DAWソフト:Presonus Studio One 3 のレビュー

Note FX

ここ数年で飛ぶ鳥を落とす勢いでユーザーを増やしてきているDAWソフト「Presonus Studio One」。
今回はその最新版「Presonus Studio One 3」をレビューしたいと思います。
ちなみに筆者はギタリスト、コンポーザー、アレンジャーとして主に活動していますので、その視点からレビューさせていただきます。

スポンサーリンク

■Studio One との出会い


筆者はDTMを始めた頃はWindowsでCAKEWALK SONAR、Macに移ってからはLogicを主に制作で使用していましたが、知り合いのエンジニアから音が良くて使いやすいDAWがあると聞き、Studio One 2を導入してみました(当時セールだったのもありまして、、、(笑))。

噂通り、びっくりするぐらいクリアで、オーディオはもちろん、前から持ってたソフトシンセの音も「こんな音だったんだ?!」ってぐらいにクリアで太く聞こえました。

そして不思議なぐらい動作が軽く、操作性も直感的でシンプルなので、以来メインDAWとして使用してします。ちなみに筆者は全機能が使用できるProffesionalを使用しているので、レビューもProffesionalのものになります。

 

■Studio Oneの気に入ってる特徴


筆者がStudio Oneを使用してきた上で特に気に入っている機能を説明します。

・ピッチ修正ソフト「Melodyne」が組み込まれてる
Melodyne

ピッチ修正プラグインの代名詞、Melodyneですが、通常Melodyneを使用する時はプラグインを立ち上げた後に編集したいメロディを再生して一度読み込ませる必要があります。

要するに一曲の歌メロを全部編集したい時はほぼ一曲丸ごと最初から最後まで再生する必要があるのです。Studio Oneの場合はボタン一つで瞬時にトラックの音程データが解析され、5分の曲でも3秒ぐらいで編集できる状態にしてくれます。コーラスが多い楽曲の編集などでは作業効率が圧倒的に違います。

 

・プラグインがドラッグドロップできる

呼び出してチャンネルに差し込む時ももちろん、チャンネルからチャンネルへコピーする時もドラッグドロップで簡単に設定ごと複製できます。複数のギタートラックにローカットのEQなどを差し込みたい時などに便利です。

 

・マクロ機能が使いやすい

複数の作業を一度に行ってくれるマクロ機能は色んなDAWについていますが、Studio Oneはかなり使いやすい印象があります。

筆者は「キーボードの数字に応じて選択した音のベロシティが変わる(7を押したらベロシティが70になる、等)」や、ボタン一つで「Aメロ」「サビ」「間奏」等と書かれているマーカーを一気に呼び出す、といったマクロをよく使用します。

 

・オーディオファイルのピッチシフト、タイムストレッチがとても簡単

DAWによってはオーディオトラックのピッチシフトをするためにはそういったプラグインを別途用意してトラックに差し込む必要がありますが、Studio Oneの場合はMIDIチャンネルのようにチャンネル内の「トランスポーズ」値を変更するだけでとても簡単に変更できます。

音質も、極端にキーを変えなければ割とまともなので、プリプロ段階で曲のキー変更バージョンを試す際にはかなり使えます。

テンポに関しても、トラックがテンポに追従するようにセッティングができるのでアレンジの段階で楽曲のテンポを色々試したい時はかなり作業が楽になります。そしてテンポを割と大きく変えても音質もそれなりに保たれます。

 

・付属プラグインが良い

「Compressor」、「Room Reverb」、「Pro EQ」等、有名メーカーのプラグインに引けを取らない質のプラグインを多く含んでいます。

特にPro EQはアナライザー機能も付いているので、ミックスする際には重宝してます。付属プラグインは全体的にとても軽いのも一つのメリットですね。

PRO EQ

 

■Studio One 3の主な特徴


ここからやっと本題です(前置きが長くなりました)。バージョンアップしたStudio One 3の主な機能を紹介していきたいと思います。

 

・スクラッチパッド機能

今のところ新機能の中では一番重宝してます。

アレンジトラック(トラックの波形や時間の経過が見えるメイン画面)は通常楽曲ファイル1つにつき1画面ですが、この機能を使えばアレンジトラックを増やすことができるのです!しかも何個でも!

文章だけ読んでもよくわからないと思いますので、、

画面で見るとここです

スクラッチパッド

メインのアレンジトラックとは全く別の、タイムが0から始まるアレンジトラックが作成されます。各トラックのエフェクトや設定は全てメインのアレンジトラックと一緒です。

この機能によって
「Aメロ、このアレンジだとどう聞こえるんだろう?」
「試しにCメロを加えてみよう!」
「CMソングだから30秒と15秒バージョン作らなきゃ」
といった場合に、メインのタイムラインからそのままスクラッチパッドにデータをコピペをして、スクラッチパッド内で編集をすれば元のアレンジトラックに手を加えることなく他のパターンを試したり別バージョンを作ったりできるのです。

楽曲アレンジをやる方は経験あると思うのですが、通常のアレンジトラックでこの作業を行おうとすると曲データの最後にデータを複製して、変えることを変えて試して、良かった場合は左側にある元のアレンジを消して差し替えて、、、、と割と面倒臭い作業を行わなければいけない上、実は最初のアレンジが良かった!ってなった場合戻れなかったり、タイムラインが曲の断片だらけになってものすごくわかりづらくなったり、、、といった問題点があります。

スクラッチパッド機能はそういったトラブルを全て解消してくれます。「Aメロ別アレンジver」「Cメロ追加ver」「Mステver」と名前をつければ、とても楽に複数のバージョンを管理できます。より良い作品作りに非常に貢献する機能だと筆者は思っています。

 

・拡張FXチェーン

チャンネル内のプラグインをただ直列に並べるだけでなく、並列に並べることができます。

編集画面です

拡張FXチェーン

いまいちピンとこないかもしれませんが、要するに一つのチャンネルの音を左右や周波数などで振り分けて別々にエフェクトをかけることができるのです。

画像では、中低域と高域でギターの音を分けて、中低域はローカット+コンプ、高域は別のコンプを加えてさらにコーラスとディレイをかけてます。アイディア次第でかなり細かく音作りを行うことが可能ですし、ミックス作業においても心強い味方になると思います。

 

・Multi Instrunment

一つのMIDIトラックで複数のインストゥルメントを同時に鳴らすことができます。例えば、ベルの音とシンセのリード音を組み合わせてアイドル楽曲用の爽やかなリードトーンを作ること等ができます。

Multi instrunment

 

・MIDIエフェクト「Note FX」

オーディオではなく、MIDIのノートデータの段階でエフェクトがかけられます。

Note FX

ダンスミュージックに欠かせないArpeggiatorや、コード音を弾いてくれるChorder、鳴らす音程を制限できるInput Filter等があります。Arpeggiatorは操作性も良く、使えます!

 

・追加シンセ「Presence XT」「Mai Tai」

以前から付属していたサンプルプレイヤー「Presence」の進化版「Presence XT」、そしてアナログモデリングシンセ「Mai Tai 」(マイタイって読みます)が加わりました。

さすがにOmnisphereやNexusレベルのシンセには劣りますが、割と使える音がたくさんある上にとても軽いので、簡単な音決め段階ではとても役立ちます。

ちなみにMai Taiはカクテルの名前で、同じ付属シンセでMojito(モヒート)というのもあります。制作スタッフがお酒好きなのでしょうか(笑)

Presence Maitai

 

・ステップ録音

人によってはかなり使われるステップ録音が行えるようになりました。筆者は全く使いません(笑)

 

・iPadアプリ「Studio One Remote for iPad」と連携

iPadを持っていればStudio One 3 の機能をリモートコントロールでき、ミックスやある程度の編集をIpad上で行うことができます。まだ試せていないですが、タッチパネルでフェーダーを調整するのは直感的で使いやすそうですね。

 

・色がよりダークに

長時間画面を見ることによる目の疲れを解消する目的で変更されたと聞いていますが、個人的には見づらくなったと思ったのでデフォルトの色より少し明るく調整しました。色調整は割と幅広くカスタマイズできます。

他にも多くの新機能がありますが、ひとまず代表的なものを紹介してみました。

 

■改善してほしいところ


これは自分以外の方からも聞きますが、Studio One 2同様、MIDI入力に今ひとつ扱いづらさを感じます。スピーディで正確な打ち込み作業に関してはLogicのほうが画面が見やすく、使い易い印象を受けます。

そしてStudio One 3になって、さらに画面が暗くなって一層見づらなくなったと思います(笑)使い続けて慣れましたが、今後もう少し改善してほしいところです。

 

まとめ


筆者にとってはStudio Oneの今回のアップグレードはとても大きく、今回紹介していない細かいアップグレードも含めると大幅に使いやすくなったと感じています。

後発のDAWであるメリットがアップグレードにも生かされていると思うので、今後どんどん飛躍的に成長していくDAWだと思います。
デモバージョンはほぼフル機能で一ヶ月使用できるので、実際一度使ってみることをお勧めします(回し者では決してございません)。

以上、 Studio One 3のレビューでした。

<iframe src=”http://rcm-fe.amazon-adsystem.com/e/cm?t=dtmreview-22&o=9&p=8&l=as1&asins=B00XZZVT7A&ref=qf_sp_asin_til&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr” style=”width:120px;height:240px;” scrolling=”no” marginwidth=”0″ marginheight=”0″ frameborder=”0″></iframe>

スポンサーリンク


Gentaro Futatsugi

Gentaro Futatsugi

ライター:二木 元太郎(フタツギ ゲンタロウ)
ユニット「fromnou」のギタリストとして活動中。
コンポーザー、アレンジャーとしても活動中。

Twitter:https://twitter.com/fromnou_gentaro
fromnou official website:http://www.fromnou.com
Gentaro Futatsugi

Speak Your Mind

*

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ga('create', 'UA-42816298-1', 'auto'); ga('require', 'displayfeatures'); ga('send', 'pageview');