今回はCubaseなどでおなじみのsteinbergのオーディオインターフェイスUR28Mのレビューをお送りします。
>> 購入理由 <<
これまで使用していたTASCAM US-144MKIIの故障により購入。US-144MKIIのデジタル入出力は重宝していたので、次の機種もデジタル入出力が装備された機種で検討しました。
また、CUBASEのフラッグシップグレードで外部機器をインサートエフェクトとして使用するために、4イン4アウト以上の入出力を有していることも条件としていました。
特にCUBASEを使用しているからUR28Mという気持ちはありませんでしたが、録音結果が素直な音であるという評判と、防音室があるのでヘッドホンが2つ使用できること、モニタースピーカーの3系統出力に魅力を感じてこのUR28Mの購入となりました。
>> 機材の説明 <<
スタインバーグ UR28Mはアナログ4in/6out+デジタル2in/2outの機種です。
内蔵されたDSPを利用することでエフェクトを使用した状態でもレイテンシーゼロでモニターすることができます。
基本的な仕様は、
最大ビットレート:24bit
最大サンプリングレート:96kHz
周波数特性:20Hz〜22kHz
ダイナミックレンジ:101dB(A-weighted )
アナログインの構成は、
ファンタム電源が供給できるマイク入力は2つ、ラインが2つ、
この他にiPod等が接続できるステレオミニ入力となっていますが、
実質はアナログ4inデジタル2inと考えて使っています。
>> 機材の良いところ、気になるところ <<
防音室もあることから2つのヘッドホン、3系統のモニターをコントールできることはUR28Mを購入して良かったと思っています。
また、内蔵DSPでコンプレッサー、3バンドパラメトリック EQ、リバーブを使用した状態でもゼロレイテンシーでモニターできることは大きなメリットであると思います。
テンポがゆっくりなバラード曲などではエフェクトが掛かった状態の方が歌いやすいですが、レイテンシーが気になります。
しかし、UR28Mでは先のエフェクトを利用してもレイテンシーが気になりません。
これらのエフェクトはプラグインとしても用意され、録音時の状態をプラグインで再現することができます。
コンプレッサーと3バンドパラメトリック EQは掛け録りも可能です。
発売後、UR28Mのファームウェアがバージョン2となり、インターネット配信に便利なループバック機能、iPad 2以降と接続できるCCモードが利用できるようになりました。
また、バージョン2で追加されたGuitar Amp Classicsでは、CLEAN、CRUNCH、DRIVE、LEADの4種類のギターアンプを内蔵DSPを使ってレイテンシーを気にせずギターの録音ができるようになりました。
Guitar Amp Classicsもプラグイン版が用意されているので、録音時の音をプラグインで再現することが可能です。
UR28Mのマイクプリアンプ部にはディスクリートClass A “D-PRE”が2基搭載されています。
簡単に書けば効率の良い構成で通常より多いトランジスタで歪みを低く抑えたマイクプリアンプを搭載している。
こんな感じです。
そしてフラッグシップのCUBASEであればUR28Mを使って外部FX機能が利用できます。
これはCUBASEのインサートエフェクトにハードウェアのエフェクト機器を使用することができる機能です。
UR28Mの2イン/2アウトは通常のステレオ入力とステレオアウトに使用し、3.4入力、3.4出力をハードウェアエフェクターに接続します。
外部FXを使えば手持ちの資産を有効に活用できます。
音についてはバスパワーで駆動するインターフェイスは私には少しポッコリした音に感じることがありますが、別途電源で駆動するインターフェイスはスッキリした音だと思います。
UR28Mは良く言えば癖が無く、悪く言えば味が無いので、録音結果がクリアであるとか華やかであるとかという印象ではありません。
私はいつも説明する時に「素っ気ない音」と表現していますが、これは好みの問題で、私が購入する機器がヤマハ、スタインバーグ、タスカムの製品が多いのも良い意味で素っ気ない音であると感じるからです。
気になるところ・・・といえば販売価格を勘案すると非常に充実していると思っているのですが、入出力が多い分、これら全てに機器を接続すると接続した機器のノイズフロア等が混入し、無音状態であってもUR28Mの入力バスのレベルメータが僅かに反応している状態になることがあります。
接続している機器で不要なものの電源をオフにするか、その時々の録再に必要なものだけ接続すれば問題ありません。
しかし、これは私がUR28Mを使用している使用環境、電源の品質及び接続機器に関わる固有の問題なのかもしれません。
気にならないレベルなのですが、もし気になるようであれば録音を終えた後は入力バスをミュートしておいたり、フェーダーを下げておくと良いでしょう。
これは気になるところではないのですが、個人的にはMIDI入出力端子があればこの価格ではいうことなしと思っています。
UR28Mのリアパネルに全てのプラグを挿せば目一杯の状態になるのでMIDIジャックを配置できるスペースは無いのですが、
筐体が少し大きくなってもMIDI入出力があれば便利だったと感じます。
MIDIインターフェイスを別途で購入すれば数千円しますし、他の機器のMIDI機能で賄うのであれば、その機器の主たる機能を使わなくても電源を入れなければなりません。
UR28Mの下位に属するUR22、現在では同価格帯であるUR44にMIDI入出力端子が備わっていることから、過去の資産を活かせるMIDI端子の需要は把握していることと思いますが、何らか理由があったのだと推測しています。
>> 他の機材との比較 <<
同社同価格帯となっているUR44との違いについて考えてみます。
UR28Mの発売日は2011年10月1日、市場価格は34,800円前後でした。UR44の発売日は2014年1月28日、市場価格は29,000円前後でした。
現在では同一価格に近い販売価格になっています。
UR28MとUR44の周波数レンジはともに20Hz〜22kHz。ダイナミックレンジもともに101dB。AD/DA変換もともに24bit。
ヘッドホン端子もともに2つ。ギターやベースを直接接続できるHi-Z端子はともに2つ。
ストリーミング放送に必要なループバック機能もともに有しています。
内蔵DSPを使用したエフェクトもともに利用でき、バンドルされるCUBASEもAI7(ダウンロード)と同じです。
サンプリングレートの最大はUR44が192kHzでUR28Mは96kHz。
ここはUR44に軍配があがります。
入出力はUR44が6イン/4アウト、UR28Mは6イン/8アウト。このうちアナログインプットはUR44が4コンボ/2TRS、UR28Mでは2コンボ/2TRS。
入力のうち、マイクインはUR44が4イン、UR28Mは2イン、全てD-PRE仕様。
アナログアウトプットはUR44が4つ、UR28Mでは6つ。
UR44はMIDI入出力端子があり、デジタル入出力端子なし。
UR28MはMIDI入出力端子がなし、デジタル入出力端子あり。
非常に悩ましい選択となりますが、
- デジタル入出力は必要か
- MIDI入出力は必要か
- 同時にマイク入力(ファンタム)を必要とする本数は
- モニターを切り替える必要があるか
- 入力を減衰するPADスイッチは必要か
これら細かな違いを検討しながら目的に応じた選択をすることになります。
>> まとめ <<
UR28Mは内蔵DSPを利用したゼロレイテンシーでの録音が可能であり、
豊富な入出力端子を利用してフラッグシップCUBASEの外部FXも利用できる。
将来、DAWや機材をステップアップした際でも、
場合によってはインターフェイスを買いなおす必要が無いので、
安価なものから始めるより案外安上がりになるかも?
>> メーカーサイトのリンク <<
http://japan.steinberg.net/
MOMODON
シンセやシーケンサーで曲を作っていたことからDTMに興味を持つようになりました。
社会人になり音楽から遠ざかっていましたが十数年ぶりに再燃。
CUBASEと手持ちの楽器を手に休日の趣味に勤しんでいます。
Harmonic-Sound:http://harmonic-sound.com/
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