ブラス音源比較レビュー

皆さん、こんにちは!サウンドクリエイターの櫻井慎吾です。
皆さんは、ラッパ…もとい、ブラスの音は好きですか?私は、某有名RPGゲームのオープニング曲のメロディにブラスが使われているのを聴いて以来、すっかりブラスの虜になりました!(笑)
オーケストラ編成における管弦楽器と並び、“金管楽器”と呼ばれますが、管弦楽器=ストリングスがオーケストラの主役であるならば、金管楽器=ブラスは、ここぞという時に楽曲を彩る名わき役だと言えるのではないでしょうか。DTMの世界においてストリングスの音源は多く出ているのですが、ブラスの音源はまだまだ数が多くなく、それこそリアリティを求めるのであればまだ確立されていない音源の一つだと考えます。そんな中で今回は、私の手持ちの音源のうち、“即戦力としてオススメできる”ブラス音源を比較してご紹介したいと思います。

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【1.比較する音源たち】


今日の主役は以下の音源たちです!
まずは、同一のMIDIデータに各音源の該当楽器をあてたサンプル音源をお聴きください!ちなみに、元のMIDIデータは、これからのシーズンを予見し、かつブラスが際立つものを、私の独断と偏見で選びました(笑)。

■KONTAKT Factory Library(Native Instruments)

■CineBrass (Cinesamples)

■Symphony Series – Brass Ensemble (Native Instruments)

いかがだったでしょうか。同じブラス音源でも、まったく違う雰囲気を味わっていただけたのではないかと思います。また、MIDIデータにただ音源を乗せただけなので、まったく打ち込みっぽく聴こえてしまったものもあったと思います。それだけ、ブラス音源はリアリティの追求が難しく、いまだ発展途上だと言ったことがお分かりいただけるかと思います。では、以下それぞれの音源について紹介をしていきます。

 

【2. KONTAKT Factory Library について】


まず、この音源からですが、Native Instruments 社から出ている「KOMPLETE」シ リーズに含まれている音源です。この音源のサンプルを聴いていただいたところで、さっそく突っ込もうと思います。

打ち込み感が出まくってるじゃん!!!

…おっしゃる通りでございます。MIDIデータまんまの未調整とは言え、ここまで打ち込み感が出てしまうと後々紹介が言いづらいのですが(笑)。とは言え、この音源は実際の生演奏をサンプリングして作られており、ひとつひとつの音源はかなりリアルな再現がされています。MIDIデータ側でもしっかりと調整をしてあげることで、リアルさがグッとアップするので、即戦力と言ってよいと思います!

さて、その他機能面ですが、生演奏をそのままサンプルしている音源ということで、オーケストラ特有のリバーブ感はかなり含まれており、場合によってはリバーブを抑えてあげないと全部の楽器が残響だらけ…になってしまうかもしれませんので注意です。また、キースイッチ(※音がアサインされていないキーで奏法等を変えること)で、サステインやスタッカート等に切り替えが可能です。
お値段ですが、「“無印”のKOMPLETE」であれば約50000円で、無印よりも全部入りの上位グレードである「KOMPLETE Ultimate」であれば約 100000円となっています。10万円はちょっと…と思いますが、年に2回夏と冬に半額セールをやりますので、購入するならこの機会を狙うとよいでしょう!

 

【3. CineBrass について】


「CineBrass」は、Cinesamples 社から出ている音源です。Cinesamples なこれ以外にも多くのオーケストラ系の音源を作っており、どれもリアリティがかなり高いです。社名の“Cine”は“Cinematic(シネマティック=映画のような)”にかかっており、映画音楽でも通ずるようなリアルな音源を作ることを目的としている(※であろう)熱意が伝わってきます(笑)。サンプル音源を聴いていただいた感想は、“音がリアルで、かつハッキリ聴こえる”ではないでしょうか。私も音源を当ててみて驚いたのですが、リバーブ成分がほどよく、それでいてリアル寄り、かつ音像がしっかりしている、という印象を持ちました。映画音楽はリアリティが求められますが、それ以前にBGMとしてしっかり聴こえる必要がありますので、その点をしっかり考慮して作られていると思います。
機能ですが、上記「KONTAKT Factory Library」と異なり、キースイッチ機能がありません!!そのため、例えばトランペットで奏法を使い分けたい場合は、奏法分のトラックと音源を立ち上げる必要があります。(※トランペットの場合は、サステイン、スタッカート、ミュートあたりでしょうか。)リアルを追求すると、トラック数が膨大になるかもしれませんので、音源の管理と CPUの処理性能には注意が必要です。ちなみに、この「CineBrass」には、“Pro(=最上位)”と“Core(=いくつか音源抜粋)”の2グレードがあります。私が今回紹介したのは“Pro”の方ですが、音源によっては“Core”にしか含まれていないものもありますので、購入の際には確認をお勧めします。
気になるお値段ですが、“Pro”も“Core”も45000円前後となっています。

 

【4. Symphony Series – Brass Ensemble について】


最後は「Symphony Series – Brass Ensemble」についてです。これは 1.の「KONTAKT Factory Library」と同じ、Native Instruments 社から出ています。
こちらのサンプルは、1.の「KONTAKT Factory Library」とは異なり、リアリティ溢れるものになっていたと思います。パートの差別化のため、メロディの音色をトランペットにして、かつスタッカートのみで演奏させたため、少し違和感があったかもしれませんが(笑)。2.の「CineBrass」に比べると、いわゆるバッキングパートが自然に聴こえます。本当に、バックグラウンドという印象です(笑)。
この「Brass Ensemble」ですが、他に「Brass Solo」という音源もあります。つまり、ブラスに関しては、“アンサンブル=複数人数”と“ソロ=単独”の 2 種類があるということです。これは他の Symphony Series である、“WoodWind=木管楽器”にも同じことが言えます。ブラスと木管に関してはソロパートもありうるため、このような構成になっていると推測できますが、ストリングスとパーカッションは、1種類しかありません。※ヴァイオリンのソロとかあるだろ!という突っ込みはなしのようです(笑)。ともあれ、上記のように他のシリーズ製品も出ており、それらもオーケストラの再現を目的として作られていますので、組み合わせも容易だと思います。
機能面ですが、MIDI データに音源を当てただけでこのリアル感ですので、使うには申し分ないと思います。調整次第で物凄いリアルなブラス隊を再現できるでしょう!キースイッチも搭載されているので、トラック数も節約できます!
お値段ですが、“Ensemble”と“ Solo”がセットになって、約60000円となっています。もちろん、下位グレード「ESSENTIALS」でもセットになっており、約25000円です。

 

まとめ


■KONTAKT Factory Library (Native Instruments)

→入門・導入用。この音源でフルブラスを再現するにはテクが必要(汗)。

■CineBrass(Cinesamples)

→リアル追求用その 1。キースイッチが使えないので要注意!

■Symphony Series – Brass Ensemble (Native Instruments)

→リアル追求用その 2。他のシリーズ製品との組み合わせでフルオーケストラを再現可能!

 

【6.最後に】


最後になりますが、各Webサイトのリンクをご紹介しておきます。気になった音源があったらチェックしてみてください。
いかがだったでしょうか。このブラス音源比較レビューが皆さんの楽曲制作の助けになれば幸いです!

 

【公式リンク】


■KONTAKT 5 ※KONTAKT Factory Library を含む
https://www.native-instruments.com/jp/products/komplete/samplers/kontakt-5/

■CineBrass PROhttps://cinesamples.com/product/cinebrass-pro
■CineBrass COREhttps://cinesamples.com/product/cinebrass-core

■Symphony Series – Brass Ensemblehttps://www.native-instruments.com/jp/products/komplete/cinematic/symphony-seri es-brass/

<執筆者自己紹介>
櫻井慎吾
1982年生まれ。現在遊技機のサウンドクリエイター・サウンドディレクターとして活躍しています。幼い頃、ゲーム音楽に感動し音楽に興味を持ち、以後ゲームに限らず音楽に浸ってきました。大学を卒業後に本格的に音楽クリエイターになることを志して DTM を初め、独学で音楽理 論等を学びながら制作を続けて現在に至ります。音楽電子事業協会「AMEI」が主催する「MIDI 検定」の2級資格及び 4~2 級指導者資格保持、また日本作編曲家協会「JCAA」の非正規会員です。

座右の銘は「成せば成る」「継続は力なり」です。皆さんも、好きなことをとことん突き詰めていってください!努力は、いつか必ず実を結びます!

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宮脇拓也

宮脇拓也

webエンジニア兼ライター、DTM REVIEW編集部。
現在作曲に没頭中。
宮脇拓也

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