俺++(Includeore)のDee!です。Komplete 10 Ultimate(以下K10U)レビュー第5回目は、Reaktor上で動作するパッチ(後編)です!数が多いので前編(4回目)と後編に分けてご紹介します。
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■次世代クラブサウンド向けのクールな音響兵器! Razor
2オシレータの加算デジタルシンセです。
汎用GUIパーツで組まれたReaktorパッチが多かった最中、カッコイイ専用GUIが用意され、単体製品として販売されていた辺りからもNIの自信がうかがえます。
NIらしく非常に現代的で硬質なサウンドで、その名前のとおりレーザーのような鋭いギラギラしたシンセ音、ベルやマレットなどの金属的な音、SF的なモーションパッド、地を這うような太いベースなど色々こなせます。
プリセットにはMassive以上にエグい低音を出すワブルベースも収録されており、Drum’n Bass、Dubstep、Jukeなど低音に重きをおくベースミュージックに強そうな印象です。
画面上部には中央に波形表示エリア、左右に基本の音作りのエリアがあり、画面下部には詳細な音作りをするためのエリアがあります。
波形画面下部のOSC1からSCOPEを切り替えることで各ブロックの波形の出力状態を表示できるので、何が起こっているか把握しやすいです。
そのすぐ右にあるAUTOと3Dで表示形式を切り替えられますが、おすすめは3Dですね。波形が立体的にアニメーション表示されるのでカッコイイですw
Waves Codex、Xfer Records Serum、Spectrasonics Omnisphere等にもこういった波形表示機能が搭載されていますね。
音作りに関しては、波形表示の左側は主にピッチやチューニング等の設定、右側は波形の倍音の出力を制御します。
SAFE BASSはサイン波のサブオシレータ的なものです。ここで低音のモコっとした部分の出力具合をコントロールします。
面白いのはSPECTRA CLIPで、波形の高次倍音をそぎ落とせます。複雑な高次倍音をそぎ落とすほど素のオシレータっぽいシンプルな音になります。
波形表示をCLIPPERに切り替えて操作すると、どのように波形が変化するのかわかりやすいです。フィルターっぽい動作をしますがコンプのようなかかり方ですね。
プリセットをロードしてこのエリアで音を変化させるだけでもそれなりに音作りができる感じです。
画面下部の白いエリアにはオシレータ、フィルター、エフェクターのブロックがあり、その下の黒いエリアにはLFOなどが並んでいて、詳細な音作りはここで行います。
オシレータ波形やフィルター波形、エフェクトの種類を選び、つまみ操作でパラメータを設定して作りこんでいきます。
オシレータやフィルター波形は普通のアナログシンセ的なよりも、HooverやFormantなどNI独自の風変わりなものが目立ち、エフェクトも特殊なものが多いです。
Formant系のオシレータを選ぶと高次倍音をたくさん含んだオアオア、ギョアギョアした人の声のような激しいサウンドになりますw
Razorは加算シンセなので、2つのオシレータと2つのフィルターを加算して倍音を増やし、DISSONANCE EFFECTで最終的な倍音をコントロールという信号の流れになります。
これにより複雑な倍音を含んだSF的なサウンドを作れますが、一般的な減算シンセのように出力結果が簡単に推測できないので、慣れるまでは音作りが難しく感じます。
あとリバーブの質が良いですね。これだけでも単体エフェクトにしてもらえないかな、と思いましたw
おなじみ「Veiw A」モードは8つのノブに対応したパラメータを表示します。KompleteKontrolやKOREなどのハードウェア向けの画面ですね。
実はRazorはボコーダーとしても使えます。以下、Cubaseを例としての説明となりますが、他のDAWでもおおよそ同じかと思われます。
後述のPrism FX、Molekular、The Finger R2、The Mouthなどのエフェクト系パッチもおおよそ同じ設定方法で使用します。
- まずオーディオトラックかVSTiトラックを1つ作成します。(※ここではオーディオトラックを例にします)
- オーディオトラックにお好みの波形を貼っておきます。ボイスかドラムループ辺りが効果がわかりやすいです。
- 続いて、作成したトラックのチャンネル設定を開き、インサートエフェクターにReaktor FXを指定します。
- Reaktorが立ち上がるので、ここでRazorを読み込み、ボコーダー系のパッチを選択しておきます。
- 続いてMIDIトラックを1つ作成し、MIDI-OUTにReaktor FX – MIDIINを指定します。
- 作成したMIDIトラックをRECモードにしてMIDI入力を受け付けるようにし、トランスポートの再生ボタンを押してプロジェクトを走らせます。
- MIDI入力するかピアノロールに音程を書き込むと、オーディオトラックにボコーダーエフェクトがかかり、音程をつけた演奏が可能になります。
■NI創設者による減法シンセサイザー Reaktor Spark R2
NI創設者のStephan Schmitt氏が設計した減法シンセサイザーだそうです。
プリセットはボコボコした地味なベース的なサウンドが大半で、更にReaktorの基本GUIパーツで設計されているので、大きい画面の割にちんまりとした印象が…w
「Veiw A」モードもなく、この1画面ですべてです。
画面上部は中央部や下部とリンクさせたマクロコントロールエリアで、LFOを使ってパラメータを周期的に変化させたりできます。
プルダウンメニューからコントロールしたいターゲットとなるエリアやパラメータを選ぶ、といった感じです。
押すとオレンジに光る丸いボタンがあり、光っているときはLFOでコントロールされフェーダーがぬめぬめと動きますw
画面中央部の明るいグレーのエリアが音作りの中心となる部分ですが、オシレータがPULSEとSINEのみで、
これらをシンクさせたりFM変調させたりリングモジュレートさせたりといった感じで、この辺りだけ切り取ると普通の減算アナログシンセのような印象です。
しかし、他のアナログシンセのように矩形波もノコギリ波もノイズもないため、そこまでバリエーション豊かに音を作れそうな印象はないです。
PULSEとSINEを生かすとなると、ベースやシンセキック、ポコポコしたプラック辺りのサウンドが高い効果を望めそうな気配がします。
軽く弄ってみたところ、やはりブリブリしたシンセベースは割と簡単に出せました。
あとなぜかフィルターとLFOが妙に充実していますw
リングモジュレータのエリアに1つ、すぐ下のミキサーエリアにLPF/BPF/HPF、最下段のエフェクトエリアに8ポールフィルターが。
PULSEとSINEのシンプルなサウンドをフィルターとLFOでコテコテに作りこむのが、このシンセの基本的な流儀なのかも知れません。
■エフェクターにもなる物理モデリングシンセ Reaktor Prism
Spark同様、NI創設者のStephan Schmitt氏が設計した物理モデリングのシンセサイザーだそうです。
やはりSpark同様に少し地味なのですがw、笛やキラキラしたマレット、不思議なデジタルパッドなどを鳴らせる分、こちらのほうがバリエーション豊かな音作りを楽しめそうです。
画面中央部の明るいグレーのエリアはエキサイターモジュレーションとエンベロープモジュレーションです。
名前のとおりここでは出力サウンドのエンベロープを作りますが、左エリアのエキサイターは、
いわゆる一般的な音を派手にするエキサイターエフェクトではなく、その下のMODAL BANKの音の尖り具合?に大きく影響します。
このシンセのオシレータと言える部分はMODAL BANKです。
ここのTIME、HI AMT、CUTOFF、A/B BAL辺りのパラメータを中心に、上のエリアのエキサイターやエンベロープとセットでコントロールすることで、
カリンバのような金属的なマレット楽器、尺八のような管楽器、ホラー映画のようなアトモスフィアサウンドを作り出せます。
ちょっと弄っただけで地鳴りのようなドローンサウンドになったり金属ノイズになったりと、ここのコントロールはかなり繊細な印象を受けますw
Spark同様に画面上部は中央部や下部とリンクさせたマクロコントロールエリアで、LFOを使ってパラメータを周期的に変化させたりできます。
画面下部に8ポールフィルターやリバーブなどのエフェクトエリアがある辺りもSparkと同じなので、Spark慣れした人には直感的に触れるのではないでしょうか?
「Veiw A」モードは別途無償で配布されているMIKRO PRISMのGUIになります。
プリセットをちょっと弄るといった用途の場合、こちらの方が気楽に楽しめますね。
Prismのエフェクター版であるPrism FXは中央部のエキサイターエンベロープとモジュレーションエンベロープが一つになり、変わりにGATEとNOTESに変更されています。
GATEはそのままゲートタイムのコントロールで、NOTEはオレンジになっている時はMIDI入力で音階をつけられます。それ以外はおおむねパラメータは同じです。
AmenBreakにプリセットのAmbient Bellをかけて、GABDCBと音程入力してみたところ曲っぽくなって面白かったですw
■NI版KAOSS PAD?リアルタイムにダビーなエフェクトを極めよう Molekular
LFO兼ステップシーケンサーと4系統のエフェクトを組み合わせたマルチエフェクト。
画面上部中央の星のようなポインターを動かすとエフェクトのかかり具合が変わります。
中央がニュートラルで、ポインターをA~Dに寄らせることで画面下部4つのエフェクトのかかりのバランス配分を変えられます。
ポインターを適当な位置に置いてからBassを押すとモーフィングしながらゆっくりとニュートラルに戻ります。
なんとなくKORGのKAOSS PADっぽいですね。MIDI入力による音程の指定は出来ないようです。
画面上部左上のエリアでは4種類の方式でLFOやステップシーケンスのコントロールを、右上のエリアでは画面下部の4つのエフェクトのルーティングを設定します。
4系統のエフェクトエリアでは5種類の汎用エフェクトと各DSPで固定の特殊なエフェクト数種類の内、1つが使用できます。
汎用エフェクトはDual Delay、EQ、Filter、Level、Metaverbで、これらはどのDSPでも使用できます。4系統全部Metaverbにしたりもできますw
固定の特殊なエフェクトはどれも個性的ですが、中でもDSP1のPlagiarismやDSP4のTrack OSCが面白いです。
Plagiarismは周期的なレコードスクラッチのようなエフェクトで、Track OSCはシンプルなアナログシンセのようなエフェクトです。
これらをうまく使っているplagiasrism Dubというプリセットが面白かったので、AmenBreakにかけてみましたがどうでしょうか?
「Veiw A」モードは画面中央部のパラメータに限定したモードです。
ますますKAOSS PADっぽさが増しますw XYパッドつきのMIDIコントローラと連携できればリアルタイム操作が面白そうですね。
■指先一つでエフェクトを切り替え!大胆なリミックスにはコレ The Finger R2
ピンと突き立てた人差し指(中指ではないw)のアイコンが目印のエフェクターです。
鍵盤パッドにエフェクターがアサインされていて、指先一つでリアルタイムにさまざまなエフェクトを切り替えながらかけられます。
例えるならiZotope StutterEditが近いですね。個人的にこういう飛び道具エフェクトは大好きですw
画面上部でエフェクトを作りこみます。エフェクトはフィルターや歪み系の他、
リバース処理、スクラッチ、テープストップ、グリッチのようなスタッター系の特殊なエフェクトなどで40種類ほど用意されており、
これらのパラメータをモジュレーションホイールやベロシティにエフェクトのパラメータをアサインすることで、
かかり具合もリアルタイムにコントロールできます。
画面下部の鍵盤パッドごとにエフェクトを1種類ずつ設定できます。オクターブ切り替えで88鍵分設定できるのかな?
MIDI入力を受け付けるので当然ピアノロールに音程を書き込むことでも制御できますが、やはりここは一つ、
リズミカルに鍵盤をトリガーしてリアルタイムにエフェクト処理を楽しむことをオススメ致します!(勿体無いので同時にMIDI RECもしておきましょうw)
「Veiw A」モードはありません。StutterEditのようなエフェクターを別途買う前に、まずThe Fingerを試してみるのも良いかと思います。
■エフェクティブなボーカル処理ならお手の物 The Mouth
クチビルのアイコンが特徴的なボーカル向けのエフェクターです。
例えるならAntaress AutoTune EFXとHarmony EFXを足したような感じですね。
プリセットも色々用意されていますが、原音からかけ離れるぐらいに音が変わるエフェクティブな物も多いですw
左側のPERFORMANCE CONTROLSで細かい音色設定を行い、画面右側のMIXERで原音や加工音のミックスバランスを調整します。
画面下部では和音に関係するルートやスケールの設定、鍵盤パッドで音程を指定します。MIDI入力が行われた場合は表示が連動します。
PITCHモードとBEATSモードがあり、前者はMIDI入力された音程を元にピッチを変えたり、ハーモニーを作ったり、ボコーダーボイスに加工したり、ダフトパンクごっこが捗りますw
後者はアルペジオやステップ的な音程を自動でつけてくれます。こちらはドラムループなどにかけると面白いですね。
こちらもFinger同様に「Veiw A」モードはなく、この1画面で全部です。シンプルながら、音の変化のバリエーションが豊富で高機能なエフェクターです。
■次世代クラブサウンド向けのクールな音響兵器! Razor
以上、第5回目のレビューでした。やはりReaktorはいかにもNIらしい、インテリで独創的なシンセが多かったです。
6回目以降はエフェクター、Kontakt拡張ライブラリなどについてレビューしていきたいと思います。お楽しみに!
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