ストリングスソフト音源:Cinematic Strings 2 についてのレビュー

スクリーンショット 2014-06-29 23.28.46 「ストリングス」というパートは、楽曲を壮大にさせたり、切なさを表現したり、上品な雰囲気にさせる等、非常に幅広い用途で使われます。使われるジャンルもクラシック、ロック、ポップスはもちろん、ダンスミュージック、ヘヴィーメタル、演歌と、活躍の場を選ばないパートと言えます。 がしかし一概にストリングスと言っても、単体でのソロ、小規模なカルテット、壮大なオーケストラ等、様々な編成があり、それによって表現できるサウンドも異なります。そしてジャンルによって好まれるストリングスサウンドも違います。よって、それを再現するストリングス音源も多種多様です。「どのストリングス音源が一番自分の好みに合うんだろう?」と悩み続けてる方も少なくはないはずです。 そんな中、「映画音楽」、「CM音楽」に特化していると謳われているストリングス音源、「Cinematic Strings 2」についてレビューしたいと思います。



【購入理由】

今までNative Instruments Session Strings、Kontakt Factory Library, EWQL GOLD、DAWに付属のストリングス音源等を使用してきましたが、音が機械っぽかったり、逆に素直すぎて迫力を出すのが大変だったり、画面が使いづらかったりと、「悪くはないんだけど、、」といったものがほとんどでしたので、自分にもっと合うストリングス音源が無いかしばらく悩んでいました。さらに、ストリングスが必要な楽曲提供やBGMの仕事の依頼が増えてきてたため、早く見つけなければいけない、と少しばかり焦ってもいました(笑) そんな中、多方面からCinematic Strings2(以下CS2)の良い評判を聞き、興味を持ったので音源が使われている楽曲をいくつかネットで聞いたり機能を調べたりしたところ、自分のやりたいことや好みに合う音源かな?と感じたため、購入に至りました。

【特徴】

CS2をDAW上で使用するにはNative Instruments社のサンプラー「Kontakt」を使います。無料版のKontakt Playerでも大丈夫なので、普段Kontaktを使用していない人でも問題無しです。 パートは 1st Violins, 2nd Violins, Violas, Cellos, Basses, Full Ensemble, Light Ensembleから選べます。 1st Violins:メインのバイオリンパートです。下のキーボードの色は音が出る範囲や、キースイッチ等の範囲を示すものです。 1st violins 2nd Violins:オーケストラでいう、ファーストバイオリンと違う演奏をするバイオリンパートです。音色も違います。 2nd violins Violas:ビオラパートです。 2nd violins Cellos:チェロパートです。 Cellos Basses:コントラバスパートです。画面自体はほとんど変わりませんね(笑) Basses Full Ensemble:全パートをまとめたものです。 Full ensemble Light Ensemble:全パートの奏法の種類等を減らし、まとめたものです。Fullより使用メモリが少ないです。 Lite ensemble   パート名が全部複数形「〜s」ということで勘のいい方はお気づきかもしれませんが、ソロのパートは一切ありません。各パート、それぞれの楽器を複数(しかも大人数)の編成で鳴らしています。これがCS2の最大かつ、ユーザーを選ぶ特徴です(笑) どのパートを選択しても、非常に壮大で濃厚な、包み込むようなサウンドが鳴ります。まさに映画のワンシーンで使われるような、エネルギー溢れるハイクオリティなサウンドばかりです。 Kontakt画面の上のほうのVoicesで同時発音数(同時に何個のサンプル音を鳴らしてるか)が確認できるのですが、一つの音を鳴らしただけでも同時発音数が6から、なんと25ぐらいまであります。それだけ一つの音に対して複数のサンプルを鳴らして壮大感を演出してる、ということです。 画像からもわかるように、各パート毎に8つの奏法が選択できます。これらの奏法はmidiキーボードの低音部分、ストリングスパートでは使わない音程を弾くことによって切り替えることができます。また、楽曲内で使用しない奏法はオフにすることによってメモリを節約できます(これ、大事(笑))。本来、もっと様々な奏法もありますが、クラシックじゃない限りこの8つで十分だと個人的には思っています。ちなみにスタッカート奏法ではstaccatoかstaccatissimo(より小刻みなスタッカート)が選べます。 Run modeは速いパッセージを演奏させる際、音の粒立ちを残しつつ、複数で演奏した場合に生じるわずかなズレを忠実に再現する奏法です。 Live Modeは高音になると音程を敢えて不安定にさせて生々しさを演出する機能です。 Legato機能はベロシティに応じて音の鳴りやビブラート度合いを変化させたり、スタッカートのサンプルを加えて音を際立たせます。 Playing Positionは音を楽器上の高い位置か低い位置で弾くかを選べる機能です(弦楽器は一つの音程を複数の位置で弾けます)。高い位置で弾くと張りつめた音になり、低い位置で弾くと少し柔らかい音になります。 左の4つのフェーダーはマイクバランスを調整し、楽器付近、ステージ上、部屋全体を録っているマイクから使用するものを選んだり混ぜ合わせたりできます。 さらに、各パートのアタックとリリース(音の立ち上がりと減衰)の度合いも細かく調整できます。 あと、同じノートを鳴らす際に複数の同音サンプルをランダムに使って機械っぽさを無くしてます(round robinと言います)。 、、、、、お腹一杯ですね(笑) こんなにたくさんの機能、技術が含まれている音源ですが、見た目はとてもシンプルでわかりやすく、一目でほとんどの設定がわかります。 大編成のストリングスパートを非常に細かい部分まで忠実に再現しつつ、とても見やすく、簡単に操作できる音源です。

【使用してみた感想】

とにかく壮大で高級な音色です。先ほども書きましたが、まさにハリウッド映画で壮大な景色を映し出すシーンに流れてそうなサウンドです。自分は最初に弾いてみた時、「ラストサムライ」が頭に浮かびました(笑)速いフレーズはディズニー映画を彷彿させるような華麗さがあります。 そして、元の音色がとても艶やかなため、EQやコンプで細かく味付けしなくても良い、すぐに使える音だと思いました。逆に楽器数が多い楽曲ではEQでぶつかる帯域をカットする必要があります。 楽器単体のパートは、Legato機能をオンにしている場合(デフォルトでオンです)コード弾きができず単音でしか鳴らすことができないので最初は戸惑いましたが、全パートがまとまっていてコードも弾けるEnsembleを使って全体のアレンジを作る→出来上がったらパート別にmidiノートを割り振って各パート毎に細かい奏法を加えてく、といった形で作り上げると素早く高品質なストリングスパートを仕上げることができます。 音色も素晴らしいですが、細かい作り込みをしなくてもかなりリアルな音を再現できるのがとても嬉しいです。ベロシティや前後の音の間隔に反応して、アクセントがついた音か、滑らかな音か、等を勝手に調整してくれます。自分みたいな、ストリングスの打ち込みにできるだけ時間をかけたくない人にとってはとてもありがたいです(笑)

【サンプルサウンド】

「デモ」コーナーでCS2を使用した色んなジャンルのサウンドが聞けます。 http://www.crypton.co.jp/mp/do/prod?id=93222

【悪いところ】

・すーんごい重いです(笑)パートを読み込む時にビックリするぐらい時間がかかったので、容量を見てみたら1パートにつき多くて2.5Gぐらいありました(笑)使わない奏法は先にオフにしておくことをオススメします。速いフレーズとかでは同時発音数が3桁になる時もあります。CS2に加えてドラム音源、ピアノ音源、シンセ音源、多数のプラグインを使うとなると、自分のMacのスペックの場合こまめにオーディオに書き出さないとCS2のサンプルがちゃんと鳴らなかったりします。 ・やっぱりソロパートのサンプルもほしいです。なんだかんだ曲によってはバイオリンやチェロを単体で鳴らしたい時が出てきたりしますので、その時はしょうがなく別の音源を使用してます。これだけクオリティの高いサウンドなので、ソロパートもあればさぞかし素晴らしいものだろう、、、と思っちゃいます。その分値段も跳ね上がるでしょうけど(笑) ・壮大で派手な音色なので、ドライでシンプルな音色を作り出すことは逆にできません。ヒップホップ系の音楽に合うような音色ではないような気がします。

【まとめ】

CS2は映画音楽、CM音楽に使われるような壮大で艶やかなストリングスサウンドを再現できる音源と謳われてますが、映画音楽、CM音楽に限らず、バンドアンサンブル等でストリングスを使用していて、かつそこそこハイスペックなPCを持っている方(笑)にとっては、素早く、クオリティの高い作品を作る手助けになる心強い音源だと思います。 以上、Cinematic Strings 2のレビューでした。



Gentaro Futatsugi

Gentaro Futatsugi

ライター:二木 元太郎(フタツギ ゲンタロウ)
ユニット「fromnou」のギタリストとして活動中。
コンポーザー、アレンジャーとしても活動中。

Twitter:https://twitter.com/fromnou_gentaro
fromnou official website:http://www.fromnou.com
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