になりません。CC(コントロールチェンジ)が割り当てられてて128段階になっています。あとbassとbeatsにもFLUXの機能が欲しかったです。
他の機材と比べて
少しエッジの効いたサウンドで、monotribe等と上手く住み分けられてる印象です。
最後に
「シンセデビューはここから!」とお勧めできるアナログシンセです。基礎もキッチリ抑えられるし、そこからの楽しい機能も満載なので、長く楽しめます!もちろんサウンドも本格的なので、その面でも息の長い機材になると思います 以上、KORG VOLCAについてのレビューでした。
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