FRACTAL AUDIO SYSTEMS Axe-Fx Ultra レビュー

FRACTAL AUDIO SYSTEMS Axe-Fx Ultraをご紹介致します。

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購入経緯


購入当時以前の私は、いわゆる「アンプの歪み至上主義」なところがあり、エフェクター、特にデジタルモデリングアンプ・エフェクターがとても苦手でした。 何故苦手だったのかというと、私が楽器を始めた当初のマルチエフェクターやデジタルモデリング アンプのクオリティが著しく低かったのが大きな理由だったと記憶しています。
特に音の分離の悪さや、立ち上がり・反応の悪さ、ハイゲインアンプのモデリングにおける不自然にギスギスした音色など、とても使うに耐えないようなものが多かったのです。

Line6 の POD がモデルチェンジの度に良くなっているのには気付いていましたが、それでもスピーカーキャビネットのシミュレーションが不完全だったところがあり、購入には至りませんでした。
結局「反応が悪いデジタルアンプ使うなら、ソリッドステートの普通のアンプで良いや」と結論づけ、甘んじで旧来のソリッドステートのアンプを使用していました。

そこで突如、Axe-Fx の話題が知人を通して入ってきました。
しかしながら上記の経験から偏見があり、正直言って全く期待はしていませんでした。

当時は一部のネットで活動しているギタリストや、新気鋭ギタリスト等が使用し始めた程度の頃で、今ほど定番化していない時期でもあり、その後数ヶ月ほど無関心で過ごしましたが、ある日、とある有名ギタリストが Axe-Fx に関するセミナーをしている動画を見たことで一気に興味が湧きました。

正直言って、生のアンプと比べても全くわからないようなその上質な音質には「デジタルモデリング もここまで進化したのか!?」とかなり驚いた事は今でも鮮明に記憶しています。
それから、当時親しかったギタリスト仲間の一人が Axe-Fx を購入し、その音色を生で聴かせてもらったことで中古ではありましたが、何とか資金を捻出して購入することになりました。

 

使用感など


基本的には一般的なラック系マルチエフェクターと相違ないと思います。
私はそれまで殆どデジタル系の機材を使用しなかったため若干迷いましたが、ほぼ調べることなく使い始めることが出来たため、少しでもマルチエフェクター等デジタル系楽器用機材を使用したことがある方は、基本的なところを弄る程度(GAIN や EQ 等)であれば、操作に困ることはないと思われます。

ハイカット・ローカットの帯域やアンプのバイアス、電源の挙動のモデリング等かなり踏み込んだところまで細かく設定ができるため、あるアンプを元に自分好みの音色になるようカスタマイズすることも出来ます。 (これらはアンプモデリングだけではなく、ディレイやリバーブなどの空間系、オーバードライブペダルのモデリングやピッチシフターに至るまで各エフェクトで同様のことが可能となっております。)
また、後継モデルである Axe-Fx II とは違い USB アウトはありませんが、PC との MIDI 接続に対応しているため、PC から Axe-Edit を使用してより簡単に操作することが出来ます。
プリセットの保存や PC 内へのバックアップも可能です。

※最新版の Axe-Edit は Axe-Fx II 以降のみ対応しており、今回の Axe-Fx Ultra や Standard には 対応していないため、旧バージョン(Axe-Edit Beta 1.0.191)を使用して下さい。
旧バージョンの Axe-Edit は本国の公式サイトから Support→Product Downloads 内の「Legacy Products」からダウンロードが可能です。

接続系統も通常のアウトプット、XLR 出力、コアキシャルに対応しております。

 

音色


よく言われる通り、かなり再現度の高いアンプモデリング、というよりアンプそのものと言ってもほぼ過言とは言えないほど音質は素晴らしいと思います。
ピッキングに対するレスポンスやコンプレッションもほぼ完璧で、どのアンプモデリングにおいても、元になったアンプの特徴をしっかり捉えているため、「想像と違う」ということはまずありません。
デフォルトで入っているキャビネットやマイキングのシミュレーションも恐ろしいほどの完成度です。 (対応しているものであれば Red Wire 等の別売りキャビネットプラグインを PC から追加することも可能です。)

アンプモデリングの素晴らしさばかり語られることが多いですが、その他の空間系などのエフェクトも凄まじい完成度を誇っており、歪みペダルのモデリングに至っては、TS 系などのオーバードライブの他、Boss 社のメタルゾーン のモデリングまであったりします。(独特のチープさまで完全再現されていたため、思わず笑ってしまいました。)

どのような音作りでもしっかり順応してくれ、基本的に使える音色を出してくれます。
また、この機材を知る殆どの方はご存知だと思いますが、直接オーディオインターフェース等録音機材に接続して鳴らす時も極めて音質が良く、高い解像度の音色を録音機材に送ってくれるため、 完成度の高いアンプ・キャビネットモデリングや高品位なエフェクトと相まって、現代の音楽制作事情のニーズに最も合ったギター用機材の一つだと言えるのではないかと思います。

 

筆者の使い方


比較的小~中規模での演奏(ライブハウスよりは小さい程度の規模)が多い筆者は上記のような システムを組んでいます。(システムといえるほど大壮なものではありませんが…。)
Axe-Fx を BEHRINGER ULTRAGRAPH PRO(グラフィックイコライザー)に通して、Hughes&Kettner の Tube Meister 18 Head のリターン端子に接続し、そのまま Tube Meister 112 キャビネットに送っています。
ライブハウスなどではその場にあるアンプのパワーアンプ入力 or リターン端子に直接接続しています。

BEHRINGERのグラフィックイコライザーは、たまたまあったラックケースが 3U だったため、余ったスペースを埋めるために入れただけでしたが、意外と役に立っております。
どういうわけかというと、Axe-Fx をパワーアンプ(またはそれに相当するヘッドアンプ等)に接続する 際、Axe-Fx のパワーアンプモデリングは OFF にするわけなのですが、 その際にアンプモデリングの Depth コントロール(他のアンプで言うところの超低域を調整するレゾ ナンスコントロールに近い)も OFF になってしまうという特徴があります。
その場合にローを補正する意味で BEHRINGER のグラフィックイコライザーを使用しています。
最も、これと同じことは Axe-Fx の GLOBAL Setting からでも出来るのですが、わざわざボタンを押して操作するよりも、生のグライコの方が素早く操作ができるため、こちらを利用しております。

また、演奏する場所によっては全音域を少しだけ補正することもありますが、そういった操作も BEHRINGER のグライコで操作しています。

Axe-Fx はパワーアンプを用いた大音量でもやはり凄まじく音質がよく、ジャジーなクリーンからきらびやかなクリーン、リードに最適な滑らかなドライブからダウンチューニングにも使える激烈な超ハイゲインまでほぼ完璧に出力してくれます。

 

欠点


個人的にほぼ欠点はありませんが、USB 接続に対応した後継モデルの Axe-Fx II に比べ、PC との接続に MIDI の IN/OUT を両方使うため、
MIDI を PC に接続している間は、他の MIDI 機器(例えば足元でのプリセット切り替えに使うコント ローラー等)が使用できないという点、つまり拡張性に少々物足りなさがあります。

音作りの面では、細かく設定できる箇所がかなり多いため、迷いが生じやすい点がまず挙げられます。
加えて、例えばアンプモデリングだけでほぼ原型が留まらないくらい音を変えることも出来るため、 音を作り込もうとして細かいパラメータをいじっているとすると、収集がつかなくなり、何がなんだかわからなくなることがあります。(この点、比較対象になりやすい Line6 社の POD HD の方が有利かもしれません)

最後に購入時の注意ですが、輸入代理店が並行輸入品に対して非常に厳しく、並行輸入品の修理などのサポートは一切受け付けてくれないため、中古品を買う際は注意した方がいいでしょう。 (ちなみに私が購入したモデルは見事に並行輸入品でした。)

 

まとめ


音質の良さは言うまでもありませんが、単体でどこまでも音作りを追求できる機材です。
出来ることの多さ故、どういった音作りで落ち着かせるか等迷うこともありますが、そういった面の試行錯誤も楽しめるような方であれば、尚更お勧めできると思います。

近頃は各社のアンプモデリングやプリアンプ、マルチエフェクターの質も非常に高くなっており、今回レビューした Axe-Fx と比較できるくらいにまで技術は高まっておりますが、どのような音作りでも使える音で、ミックスダウンなどのしやすさ、音像・解像度の高さは未だ Axe- Fx を上回っているとは言えないと思います。

また、現在は後継機である Axe-Fx II の登場により、中古で安めに入手できると思われます。
音質や拡張性等は II の方がより改善されている様子ではありますが、数度試した限りはどちらもクオリティが高い中での差と言った感じであり、「ULTRA で十分かもしれない」というレベルなので、費用対効果で考えれば ULTRA の方がある意味気軽でいいのかな?と思っております。

現時点でのプロレベル・最高品質のギター用プロセッサが欲しければ、選択肢の筆頭候補に入れておくべき逸品と言えるでしょう。

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宮脇拓也

宮脇拓也

webエンジニア兼ライター、DTM REVIEW編集部。
現在作曲に没頭中。
宮脇拓也

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