「エフェクターは色んな種類を揃えたい。でもボードにはこれ以上エフェクターを載せられない……」という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。そういった方にはMOOERの小さなエフェクターがオススメです。そのMOOERのMicro Seriesから4種類、Black Secret・Flex Boost・Ensemble King・Repeaterのレビューをお送りします。
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1. MOOERを購入した理由
とにかく「小さくて軽い」からというのが、MOOERを購入した理由です。
重い荷物を運ぶのが好きではないのです。MOOERを購入するまでは、スタジオ等に行く時、ギターを背負って、鞄の中にACアダプターやらマルチエフェクターを入れて移動していました。当時はそれが一番重量を減らせる手段だと思っていました。しかし、「マルチエフェクターだと、何処か1箇所でも故障したら全くエフェクトを掛けられなくなるのでは」と考え、コンパクトエフェクターに目を向けた時、「小さくて軽い」エフェクターとして目に留まったのがMOOERでした。
BOSSの一般的なエフェクターとMOOERのMicro Seriesとを比べてみると、
【寸法】
- BOSS:約125(D)×約70(W)×約55(H) mm
- MOOER:93.5(D) × 42 (W) × 52 (H)mm
【重量】
- BOSS:約400g
- MOOER:約160g
と、MOOERのMicro Seriesがいかに小さくて軽いかが分かると思います。
2.4種類各々の特徴など
◆Black Secret(ディストーション)
PROCO RATを元に作られただけあって、(本家のVOLUMEに相当する)LEVEL、DISTORTIONのツマミ、そしてFILTERのツマミがあります。
これは通常のTONEとは異なり、右に回すほどハイが削られます。RAT同様に、ミッドがかなり持ち上がった独特の歪み方をするので、音作りが少し難しく感じることもあります。
「どうしてもこの歪みはこの曲には馴染まないなあ……」などと思うことも、たまにあります。
しかし、DISTORTIONとFIRTERのツマミを右にグッと回せばファズらしい音になりますし、FILTERを回さず(ハイを削らず)DISTORTIONをほんの少し右に回すと、(ミッドはかなり持ち上がってはいるが比較的扱いやすい)「ディストーション・サウンド」や「クランチ・サウンド」を作ることも出来ます。
また、Vintage/Turboトグルスイッチを切り替えることでVintageだと少し枯れた丸い音に、そしてVintageの倍以上の出力のTurboだとズ太いディストーション・サウンドになります。
Turboで弾くと、音に合わせて中の回路のLEDが光るのを、FILTERのツマミと本体の隙間から見ることが出来て面白いです。(Turbo RATと同様にクリッピングダイオードにLEDが使用されているようです)
◆Flex Boost(ブースター/オーバードライブ)
Xotic AC BOOSTERを元に作られたエフェクターです。BASS・TREBLEツマミの効きは結構良く、また(良い意味で)クセが無いので、音作りはしやすいです。
GEINを右に回すとそれなりに歪むので、オーバードライブとしても使えますし、GEINを抑え目、VOLUMEを上げ気味のセッティングで、ブースターとして使うことも出来ます。
私はあまりオーバードライブとしては使わず、他の歪みの後ろに繋ぎ、ブースターとして使っています。ギターソロを弾く時などに踏むと、音量が上がるのに加え、前の歪みと合わさって音がガツンと前に出るので重宝しています。
◆Ensemble King(アナログ・コーラス)
BOSS CE-2を元に作られたエフェクターです。アナログ・コーラスなので、ハイが少し落ちた暖かみのある音になります。
エフェクトの掛かり方はマイルドで、音の揺れも小さいですが、「クリーンの音を少し太くしたり広がりを持たせたりする」「歪んだ音にやや厚みを持たせる」といった味付けにはちょうど良いエフェクターだと思います。
ただ、LEVEL・DEPTH・RATEのツマミを最大にしても、エフェクトがエグく掛かるということはなく、それでやっと「ほどよいコーラス・サウンド」になるので、飛び道具として使うつもりだと、物足りなく感じそうです。
◆Repeater(デジタル・ディレイ)
機種やツマミの名称などから、TC ElectronicのNova Repeaterの一部を参考にしたと思われるエフェクターです。(何を元に作られたのかは不明。MOOERオリジナルのエフェクターという可能性もあります)
デジタルらしいエフェクトの掛かりの良さと、少し金属的ともいえる冷たい音が特徴的です。エフェクター上部のトグルスイッチで、Mod/Normal/Kill Dryの3つのモードを切り替えることが出来ます。
Normalだと普通のディレイ、Modだとディレイに軽くコーラスのようなモジュレーションが追加されます。Kill Dryだとインプット音(Dry)がカットされ、ディレイ音(Wet)のみが出力されます。
Kill Dryのモードを使うことは、私は殆どありませんが、アンプのエフェクトループに接続する時に使うと良さそうです。
LEVEL・F.BACK・D.TIMEのツマミを弄ってやれば、様々な響きの音を作ることが出来ますし、発振させて気持ち悪い音を作るのも一興です。
また、エフェクトの掛かりがかなり良いので、飛び道具として十分に使えると思います。前出のEnsemble Kingと組み合わせて使うと、空間が歪んだような音や浮遊感のある音など、様々な音を作ることが出来ます。
デジタルだからなのか、通電して暫く置いておくと、少し熱くなりますが、今まで壊れたことはないので、そこまで心配する必要はなさそうです。(因みに、Repeaterは今回紹介した4種類の中で一番好きなエフェクターです。)
2. MOOER(Micro Series)全体の良いところ
小さくて軽い、というのが一番の長所です。また、中国製で安価であるにもかかわらず、筐体も金属製で頑丈であり、品質においても他の高価なエフェクターと比べて遜色ないというのも魅力です。「どうしても本家本元のエフェクターでないと嫌!!」という人以外にはかなりオススメです。
3. MOOER(Micro Series)全体の改善の余地があるところ
小さくて軽いのがMOOERの最大の魅力ですが、筐体が小さいために、フットスイッチを踏んだ時に真ん中の大きなツマミが動きやすい、というのがやや難点です。ツマミをガードするカバーか何かが欲しいですね……。ただ、ツマミの動きやすさを逆手にとって、上手くエフェクターを操るという方法もあるとは思います。真ん中のツマミにゴム足を被せ、動かしたい時に、素早く足でツマミを弄るのも、使い方の一つです。(今はツマミを足で動かすためのOptionKnobというアクセサリーもGIZMO-MUSICから販売されているようです)
4. まとめ
MOOERのMicro Seriesは、小さくて軽いので、エフェクターボードに沢山エフェクターを載せたい人や荷物を軽くしたい人にオススメです。また、安価であるのにもかかわらず高品質なので、初めてエフェクターを購入する人にも、既に手持ちが沢山ある人にも「買い」のエフェクターだと思います。いくつ持っていたとしても損はしないでしょう。
以上エフェクター:MOOER(Black Secret/Flex Boost/Ensemble King/Repeater)のレビューをお送りしました。
5. メーカーサイトリンク
MOOER
http://www.mooeraudio.com/.
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