ストリングス音源 EASTWEST QUANTUM LEAP Symphonic Orchestra Gold Completeレビュー

EASTWEST QUANTUM LEAP Symphonic Orchestra PLAY Edition Gold Completeレビュー

SymphonicOrchestra(以下QLSO)はもともとkompakt用のライブラリとして販売されていた高級ハイクオリティオーケストラ音源である。

当初はNativeInstrumentsのKompakt用のライブラリとして数十万円で販売されていたが、サウンドエンジンをEASTWEST独自のPLAYエンジンに切り替え、現在のPLAYEditionがリリースされた。



管楽器、弦楽器、打楽器とオーケストラを構成するほとんどの楽器を実際のコンサートホールで収録しており、大人数構成のオーケストラに向いている音源である。

QLSO1

 

機材説明


QLSO PLAY エディションにはSilver Complete、Gold Complete、Platinum Complete、PlatinumPlus Complete4つのラインナップが存在する。
それぞれの違いは以下の通り。

Silver Complete

主要な楽器とアーティキュレーション(奏法)に的を絞ったエントリーモデル。フルオーケストラを再現するには楽器やアーティキュレーションが足りない。マイクポジションはステージのみ。

Gold Complete

オーケストラを構成するほとんどの楽器とアーティキュレーションを収録したモデル。マイクポジションはsilverと同じくステージのみの1種類。

Platium Complete

収録されている楽器とアーティキュレーションと同じだが、マイクポジションを3種類収録している。
また、SilverとGoldがオーディオビットレートが16bitなのに対して、このPlatinumは全て24bitで収録されている。

Platium Complete Plus

Platinum Completeに加えて、オーディオビットレートが16bitのサンプルも収録。

Silverこそ楽器の数やアーティキュレーションが限定されてしまっているものの、Gold以降はオーケストラを構成するほとんどの楽器とアーティキュレーションを収録しており単体で本格的な大編成オーケストラを再現出来る。

GoldとPlatinumの違いはマイクポジションの数とサンプルのビットレートのみ。収録している楽器の数やアーティキュレーションに違いはない。

今回は筆者が所有しているgoldについてレビューを投稿させてもらう。

QLSO PLAY Editionの魅力はなんといってもコストパフォーマンスの高さにある。

QLSO2
オーケストラを構成するほとんどの楽器を網羅。

この価格、このクオリティでこれだけの楽器の種類とアーティキュレーションを網羅できるオーケストラ音源は意外と少ない。

クオリティの高いオーケストラ音源は、他にも同社の上位音源であるHollywoodシリーズや昔からQLSOとよく比較されるVIENNAなどがあるが、基本的に弦楽器、木管、金管、打楽器などがバラ売りで、使用可能なアーティキュレーションの数を増やすためにも拡張音源が必要になる。

そのため、フルオーケストラを構成しようとすると数十万?数百万という大金が必要になるわけだ。

対してQLSO PLAY Editionは、ミドルクラスに位置するGoldCompleteでさえ、約6万円で十分なクオリティのフルオーケストラが構築出来る。キャンペーン等を利用すれば2?3万円程で購入することも可能だ。実際筆者は、キャンペーンを利用してgoldを約2万5千円で購入した。

一般的なDTMユーザーにとっては非常に魅力的なコストパフォーマンスである。

 

残念な点


さて、そんなQLSOだが、実はひとつだけ致命的とも言える欠点がある。それは残響の深さである。そもそもコンサートホールでサンプルの録音をしているので、サンプルにかなりの残響音が入っているわけだ。

3種類のマイクポジションが収録されているPlatinumについても、多少残響を減らすことはできるが、それでもやはりその音はコンサートホールで収録された音。残響はその他の音源と比べるとかなり深い。

といってもどのくらい深いのさ?という話になると思うのでサンプルを用意した。比較の為に、「VIENNA」とNative Instrumentsの「SESSION STRINGS PRO」のサンプルも用意してみた。全てリバーブ等のエフェクトはすべてOFFにした素の音である。

 

「QLSO」MP3 QLSO

 

「VIENNA」 MP3 VIENNA

 

「SESSION STRINGS PRO」 MP3 Pro

 

どうだろう。
QLSOの残響の深さがかなり目立つのがわかると思う。

実際はリリースサンプルのレベルを絞ることでもう少し残響を減らすことはできるのだが、なんというか・・・不自然さがものすごい。

QLSO3
Releaseのレベルを下げれば残響は減らせるが・・・。

エフェクトを駆使して残響を減らすなんてことも出来るが、当然それは意図していない副作用を伴う。

これ以上残響が消せないとなると難色を示すユーザーも少なくないのではないだろうか?

完全なオーケストラ楽曲を作成する場合はさほど問題ないのだが、POP等の楽曲を作成する場合は正直かなり厳しい。

オケに馴染ませる為にはQLSOの残響に合わせてその他のトラックの空間処理をしなければいけないので、どうしても全体的に深めのリバーブ処理になっていまう。

これはかなり致命的。

対して、よく比較されるVIENNAは、残響音がほぼ0のドライ音で収録されているためエフェクトで空間を自由に構築できる。

汎用性の高さという点ではやはりVIENNAに軍配が上がるだろう。

また、ぶっちゃけ音質そのものについても筆者はVIENNAの方が好みだったりする。ただ、やっぱり子持ちのサラリーマンにはなかなか手が出せないのである

ストリングスのライブラリのみを購入するという手もあるが、アーティキュレーションを揃えるとなるとそれでもかなり高額。オーケストラ楽曲を作ることは難しい。

QLSO PLAY Editionの強み、それはやはりコストパフォーマンスの高さなのだろう。

 

まとめ


結局のところ、筆者の場合はオーケストラ楽曲や大編成のオーケストラを使うバラードを作る時はQLSO PLAYEdition、その他の場合はVIENNAやNIのSESSION STRINGS PROを使っている。

予算に限りがなければVIENNAやHollywoodシリーズでフルオーケストラを構成するのが理想だが、そうでない場合は作りたい楽曲のジャンルによって音源を使い分けをするのが得策といえるだろう。

酷評じみた締め括りになってしまったが、QLSOは、使い方さえ間違えなければバランスのとれた非常に優秀な音源である。

今回はストリングス音源 EASTWEST QUANTUM LEAP Symphonic Orchestra Gold Completeレビューをお届けしました。



Chanoma

Chanoma

アレンジャー/サウンドクリエーター/作曲家
DTM/DAWに関する総合情報サイト「ChanomaのSound Laboratory」運営者。
Twitter: @chanomachanoma
URL : http://chanoma.realfreedom.jp
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