KORGより今年2月に発売されたUSBコントローラーキーボードのtaktile(タクタイル)についてレビューしたいと思います。
KORG taitile購入理由
以前からMIDIコントローラーとしてnanoシリーズ、nano2シリーズ、25鍵のmicroKEYなど、KORGのコントローラーを使ってきました。これらは非常にコンパクトで可搬性に優れていていますが、やっぱりノーマルサイズの鍵盤が欲しくなりますし、バラバラだったnanoシリーズが一つに纏まった気がして燃えました。(発表当初はnanoシリーズが合体したっ!ぐらいにしか思っていませんでした・・・。)
それと自分のDTMの環境でハード音源やソフト音源を鳴らす時に、それぞれの機材の配置に納得できず困っていました。(書くと長くなる・・・)これを解決するのにtaktileはサイズやコントロール端子の数共に最適でした。
後は仕様が公開されていくうちに分かってきた、Mackie ControlでのDAWリモートとMIDIのCC(コントロールチェンジ)を送信するCONTROL MODEの切り替え、タッチ・パッドを使ってPCのマウスを操作するTRACK PADモード、kaossilator2並みの強力なアルペジエイター、操作子の設定を16セット保存できる(シーンと呼びます)、PAD一つでコードを演奏できてヴォイシングも変えられるコード・スケール、MIDIインターフェイス機能、USB ACアダプターを使って単体での使用も可能、クロックも出るのでマスタークロックとしても使える、
そして値段も安く、ルックスも好み。すべてが購入理由でした。
主な内容
シンプルなMIDIキーボードです。RolandのA-PROのようにプラグインとして起動させたり、特定のDAWとの連帯を強化しているということは無いようです。それゆえにDTM環境でどのようにDAWと連帯して使っていくかは、ユーザーの自由になると思います。
使い方(PCで使用、単体で使用)
PCとの接続はUSBケーブル一本で2系統のMIDIの送受信とDAWリモートと電源供給を行ない、スマートな環境です。KORG USB-MIDI DriverをインストールしてるとMIDIのポート名が表示されて分かりやすいです!(発売当初は最新のKORG USB-MIDI Driverが出てなくて表示されなかった・・・なのでDAWリモートのポートはどれだ?とか迷いました・・)
今までのKORGのコントローラーと同様、KORG KONTROL Editorを使い、各操作子に好きなMIDIメッセージを割り当てます。(単体でのセッティングも可能ですが、エディターを使ったほうが分かりやすいです。)工場出荷時の設定では、主なDAW用にいくつかセッティングされていました。それと各操作子にはGM(ジェネラルミディ)で定義されていないCCが割り当てられていて好印象でした。
自分の場合は単体での使用時の為にハードウェア音源用にいくつか組んだのと、GM音源用に定義されてるCCを主軸に一つ組みました。汎用性に優れたセットもある方が安心です。
PADにはノート以外にもCCやプログラムチェンジもアサインできます。ノートは4つまで登録可能でコードが鳴らせます。PAD一つでコードを演奏るコード・スケールもありますが、ここでは設定してあるスケールやキーに影響されず自由に組めます。
PCとの接続での使用はスタンドアロンの音源を鳴らしたり、DAWで作曲をする際の打ち込み、MIDIレコーディングが主な使い方です。DAWでの使用時にはMIDIを使ってDAWのパラメーターをリモートコントロールしたり、Mackie Controlを使ってトランスポートの操作やミキサーを操作したりして、DAWのコントロールサーフェスになり、快適に作業ができます。またMIDIインターフェイスのもなるので、MIDI端子のある機材を接続できます。
自分の場合はStudioOneで使用するときノブ、フェーダー、ファンクションスイッチをコントロールモードをONにして、StudioOneのコントロールリンクという機能でリモートコントロールするか、マウスやPCキーボードを触る回数を減らすためにショートカットを割り当てたりして使っています。そしてコントロールモードをOFFにしてミキサーにし、ミックスをしたり、オートメーションを記録したりしてます。
どのMIDI鍵でもできる使い方ですが、taktileはシンプルなMIDI鍵だからDAW側でのセッティングもスムーズで汎用性も高いと思います。
もちろんKORGらしい機能があって、taktileでしかできないこともあります!
強力なアルペジエイターやヴォイシングも変えられるコード・スケールにカオシレイターやカオスパッドみたいな使い方が出来るタッチ・パッド。これらの機能を使ってスムーズで過激な演奏ができます。
そして上のKORG KONTROL Editorの画像を見てもらえれば分かってもらえると思うのですが、工場出荷時の設定ではStudioOneのシーンがありません!特にそれぞれのDAWの名前のシーンでそんなに特別なことはされてなく、Mackie Controlを使うのは共通のようです。(LogicとGarageBandはプラグインが必要のようです。)それにnanoKONTROL2がCubaseモードで問題なくStudioOneで動いていたので、taktileはCubaseのシーンでStudioOneはデバイス追加でnanoKONTROL2から設定してやると問題なく動きました。
MackieのControlも使ってみたところ、マーカーの追加、前のマーカーへ、次のマーカーへが動かず。(デバイスの設定でどうにかなるかもしれませんが、nanoKONTROL2で問題なく動くのでいいかと思います。)
そして単体での使用ではUSB ACアダプターを使ってコンセントから電源供給し、KORG KONTROL Editorで作っておいたセット(シーン)を使って、MIDIケーブルで接続したハードをコントロールします。
下の写真にあるように、シーン5をvolca keys用に設定しています。どのCCでvolca keysのどのパラメーターが動くかMIDIインプリメンテンションチャートで確認してtaktileの設定をしてやれば、小さいツマミを回さなくていいし、複数のノブに同じCCチェンジを設定してやれば急激な音の変化も楽しめます!
操作子も多いので(足りないなら複数のシーンを使って)パネル上に出てないシンセサイザーのパラメーターをtaktileから直接コントロールするのもいいと思います。
taitileを使ってみて
シンプルなMIDIキーボードなので非常に汎用性が高く、機能もKORGらしく楽しくてよく考えられてるMIDIキーボードと思いました。
最初鍵盤に抵抗感がありましたが、弾いてるうちに良い鍵盤と考えが変わりました。 (ノブは軽めで、フェーダーは普通、パッドは硬めです。) 鍵盤付いてるシンセサイザーをよく使っているのですが、MIDIケーブルで接続して別のシンセを鳴らすと意図しなかった鳴り方して「やっぱり音源にチューニングされた鍵盤がいいな」とか思っていましたが、MIDIキーボードは操作子の数や独特の機能を持っていたりするのでそこが面白いところと考えが改まりました。
nano2シリーズと比べて
やはりnano2シリーズと比べてしまうのですが、鍵盤部(key)は間違いなくtaktaleがいいです。PAD部分はPAD一つでコードを演奏できるコード・スケールがあります!nanoPAD2にはあったゲートアルペジエイター、taktileにはタッチ・パッドにゲートアルペジエイターはありません。その代わりが6タイプ、50リズム・バリエーションのアルペジエイターなのかもしれませんが・・・。ゲートアルペジエイターの機能は欲しかったです。そしてKONTROL部分はMackie ControlとMIDIを切り替えられるし、トランスポートも個別に設定できるtaktileがいいと思います。
nano2シリーズと比べて残念なのはタッチ・パッドのゲートアルペジエイターぐらいです。コンパクトで的を絞ったnano2シリーズももちろんいいです。
良いところ/悪いところ
いいところはやっぱりシンプルなところ。MIDIを割り当てた16ものシーンを組めるので、DAW用、ハード音源用と幅広く深く使えます。USBケーブル1本でデスク周りもスッキリ。49鍵に限りますが机の上における鍵盤数とトランスポートの配置が右側にある。これかなりプラス要素でした。
悪いところはPCのマウスを操作するTRACK PADモードが使えない!一応操作できるのですが、挙動不審です。もっとスムーズに動いてくれないと使えません。まさかウチのtaktileだけではないと思うのですが・・・。これが使えればかなり楽になると思っていたので、アップデータでどうにかなるなら期待したいところです!
他のMIDIキーボードとの比較
コストパフォーマンスが高い。作りはそんなに頑丈ではないと思いますが、機能面では抜群に良いです。他のMIDIキーボードは頑丈な作りでズッシリとした機種が多いように感じます。そんな中でこのtaktileは軽くてシンプルで面白くてKORGらしいMIDI鍵と感じました。
4月下旬発売予定のTRITON taktileとの違い
もうすぐ発売が予定されている「TRITON taktile」。実際に触っていないのと購入予定もないので、公式HPより公開されている情報に基づき、予測であることをご理解ください。インターフェイスの数、種類、操作の仕方と基本的な仕様はtaktileと同じですが、音源(TRITONからの512音色)を搭載したことによって、いくつかの変更があります。
TRITON taktileはMIDI INがない。そして音源が搭載されているので、オーディオの出口としてステレオミニジャックが付いている。ノブやフェーダーやファンクションスイッチが音色の切り替えや音源用に動作するようにもなっている。
画像を見る限りでは、だいたいこの3点がぐらいです。その他あげるとしたらPAD、ホイール、外装の色とロゴぐらいでしょうか。そして気になるのは仕様にある「PCM音源(プリセット方式)、1ティンバー」というところ。つまり同時に2つ以上の音色を鳴らせないということです。レイヤーやスプリットといった使い方はできません。あくまでTRITON taktileはUSBコントローラーキーボードのtaktileが音源を搭載したという見方で、シンセサイザーには間違いないのですが、一般のPCMシンセとは少し違うので、その辺の見方が誤解しやすいところかもしれません。
かといってパフォーマンスが悪いわけではありません。TRITON(トライトン)の音は良いですから、taktileの多彩な機能を使って予めソフトシンセなどで作っておいて、1トラックづつTRITON(トライトン)の音に差し替えて曲にしたり。単体での起動も可能ですから、LIVE等でtaktileの機能を使ってTRITON(トライトン)の音でパフォーマンスをするのも楽しいかもしれません。
重要なところは2つと思うのですが「MIDI INの有無」「TRITON(トライトン)の512音色(PCM音源(プリセット方式)、1ティンバー)の有無」。ここポイントにして選ぶといいと思います。間違ってたらすいません。
最後に
taktileはシンプルなMIDIキーボードです!その使い道は多様でレコーディング、ミックス、LIVE等で活躍してくれます!導入の敷居も低く、安価で高機能。間違いないです。
以上、KORG USBコントローラーキーボード taitile(タクタイル)についてのレビューでした。
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