今回はKORGのアナログシンセサイザー「MS-20mini」についてレビューしたいと思います。 1978年から35年の時を経てminiになって復活したMS-20。(後に数量限定でフルサイズのMS-20kitが出ています。
前期型と後期型両方のフィルター搭載。ノーマルサイズの鍵盤。組み立て必要。)筆者にとっては、絶妙なタイミングでのリリースでした。
購入理由
miniMOOGでアナログシンセに興味を持ち、monotribeで初アナログシンセ。そして鍵盤の付いているシンセが欲しくなってきました。
monotribeはMIDI端子が無く鍵盤でコントロールできません(2.1でCV対応)。MIDI改造するにもkitの値段もそこそこする上に、素人にはハードルが高く、改造には踏みきれませんでした。monotribeの筐体を加工するのも気がひけましたし・・・。
そしてmonotribeやvolcaの記事でも書いたと思いますが、今でこそMS-20mini以外にも複数のアナログシンセが新品で買えますが、このアナログの波が来るまではアナログシンセというとビンテージものですごく高価なものでした。(ビンテージのアナログシンセには鍵盤付きのものが多数あります。しかし、買えない)
高価で手が届かないものだった鍵盤付きアナログシンセですが、ついに鍵盤つきのシンセが発売されます。
ARTURIAからMINIBRUTE。しばらく空いてKORGからMS-20mini。
この二つの機種はかなり悩みました。鍵盤サイズは?価格は?音作りの自由度は?音のキャラクターは?
いろいろ調べてMINIBRUTEはまさに新世代という感じで、MS-20miniは復刻なので当時の音を再現という感じ。でも自分にとってはどっちも新しいので、最終的な決断は実機を触って出音で決めました。それに全く分からないパッチングにも惹かれたので(笑)
主な内容
基本はアナログシンセサイザーそのままです。2VCOからミキサー、ハイパスフィルター、ローパスフィルター(LPFは前期型と後期型があったみたいですがMS-20miniは前期型。)、アンプという流れです。EGが2基。とMG(LFO)が1基。ノイズGやS&H。ホイールやボタンも付いています。
そしてパッチング。パッチケーブルは10本付属しています。
サイズはminiになっていますから、鍵盤はmini鍵盤。
そしてリアパネルにはMIDIinとUSB-MIDI、DC9V。
MS-20miniはアナログシンセなのですが鍵盤だけはデジタル鍵盤で、MIDIでトリガーすることができます。(MIDIチャンネルは1CH固定)mini鍵盤に不満を感じたらMIDI接続でノーマルサイズの鍵盤を使うことができます。
その他はデジタルが入っていないのでツマミの動きをオートメーションすることはできません。(なのでプリセットなんかもありません。)ですがここに純アナログのこだわりがあります。
USB-MIDIで一応MIDIoutも可能ですが、もちろんローカルコントロールなど無いので音源部との切り離しは不可能です。
更に復刻ということでパッケージやマニュアルも当時のものになっています。外箱も製品という感じで、届いたときは箱の中に箱。2重になっていました。
数量限定で付いてくる小冊子「サウンド・シンセサイズ入門」も復刻、これも見逃せないところ。たんに復刻ということだけでなく、分かりやすい内容なので実用的な特典になってます。
パッチング
フロントパネルの右側はパッチングの部分です。白い線はなんにもパッチしていない時の内部での結線です。
EXTERNAL SIGNAL PROCESSORはギターなどを接続してシンセを鳴らせます。
パッチケーブルは10本付いてきます。(別売りも)
DTM環境で使う
DTM環境で使う場合はシンプルにUSB-MIDIでの接続か、MIDIインターフェイスとのMIDI接続のどちらかで外部音源として使うことになると思います。デジタルなのは鍵盤だけなので受け付けるMIDIデータはノート情報のみ、その他のMIDIデータは受け付けません。DAWからはトリガーすることのみです。
一見この仕様はDTM環境では不利に感じますが、ここにアナログの良さがあります。CCの128段階では不可能な滑らかな変化が得られます。
そして同じセッティングでも毎回違う波形が出てくるのも魅力なので、作った音をサンプラーに読み込ませて使うより、予め別の音源でパートを作っておいて、音を作って最初から最後まで通して録音し、差し替えるのもいいと思います。
MS-20miniを使ってみて
念願の本格的なアナログシンセということで、適当に弾いているだけだったり音を鳴らしているだけでも楽しいです。パラメーターもすべてパネルに出ているので、ストレス無くパラメーターにアクセスできますし、レスポンスも早い。粘りのあるノコギリ波やキレイに抜けてくる矩形波。温かみのあるサウンド。ツマミを回した時のトルク感や、段階の無い滑らかな音色変化。多様な音作り。アナログシンセの醍醐味が詰まってます。
monotron DELAY等のアナログエフェクトのノリもいいと感じました。
いいところ
THE ANALOG。上で全部書いてしまいました。
悪いところ
なし。
他のキーボードと比べて
最大のアドバンテージはパッチングによる音作りで幅が広いということと思います。他にパッチングできるキーボードってあまり無いですし。
比較対象をデジタルシンセまで広げると、サンプリング音源やVA等デジタルの恩恵で得られたことはたくさんありますが、アナログにはその恩恵を遊ぶスペースにできます。そこから得られるものも大きいと感じます。
最後に
今はいろんなものが至れり尽くせりで便利ですが、機械がやってくれるところに楽しみを感じる部分もあると思います。手間になるか、楽しみになるかは人によるところですが、MS-20miniを使った筆者の場合、プリセットやMIDIでデジタルではやらなくていい部分に楽しみがあったので、いい発見にもなりました。もちろん音も最高です。
以上、KORG MS-20miniについてのレビューでした。
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