スピーカーYAMAHA NS-10M Xのレビュー

スピーカーYAMAHA NS-10M Xのレビュー

NS-10M(以下10M)は、ヤマハから発売されていた2ウェイスピーカーで、高性能大型スピーカーの大きさだけを小さくし、高性能小型モニタースピーカーを目指して開発されたスピーカーシステム。通称テンモニ、テンエムと言われ世界のスタジオやプロからも愛されるモニタースピーカー。本日紹介するXは1993年に発売された10Mシリーズの最終モデル。現在では絶版となっていますが、まだまだ中古品や修理などをして使用しているスタジオや愛用しているユーザーも多い人気のスピーカーとなっています。



 ・なぜYAMAHA NS-10M が世界のスタジオやプロから愛されているのか?

10Mは、現在でも業界のスタンダードとなっていて、絶版となった今でもプロ・アマ問わず根強い人気となっています。その愛されている理由はなんなのか?その答えは「フラットな音」ということに尽きると思います。10Mは、気持ちの良い音で聞くという前提のリスニングスピーカーとは違い、周波数特性がフラットで音楽を制作する上で必要な音が得れるモニタースピーカーという点です。余計なものを足さず、引かない「素直な音」「忠実な音」で聞くことが出来る(モニターしたい)ということが世界のスタジオやプロの間でスタンダードになっている理由でしょう。

もちろん他の色付けされたスピーカーで音楽を構築する事も可能ですが、10Mで良い音を作り込めば、色付けされた他のスピーカーで再生した時に、間違いのない正しい音作りが出来るわけなので、色付けされていない素直な音を再生されるスピーカーが選ばれるというわけだと思います。


 ・YAMAHA NS-10M は業界定番

スピーカーYAMAHA NS-10M Xのレビュー

現在も変わらず定番モニタースピーカーとなっていますが、音が特別良い、聞いていて気持ちが良い、というわけではないということは覚えておいてください(悪いという意味ではないです笑)。

現在、色々なメーカーから発売されている再現性が高いスピーカーや高解像度のスピーカーなど山ほどあります。モニタースピーカーは聞こえすぎても良くないのです。プロで活躍している人のほとんどの人は、最終ミックスの際複数のスピーカーを使用してモニターします。それは、聞き手が様々な環境だからです。ヘッドホン、イヤホン、スマホ、テレビ、PCのスピーカーなどなど…どの環境でも同じように再生するようにミックスをしなくてはなりません。そこで必要なのがフラットな音「10M」が活躍するのです。ここで、気持よく聞こえるスピーカーでミックスをしてしまうと、他の環境にした時に所謂「しょぼい音」になってしまいがちなのです。10Mは足さず引かず「程よい」というスピーカーという点が長年愛されている理由ではないでしょうか。

また耐久性も非常に高く、長く使えるというのも世界で愛されている点ではないでしょうか。他のスピーカーと比べると耐久性が長く、非常に壊れにくいです。自分も使用しているスピーカーの中でも長く使用できていて、音のヘタリもないのが珍重しています。あと、個人的には長い時間音を聞いていても耳が疲れないというのも一つの理由だと思っています。解像度の高いスピーカーでは耳が疲れやすくなりますし、長時間の制作や長時間のチェックなどをする事も多いので、この点も良い点だと思います。


 ・他のスピーカー

スピーカーYAMAHA NS-10M Xのレビュー

先にも書きましたが、音楽制作する際には複数のスピーカーでモニターするといいです。10Mは、素直な音であり使いやすいですが、解像度高いわけではないので細かく聞こえない事も多いです。高音や低音が足りていないなど、他のスピーカーで聞くと分かることも多いです。10Mが悪いというわけではなく「程よい」スピーカーである程度の段階まで制作し、最後はチェックの意味で他のスピーカーを使用するとこれまで使用している音源の足りない所、多すぎる所などが非常に分かりやすくなります。

自分もKRKのV4、ラジカセと、3種類のスピーカーを使用しています。V4は低音も豊かで艷やかな音で聞いていて気持ち良く、最終段階の低音の出過ぎなどのチェックをしています。また、ラジカセは「誰がどの環境でも同じように聞こえる」という感じで最終的なチェックで使用しています。

余談ですが、モニターに一般的にラジカセを使用するのは有名です。低音を色付けしているものが多いですが、一般的なラジカセを一つ用意するといいかと思います。また、時代的にPCのスピーカーやインナーイヤーイヤホンなどを使用して音楽を聞く事が多いと思うので、10Mのメインモニタースピーカー以外にもそういった時代に合ったモニタースピーカーなどを使用するのも手だと思います。


 ・10Mの現状や難点

定番といわれる10Mですが、難点もあります。

先にも書きましたが、現在では絶版となっていて新品を買うには難しくなっています(中古の状態のいいのは山ほどあります)。ユニットを購入して自分で交換することも可能ですが、それも段々入手しづらくなるので購入を考えている人はその点は注意をが必要です。そして、10Mはパッシブスピーカーで使用するにはアンプが必要です。ただアンプをつければいいというわけではなくアンプとスピーカーにも相性がありますので、相性の良いアンプを選ぶというのも一苦労だと思います。現行機であればお店に行けば視聴も可能ですが、10Mは絶版となっているので視聴できる販売店も限られますし。自分はSONYのアンプを使用していますが、YAMAHAとのアンプとも相性が良いです。出来れば数点のアンプで聴き比べて好みのものを選べるといいですね。

現在はパワードモニター(内蔵アンプ付き)のスピーカーが主流ですし、アンプとスピーカーの相性などを考えるような煩わしさもないという点もあり、購入を踏み切れない人も多いと思いますが、逆を言えば自分の好みの音に変えられるという利点もあります。スピーカー、アンプの組み合わせ、スピーカーケーブルの変更したりと、一つを変えただけでも音は変わりますので、そういうことが好きな方には楽しみにも変わると思います。


 ・まとめ

今回のレビューであまり良いことを書いていない気がしていますが…(笑)10Mは個人的には素晴らしいと思っています。自分は普段様々なスピーカーを使用してモニターいますが、低音が気持ちいいスピーカーだと普通に音楽を聞くには気持ち良いのですが、長時間仕事などで再生するには疲れてしまったり、豊かな音ですとラジカセなど一般的な家庭で再生されるようなスピーカーで聞いた時に極端な音痩せや物足りなさを感じてしまいます。その点、10Mは「程よく」且つ「素直な」スピーカーで、音楽を制作する上では切り離せない楽器の一部だと思います。アンプとの組み合わせなど煩わしさもありますが、正しいミックスやラジカセなどで聞いた時に物足りなさを感じている方などは、オークション等ではまだ沢山ありますので探してみてはいかがでしょうか?きっとリスニングスピーカーとは違って、モニタースピーカーとしての正しい音が再生されるに違いありません。是非気になった方は探してみてください。

以上スピーカーYAMAHA NS-10M Xのレビューでした。




DTM Review

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DTM機材やギターやベース等の楽器等、音楽制作に関わる機材を実際に使用した人が、本音レビューをお送りしています。たまに音楽NEWSなども書いています。
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Comments

  1. NS-10Mを使っている人はプロでは殆どいないと思います。NS-10M Studioなら10年くらい前は流行っていました。しかし、それはスタジオでラージモニタ併設の場合であって、ラージがない環境で10Mを使うと低音の質感が分からず苦労すると思います。

    最近のスタジオでは例え日本であっても10Mはほとんど見かけず、Generecなどがメインとなっているスタジオも多いかと思います。

    まあ好みですから何を使おうと構いませんが、定番と言われたのはDAWがようやく起動に乗り出した10年くらい過去の話だという事は申し上げておきます。

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