シーケンスソフト、Digital Performer(以下DP)の最新バージョン、DP9をご紹介いたします。スポンサーリンク
DAWソフト概要
現在普及しているDAWソフトとしては、Cubase、Logic、Sonar、DP、そしてPro Toolsがあげられます。
これらDAWソフトは、Pro Toolsとその他に分類することが出来ます。
簡単に言えば、Pro Toolsがオーディオ録音ソフト、その他がMIDIのソフトとして「開発」されました。
「開発」されたというところがポイントで、現在はどうかというと、Pro ToolsでMIDI操作も出来ますし、それ以外のソフトでオーディオの録音もできます。
そして現在、これらのソフトで「最終的にできること」の差は、ほとんど無いといって良いくらい、どのソフトも完成度の高いものになっており、DAWソフトウェアは成熟期に入ったと言っても良いでしょう。
しかしながら、メジャーを始めとしたプロ用のレコーディング・スタジオに導入されているのは、まちがいなくPro Toolsだというのも事実です。
それは、オーディオ録音、編集に関しては、今でも他のソフトからあたま一つ出ているということと、なんといっても「業界標準」ということが大きいでしょう。
DPとPro Tools
さて、Pro Tools以外のソフトに関しては、最終的にできることに差がほとんどないなかでDPをすすめる理由、それは、Pro Toolsに似ているからです。
上述したように、現在でもPro Toolsは業界標準ソフトなので、メジャーの音楽制作工程においてPro Toolsを介さないということはまずありません。
一方、宅録環境では諸々の理由で、Pro Tools以外を使っている人が多いようです。
この場合、自宅で使っているDAWソフトとPro Toolsが似ているというのは、あらゆる面で大きなメリットとなります。
MIDI操作のしやすさを追い求めてきたシーケンスソフトのPro ToolsバージョンがDPと考えてもらったら良いと思います。
DPの特徴① 〜MIDI編集が快適〜
上述したように、DPはオーディオも扱えますが、オーディオ機能を搭載する前のPerformerも含めると、MIDIシーケンスソフトとしての歴史は非常に長く、その分操作性も洗練されています。
「慣れ」を除けば、MIDI編集に関してはDPが他のソフトを一歩リードしていると言ってよいでしょう。
クオンタイズ、デュレーション、トランスポーズ、ベロシティの設定は自由自在に、かつスピーディーに可能です。DP9よりノート単位のミュートにも対応しています。
DPの特徴② 〜ピッチ補正が快適〜
いまやボーカルのピッチ補正は当たり前ですが、DPはピッチ補正機能を内蔵した最初のDAWソフトです。つまり、ピッチ補正のためのプラグインソフトを立ちあげる必要がありません。
その操作性もすばらしく、MIDIノートを編集する感覚と近い操作性で編集が可能です。
DPの特徴③ 〜同期演奏が快適〜
一般のシェアこそ他のソフトにトップの座を奪われていますが、コンサート時の同期に使用するソフトは、現代でもほとんどDPです。
これは、チャンクという機能があるからです。
チャンクという機能は、一つのプロジェクト内に複数のシーケンスを用意できる機能で、現在でもDP以外のソフトにこの機能はありません。
例えば、コンサートの1曲目と2曲目で同期演奏をする場合、DP以外のソフトだと、1曲が終わった後そのプロジェクトを閉じ、2曲目用のプロジェクトをたちあげ再生、となります。
DPだと、一つのプロジェクト内に複数のシーケンスを用意でき、それらをワンクリックで切り替えられます。また、それらの順番を前もって組んでおき、1曲目の再生が終わったらプロジェクトを自動的に切り替えて2曲目の最初で一時停止(待機)状態、といった設定も簡単にできます。
臨時で曲順が変わったという場合も、ドラッグするだけで大丈夫です。
加えて、それらの操作をコンピュータと同じネットワーク内にあるiOSアプリから遠隔操作できるので、コンサートでは非常に強力なツールとなっています。
チャンクの機能は同期演奏だけでなく、例えばある曲のフルバンドバージョン、アコースティックバージョン、マイナスワンバージョンなどを同一プロジェクト内に用意するという使い方も出来ます。
プロジェクトをまたがってのオーディオやMIDIのコピーもスムーズにできるので、アレンジ違いのバージョンを複数ためしてみる場合に非常に重宝します。
DPの欠点
DPの欠点は、最初に触った時の操作が難しいのと、普及率が低いことです。
最初に触った時の操作が難しい理由は、見た目(インターフェイス)が地味だからです。
しかし、これにも理由があります。
音楽制作をしていくうえで、その工程が最終段階にはいる頃になると、ソフト上で立ち上げているプラグインソフト、エフェクトも膨大になります。そして、その数に比例してコンピュータには負荷がかかります。せっかく作った楽曲なので、いつクラッシュしても大丈夫なように、頻繁に上書き保存をしながら作業をすすめます。
いくら慎重にすすめても、いくらスペックの高いコンピュータを使用しても、クラッシュするときはします。
つまり、ユーザーとしては、できるだけコンピュータに負荷がかからないように注意しなくてはいけません。
見た目を派手に、わかりやすくすればするほど、コンピュータの負荷が高くなることは言うまでもありません。見た目の地味さは慣れればどうとでもなりますが、見た目の派手さによるコンピュータ負荷はやはり避けられないのです。
つまり、DPは見た目の派手さよりも、安定した作業を優先しているのです。
(尚、同じ傾向は上述したPro Toolsにも見られます)
普及率の低さの理由も、その地味な見た目によるはじめにくさの影響が大きいようです。
本格的な作業のために、あえて地味な見た目を続けていると捉えれば、また見え方も変わってくるのではないでしょうか。実際にプロの現場での普及率は依然高いままです。
最近はインターネットも普及し、DPの操作方法も容易に検索が出来るようになりました。本格的な音楽制作を志している方は、ぜひひとつの選択肢に入れてみてください。
以上[DTMソフト:MOTU Digital Performer9のレビュー]をお届けしました。
関連サイト
High Resolution(代理店)
http://www.h-resolution.com/index.php
Digital Performer9
http://www.h-resolution.com/motu/dp9_overview.php
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