今回はDTM入門にも向いているオーディオインターフェイス:RolandのQUAD-CAPTURE UA-55 についてレビューしたいと思います。
QUAD-CAPTURE UA-55 購入動機
DTM を少し楽しみながらも、ひどいレイテンシーやマイクの録音の音質の悪さに嫌気が 差し、5 年以上 DTM とはご無沙汰だった頃のこと。たまたま友人宅に遊びに行くと、その 友人は動画配信サイトでゲームの実況プレイをしていると話してきました。カルチャーシ ョックだった私には何のことかわからないまま、録画したものを観させてもらった時、実 況内容よりも、マイクの録音の音質の良さに驚いたのでした。その友人に使用している機 材について聞いていくと、マイクは大したものでは無いのに、見慣れぬ黒い機械の紹介を 受け、それが私と UA-55 の出会いでした。
その友人は、UA-55 がどのような機能を持ち、どのような働きをしているのかを理解し ていませんでしたが、只者ではないと感じた私はすぐさまネットで調べてみました。私が その頃使っていた PC は拡張性が無く、グラフィックボードや CPU の載せ替え等できない とされており、オーディオインターフェイスもまた同じく拡張性が無く、オンボードの最 低限の働きをするデバイスを使わざるを得ないと思い込んでいたため、まさに度肝を抜か れた気分でした。そして調べれば調べるほどその機能に魅了されていき、即購入に至りま した。何よりも、大好きながらも嫌気が差してできていなかった DTM を、付属の SONAR の最新版で改めて再スタートが切れる興奮は、出費の痛みには及びませんでした。
とはいえ安い買い物では無かったため、同じくローランドの DUO-CAPTURE EX 等とも 比較し、その価格差に大変悩みました。バンドで音楽を楽しむというよりも個人でキーボ ードや電子ピアノと PC を接続して個人で作曲活動を行いたいのみで、同時録音できるインプットの数がさほど必要だったわけでは無かったので DUO でも十分かと思いましたが、 DUO が iPad 等のモバイルデバイスに最適化されたものであり、音質は到底 QUAD には及 ばないとのレビューを読み、またダイナミックマイクだけでなくコンデンサーマイクの使 用も視野に入れ、さらに今回は作曲活動をより本格的に続けたいという想いもあったため、 なるべく長く使えて満足のいく機種にしたいという理由から UA-55 の購入に至りました。
今回はこの QUAD-CAPTURE UA-55 のレビューをさせていただきます。
UA-55 の基本的操作
外寸 20cm 弱のコンパクトな見た目と、使い始めに必要な作業は、まさに中程度の外付けHDD を取り付けるような要領でした。ずっと繋ぎっぱなしのものなので、PC 背面の目立 たない USB プラグに差し込み、付属ディスクでインストール作業を行うだけですぐに音が 出るようになりました。この時既に、PC から出されるシステム音までもがまさに別物であ り興奮したのを覚えています。
インストールが済むと、コントロールパネル内に QUAD-CAPTURE という項目が追加さ れています。ここからマイク等のインプットのボリュームやコンプレッサー機能の操作も できるので、機材ラックに入れておいても手軽に操作できます。未だに使いこなせていな いほどそのパネルから様々な音の設定が行えます。
作曲用途での使用のため、この UA-55 を使用することで過度なイコライズで誤魔化され ないフラットな音質が使用できます。この状態で市販音楽を再生すると、いかに他のデバ イスでは重低音や高音を引き出して強調しているかがよくわかるようなフラットな状態で出力され、楽器ごとの音の分解・明確さが雲泥の差といった印象です。耳コピーなども行 うので、この分解性のある音質は大変有難いです。
さらにこの SONAR を使って歌声や演奏を録音する際や、先の友人の動画配信での声の インプット等をマイクで行う際に大変役立つのが AUTO-SENS 機能です。音楽のことをあ る程度わかっているつもりの私でも、録音などの音声をインプットする際には、音量調節 はとても難しいものです。
小さすぎると後で音量を引き上げるとノイズが発生したり、一 方欲張って音量を上げすぎると許容量をオーバーして音割れしたりしてしまいます。歌声 や楽器の演奏などでは音量も一定では無いのでそれを自動でしてくれる機能はとても有難 く、初心者だからこそ必要な機能であると思われます。
何よりも UA-55 の私にとっての最大の魅力は、ASIO ドライバを標準装備していてキー ボードとソフトウェア間のレイテンシーを最小限に抑えられる点です。作曲の際にこれが あると無いとでは、そのモチベーションのキープや効率性に大きな差が生まれます。実際 に SONAR のソフトウェア音源を接続したキーボードから演奏していると、全くストレス を感じることなく利用できています。
QUAD-CAPTURE UA-55 満足いかない問題点
音楽や作曲を楽しむためには様々な機器が必要です。それらの機器同士を一度接続して 使用し始めてしまえば、素晴らしい機能満載の UA-55 ですが、購入後に残念に思われる箇 所が数点ありました。
・限られたアウトプット
携帯電話やウォークマンで使用されている標準ピンでの出力端子はありません。これは この機種の性能や用途を考えれば妥当であると思われ、アダプタを利用すればどちらも利 用できるので大した問題では無いと思われます。
しかし出力は同軸光、XLR 端子、TRS 端 子しか無いので、光(COAXIAL)端子での接続ができません。私の場合は後からデノンの PMA-390AE というアンプをこれに合わせて買い足し、出力しているので大した問題は無 く、これで十分以上の音質を確保できていると思っていますが、既に光端子をメインに利 用している方には残念に思われる点かもしれません。
・扱えないソフトウェアが発生する可能性
私の PC には StationTV というテレビ視聴・録画のためのソフトウェアがプリインスト
ールされており、レコーダーとして使用していました。しかしこれらのソフトウェアでは 公共放送の番組データに対する著作権保護の観点から、プリントスクリーンができない制 限などが予め付いています。
このソフトウェアの音声データ保護の機能のせいで、UA-55 から音声出力時にはソフトウェアが使えない制限にひっかかってしまうため、テレビ機能 を使用する際にはわざわざ UA-55 の抜き差しをしなければならない点は盲点でした。
今も 大変不便な想いをさせられていますが、とは言えそれを理由に UA-55 の購入を思い留まっ たかと言うと、そういうわけでも無く、要は慣れれば大した問題では無いということと、 PC においてどの作業を優先させるか、ということ次第かと思います。
・構造に疑問
前面には PHONES 端子、AUTO-SENS ボタン、ボリューム調整ホイール(?)等がありますが、MIDI 接続端子や PHANTOM スイッチが背面に設置されています。PHANTOM スイッチはインプットがコンデンサーマイク等の時に電源を供給する機能で、使用する際 度々スイッチの切り替えが必要な機能であるのにも関わらず、背面に設置されているため、 その都度 UA-55 を引っぱり出して切り替えなければならないなど、不便な設計であるよう に感じられます。
QUAD-CAPTURE UA-55まとめ
利便性の数点に問題を感じるものの、UA-55 の機能性においては値段以上の価値があり、 デジタル機器で音に携わるのであれば誰もが購入すべきであるとお薦めしたい素晴らしい 出来です。それは作曲する人だけではなく、音楽鑑賞や映画を観るだけのような方々にも、
更にはスカイプ会議を公開するイベントや BGM を鳴らすイベント、マイクを使うイベント なら尚の事便利な代物だと思います。持ち運びにも困らず置き場所にも困らず、しかも頑 丈な作りにもなっているので一台持っておけば多用途で活躍してくれること間違い無しだ と思います。
Shunsuke Mizutani
作曲家・メディアクリエイター
(バングラデシュで貧困問題解決に取り組む一貫で)メディア製作会社スタジオパドマ代表。
facebook:facebook.com/shunsukemiztany, ブログ:bangla.jugem.jp
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> しかし出力は同軸光、XLR 端子、TRS 端 子しか無いので、光(COAXIAL)端子での接続ができません
とありますが、同軸光とCOAXIALは別物でしょうか?
画像を見ると背面にCOAXIALと書いてあるように見えますが…
Roland のUA-55に関するレポート興味深く拝見しました。
最後の満足いかない点についての部分で、タイポと思われる部分がありましたので、
ご報告しておきます。
3パラグラフあたりの
「しかし出力は同軸光、XLR端子、TRS男子しかないので、光(COAXIAL)端子での接続ができません。」の部分で、デジタルI/Oは、同軸はCOAXIAL、光はOPTICAL、で、UA-55はCOAXIAL I/Fしか持っていないということで合っておりますでしょうか。
実は私もデジタルI/Oを使いたくてUA-55を購入しました。SONYのTCD-D8 や、MaranzのDR700からのデジタル信号をCOAXIALでUA-55に渡したかったのですが、UA-55のドライバを入れただけではなぜかうまくいっていません。まだ1時間くらいしか触っていないせいだと思いますが、いろいろ情報を探していて、この記事に出会い、感心しました。デジタルI/Fでの問題について何か見るべき情報があればお教えいただければ幸いです。ありがとうございました。