初心者向け耳コピ入門講座

皆さん、こんにちは!サウンドクリエイターの櫻井慎吾です。 皆さんは、“耳コピ”という言葉を聞いたことがあるでしょうか。文字通り、“耳でコピーする”の意味で、主に音楽の一部を聴いて空で音の音程を把握する能力です。楽器をやられている方でしたら、練習中に奏でたフレーズが練習曲とは違う、もしくは適当に弾いてたらどこかで聞き覚えのあるフレーズだったので、そのままそのフレーズを追ってしまったらイメージの曲を弾けてしまった、なんてことがあるのではないでしょうか。耳コピをするにはある程度の音感が必要だと言われています。こう言うと敷居が高いように感じてしまうのですが、私自身の体験談からすると、耳コピは訓練次第で誰でもできるものだと考えます。今回は、耳コピをしたい音楽初心者の方へ向けた「耳コピ入門 講座」を開講(笑)したいと思います!なお、もし、これをお読みの方が「絶対音感」をお持ちの場合は、私が教えられることは何もないので、読み飛ばしてください… (爆)

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【1.耳コピって誰でもできる?】


まず最初はこのテーマからです。まあそもそもここの答えが「No」だと、この講座の 意味がございませんね!(笑) 答えは、「Yes」です!

根拠もちゃんとありますよ!皆さんは、カラオケには行きますか?カラオケに行かずとも、作業中とかについお気に入りのフレーズを口ずさんでしまう瞬間ってありませんか?あれ、そのお気に入りのフレーズってどうやって覚えたんですか??そう、それがすでに“耳コピ”なんです!!おそらく、これ自体は誰でもできると思っています。私にも幼稚園児の娘がいますが、幼稚園でたくさん歌を覚えて帰ってきますよ♪もちろん、音感が鋭い時期は幼少期なんて言われることもありますが、少なくとも歌のフレーズ (※この場合は、メロディですね)を覚えることは難しくないように思っていただければと思います。

ちなみに、“音感”の中には2種類あります。冒頭でも述べた「絶対音感」がその1つで、これは音を聞いただけで音階がわかるという能力です。私の仕事仲間に絶対音感を持った方がいるのですが、話を聞いてみると、音楽が言葉(言語)のように聞こえるそうです。もはやどういう世界は想像不能ですね…。これは才能や教育が必要な部類だと言われています。人間が言語を身につけるには幼少期の体験が大事だと言われているよ うに、絶対音感を身につけるにも、この幼少期に音楽に浸ることが重要だそうです。(※ だいたい5歳くらいまでに脳の発達が完了してしまうそうですので)

そしてもう1つが「相対音感」です。私が耳コピを行う上で使っているシステムがこれで、今回のテーマもこれにのっとっています。これは、音と音を聴き比べてそれが何の音が把握する能力です。おそらく多くの方がこの方法で耳コピをしているのではないで しょうか。先ほどのカラオケの例でいくと、口ずさんでいるフレーズの音を先頭から順番に、次の音は下がる、次は上がる、その次はもっと上がる、といったように頭の中でなぞっているのです。私の体験だと、カラオケで歌い出しの音が取りづらかったという体験があります。これは最初の音が比較するべきものがないため音が取れていなかったのではないかと考えています。また聞き込んでいない曲も上手に歌えませんよね。これもなんとなくは覚えているのものまだフレーズの上下が把握しきれていないからではないかと思います。
余談ですが、世の中には楽譜を初めてみても音の高低差や長さを把握し、即座に弾いてしまうような方もいらっしゃいます。これを“初見がきく”なんて言うようです。ピアノの先生はだいだいこれができているイメージですね。ある意味、絶対音感に近い世界な気がします(汗)。
さて、話を元に戻しますが、ともかくカラオケは耳コピを使って歌っているということがお分かりいただけたでしょうか。ここからもう一歩踏み込んで、そのコピーした音が何の音かをアウトプットできれば、クリエイターとしての耳コピができたことになります。次はそのための訓練方法を紹介しましょう。

【2.耳を鍛えるメソッド】


では次に、コピーした音が実際に何の音なのかアウトプットする練習をしてみましょう。音楽クリエイターらしく、ここはDAWソフトを使います!まず、以下のものを準備します。

■練習素材(リファレンス)となる楽曲を選ぶ

コピーする楽曲ですね。何度も聴き倒しているお気に入りの一曲をチョイスしてください!耳コピの作業は、結構時間と根気が必要です。途中で投げ出してしまうことも多々ありますので、なるべく好きな曲がいいです。私はゲーム音楽が大好きなので、音楽初心者の頃はよく耳コピしていましたよ!特にファミコンの音楽は3音しかないのでとても聞き取りやすいです。ちなみに、音楽の仕事をする上で、このような“参考曲”と 呼ばれるものを「リファレンス」と呼びます。(※reference 参考、参照文、引用文、参考文献…等の意味です)この言葉を使うと、ちょっと業界人になった気分になりますね(笑)。

さて、楽曲を決めたら今度はそれをファイル形式にします。CDのデータを拝借してもよし、動画サイトにアップされている音楽を録音・お借りするもよし、とにかく素材化します。これをDAW上で読み込んで、それをなぞることができるようにします。

■楽曲のテンポをとる
次に上記で読み込んだリファレンスのテンポを解析します。昨今のDAWはテンポ検出 機能が備わっているものもあるのでこれを使うのもアリです。ご自身でテンポを取れる方は、プロジェクトのテンポ(BPM)を変えながら小節の頭が一定周期で来る速さを検出してみてください。これは、これから楽曲をコピーするにあたり、曲を再生しながらご自身でキーボード(鍵盤)を弾くので、楽曲を把握するためにテンポを取ろうというワケです。ここでテンポを取っておくと、下記の実践編でとても役に立ちますので、頑張ってみてください!

■曲を流しながら、コピーしたいパートを弾いてみる
いよいよ実践です!テーマに書いてあるように、DAW上でリファレンスを再生させると同時に、MIDIキーボードを弾きます!ここはメロディをコピーするものとして、メロディパートを弾いてみましょう。MIDIキーボードの音が出るよう、何かしらの音源を立ち上げてトラックを新規作成します。そして合ってると思った音はどんどん打ち込んでいってください!聞き慣れている曲だと、音の長さは完璧だと思いますので、後は音程を取るだけ、という状態になっているのではないでしょうか。DAWのいいところは、範囲を選んでリピート再生することもできますし、打ち込んだデータをすぐに修正できる点も便利ですね。また演奏テクニックに自信のある方は録音モードにしてリアルタイムにレコーディングすることもできますね!
さて、ある程度データが打てたら、一度MIDIキーボードのトラックの音量を大きく上げてみてください。その状態でリファレンスと一緒に再生させます。この時、ご自身が打ち込んだデータが、リファレンスのメロディと重なって聴こえれば(※正確には、打ち込んだデータの方が音量大なのでこちらの方が聴こえるのですが)音程は正解ということになります。もし音程がずれていると和音になってしまって変に聴こえると思いますので、その箇所だけ打ち込んだデータを上下させた上でもう一度再生させ、音が重なるか試してみてください。また、テンポがしっかり取れてないと長さもずれていってしまいます。ずれてきてしまったらもう一度テンポを取りなおしてみましょう。この和音になってしまった場合の音がずれていることに気づくこと、または、メロディーをコピーするときに次の音は何か鍵盤上で探すことは、いずれも相対音感を元に行っ ている作業です。最初のうちは大変でも、慣れてくると把握するスピードがあがります。これは練習で身につけられるものですので、繰り返し反復練習が必要です。そして、もう一つ大事なことがあります。

■適度に休憩すること
当たり前ですが、同じ作業をしてるとだんだん疲れてきます。それが慣れないことだとなおさらです。ある程度できたら少し休む、もしくは他のことをして息抜きをしてください。私が読んだことがある文献に、プロのミュージシャンがスランプに陥って曲が書けなくなった時は“曲を書く時じゃない”と割り切って他のことをするそうです。一度作曲から離れることで気持ちに余裕ができて閃きにつながるんだとか!逆に、コピーが進むときはご自身がノッてきている時です。ノッている時は楽しさが倍増する時ですので、どんどん進めてよいでしょう!

【3.耳コピのヒント:キーとスケール】


さて、ここで音楽理論的なお話しもちょこっとしておきます。音楽には、「キー(調)」 という考え方があります。これは、楽曲の“設計図”みたいなもので、その“楽曲で使っていい音が決められて”います。これと合わせて「スケール(音階)」という考え方もあり、上記のキーにしたがって、使っていい音を決めてまとめてくれる箱のようなものと考えてください。そして、これらはまとめると「12種類」に分類されます。逆に言うと、12パターンしかありません。以下は、私が作曲する上で、立ち返るべき原点としている資料を図にしてみました。

↑難しいことは抜きにして説明しますと、基準となる音を一番低い音として、そこから一定のルールに従い音程を積み上げていったものです。ちなみに、C=ド、D=レ、E=ミ、F=ファ、G=ソ、A=ラ、B=シ です。アルファベット表記は音階の英語読みです。

先ほども述べたようにキーはその楽曲で使っていい音を決めています。そこで、耳コピする時に立ち返ってみましょう。コピーを進めていくと、打ち込んだデータの中に法則が見えてきます。使われている音がなんとなく見えてきたら、次にコピーする音も上記図のどれに当てはまるか予想しながらやってみましょう。このルールが掴めれば、使われる音が予想できますので、耳コピもグッと楽にできるはずです。

【4.最後に】


耳コピはできるようになると音楽制作の幅がとても広がります。私はクリエイター初心者だった頃は、既存のゲーム曲のメロディをコピーし、オケパート(メロディ以外の伴奏のパート)を好きに作り替えてアレンジと称して自主制作してました(笑)。しかし、コピーし続けオケを自作しているうちに、コード理論や打ち込みテクニックがなんとなくわかってきて、そこから興味が湧いてネットや書籍で勉強するという方向に行きましたので、これを機に音楽に興味を持っていただける方がいれば、ぜひ、耳コピを続けて実践してみてください!オリジナルの楽曲を作る日も近いでしょう!

<執筆者自己紹介>
櫻井慎吾
1982 年生まれ。現在遊技機のサウンドクリエイター・サウンドディレクターとして活躍してい ます。幼い頃、ゲーム音楽に感動し音楽に興味を持ち、以後ゲームに限らず音楽に浸ってきまし た。大学を卒業後に本格的に音楽クリエイターになることを志して DTM を初め、独学で音楽理 論等を学びながら制作を続けて現在に至ります。音楽電子事業協会「AMEI」が主催する「MIDI 検定」の 2 級資格及び 4~2 級指導者資格保持、また日本作編曲家協会「JCAA」の非正規会員 です。 座右の銘は「成せば成る」「継続は力なり」です。皆さんも、好きなことをとことん突き詰めて いってください!努力は、いつか必ず実を結びます!

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宮脇拓也

宮脇拓也

webエンジニア兼ライター、DTM REVIEW編集部。
現在作曲に没頭中。
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