ヘッドホン:SONY MDR-ZX700のレビュー

ヘッドホン:SONY MDR-ZX700のレビュー

音楽を作る側であれ、それを享受する側であれ、音楽を聴くためにヘッドホンを使用している方は少なくないと思います。聴きやすさ・取り回しのしやすさ・原音に忠実な度合いなど、重視する項目は人それぞれですが、何を重視するかによって、選ぶヘッドホンも変わってきます。今回は、民生用のモニタータイプの密閉型ヘッドホンSONY MDR-ZX700をご紹介します。

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1. MDR-ZX700の購入理由


1万円前後でDTMに使用できるヘッドホンを探していた時に、SONYの MDR-ZX700の商品説明文中にある、「全帯域でのスムーズなレスポンスと原音に忠実なサウンドを実現」「再生周波数帯域:5~40000Hz」という文言に惹かれ、電気屋で購入しました。

購入した当時は、ヘッドホンについての知識も殆どなく、原音に忠実であることと、再生周波数帯域がとにかく広いこと(そして1万円位で買えること)だけを重視していましたが、これが偶然にも功を奏したようで、今でも、ふらっと寄った電気屋で他のヘッドホンを試聴した時に、MDR-ZX700は良い買い物だったなあ、と思うことが多いです。

 

2. MDR-ZX700とは


MDR-ZX700は、2010年10月に発売された民生用のモニタータイプの密閉型ヘッドホンです。プロ向けのスタジオモニターヘッドホンである上位機種のMDR-Z1000(5万円前後)の1ランク下でありながらも、民生用のZXシリーズの中では最上位機種であり、MDR-Z1000と同じ大きさの50mmユニット(但し材質は異なる)、そしてMDR-Z1000に使われているものと同じ360kJ/の高磁力ネオジウムマグネットが採用されています。

また、再生周波数帯域が5~40000Hz、最大入力が2000mWと、1万円前後の価格帯だとは思えないようなスペックです。数多くのレコーディングスタジオで愛用されているMDR-CD900STと比べてみても、再生周波数帯域や最大入力などといった面では見劣りしません。スペックの詳細や比較は以下の表をご参照ください。

(上からMDR-ZX700、MDR-Z1000、MDR-CD900ST)

zx700

z1000

CD900ST

MDR-ZX700のイヤーパッドは、クッション材に低反発ウレタンが使われており、縦長で耳をすっぽりと覆い、しっかりと耳に密着するので、遮音性に優れます(音漏れも少ないです)。

また、コードは着脱式ではないですが、片出し式なので、取り回しがしやすいです。コストダウンのため、ハウジングやアームの素材がプラスチックになっています(MDR-Z1000はハウジングがマグネシウム合金)。

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3. モニターヘッドホンと普通のヘッドホンの違い


MDR-ZX700は、モニタータイプのヘッドホン、つまりモニターヘッドホンです。モニターヘッドホンとそうではない普通のものとは、原音に忠実な度合いが違います。
モニターヘッドホンは、そのままの音を(原音)を確認(モニター)するためのものです。そのため、全ての帯域が可能な限りフラット(つまり特定の帯域が強調されていないということ)に再生されます。こういった性質から、音楽制作に向いていますが、逆の言い方をすれば、音楽鑑賞には向いていません(特に業務用のモニターヘッドホンの場合)。味付けのないフラットな音特性のため、長時間聴いていると耳が疲れてくることが多々あるからです。
モニタータイプでない普通のヘッドホンは、基本的には音楽鑑賞用に作られているので、聴き心地を良くするため、使用者が聴く音楽のジャンルに合わせて特定の帯域を強調するなどしています。そういった「味付け」が施されているため、音楽制作には向いていません。(低音が殊更に強調されているヘッドホンでミックスやマスタリングをする想像をしてみましょう……)

 

4. SONY MDR-ZX700の良い点


無駄な低音がなく、それでいて過度に高音が耳を突くこともなく、すっきりと一つ一つの音を聴きとれるところです。これに尽きます。

フラットな音特性ではありながらも、民生向けのため少しチューニングが施されているのか、ほんの少し中高音域が多く出ているように思われますが、それに関しては殆ど気になりません。

業務用のヘッドホンに比べると、少し聴きやすいバランスにはなっているとは思いますが。ベースラインもはっきりと捉えることができ、またシンバルやウッドブロックなどの振動までもが目に見えてきそうです。

勿論、中音域のボーカルやギターなどは言わずもがなです。今でも、電気屋に寄った時には、色々なヘッドホンを試聴しますが、4万円以下の価格帯で、「MDR-ZX700よりも良いな」と思ったヘッドホンには未だにお目に(耳に?)かかっていません。
音質も素晴らしいですが、耐久性もかなり優れていると思います。不注意から何度も床に落としてしまったり、椅子のキャスターでコードを踏んでしまったりしましたが、一度も壊れたり断線したりしたことはありません(本当はもっと丁寧に扱わないといけないのですが……)。筐体がプラスチックであることを全く意識させないほどの耐久性です。
そして、着け心地も非常に良いです。過度の締め付けもなく、緩過ぎもせず、ずれにくいのでストレスを感じません。また、そこまで重くないので、3時間程度ならずっと着けていることが出来ます。

 

5. SONY MDR-ZX700の悪い点


1万円前後という価格帯で、この音質・装着感・耐久性を実現してしまっているので、悪い点を挙げるのは、はっきり言ってとても難しいです。強いて挙げるならば、入力プラグがミニプラグではなく、標準プラグだった方が(オーディオインターフェースに挿すのに)便利だったということでしょうか。あと、ハウジング部分を反転させることが出来れば、もう少し用途が広がったかもしれません。

 

6. まとめ


今回はSONY MDR-ZX700をご紹介しました。実は、このヘッドホンは既に生産完了となってしまいました……が、今でも取り扱っている店(通販も)はあるようなので、この記事を読んで気になった方がいらっしゃいましたら、是非チェックしてみてください。

 

7. メーカーサイトリンク


SONY
http://www.sony.jp/

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森井裕

森井裕

ギター弾き。シンセサイザーも時々弄ります。
ディレイの発振音とうどんが大好物

≪連絡先≫
Twitter @yymolly(https://twitter.com/yymolly)
森井裕

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